GPM ポーランド製汎用軽貨物車両 Honker 2種。

柄にもなく風邪を引いて2日も寝込んだ上に、週末になっても鼻がぐずぐずとしている筆者がお送りする東欧カードモデル情報。ずびずび。ぎだなぐでずんばぜん。
さて、本日紹介するのはポーランドの老舗、GPM社からリリースされた、ポーランドではかなりメジャーらしい軽貨物車両、Honkerのキットだ。

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うーん、なんというか、普通だな。
発行日が2014年と書いてあるが、最近再販したようでGPMのサイトでトップに出ていたのでうっかり紹介してしまった。まぁ、どうせ細かいことはいい加減なこのブログだ、いまさら苦情も来やしまい。

1970年台、ポーランド政府は農業の機械化を進めるために小型のピックアップトラックを開発することを決定、ポズナンのFSR(Fabryka Samochodów Rolniczych、農業車両工廠)はこの目的のために「ターパン(Tarpan)」を開発した。「ターパン」というのはヨーロッパの平野部に生息していた野生の馬の一種だ(19世紀末に野生から消え、捕獲されていた最後の一頭が1909年に死亡し絶滅した)。FSRターパンは農業用トラックとして、ターパンの力強さ、ワイルドさにあやかろうという命名なのだろう。いわばポーランド版「マスタング」ということか。フォード・マスタングとは方向性が全然違うが。
ちなみにPZLは1960年台にM-4"Tarpan"という練習機を開発したが、2機の試作のみに終わった。

ターパンはこれまた地味な車だったが、燃費がよく燃料タンクが大きかったので農家が農産物を出荷するのに便利で、密閉性が高く暖房のよく効くキャビンも快適だったため、1973年から細かいバージョンアップを繰り返しながら20年後の1995年まで生産が続けられた。相変わらず、共産圏の人はフルモデルチェンジという発想は持っていない。
もちろん、なにからなにまで大満足、というわけにはいかず、直列3気筒で排気量2.5リットルというなんだかヤケクソ気味なディーゼルエンジンは、その巨大なシリンダーゆえに騒音が激しいという欠点もあった(1.5リットルモデル、2.1リットルモデルもあった)。

1984年、ターパンの成功を受けてポーランド軍はソビエト製軍用車UAZ-469の代替車両としてターパンの発展版車両を要求、「ホンカー(Honker)」が開発された。「ホンカー」というのは、どうやら鳥のカリ(雁)の鳴き声を表した擬声語らしい。ポーランドのカリは「ホンカー、ホンカー」と鳴くのか。なんで野生馬の発展版が鳥の鳴き声なのかは良くわからないが、「ホンカー」というのは第二次大戦中、モンテ・カッシーニの戦いで自由ポーランド軍が攻撃開始の合図に使った符丁でもあるそうだ。コケコッコ。
ターパンの長所を受け継いだホンカーは順当に軍に採用され、生産台数を伸ばしていった(とは言っても、年間数百台ペースだった)が、1990年代に入って周辺状況が大きく変わった。ソビエトが崩壊し、東欧諸国が民主化したのだ。
西側の大衆車が雪崩を打って押し寄せてくる中、FSRは自分のところで作ってる車両の中でもホンカーなら西側に対抗できる車両と判断したのだろう、ホンカーの生産部門を分離子会社化したりもしたが、結局は1996年に経営は行き詰まってしまった。

経営の行き詰ったホンカーブランドは、韓国のデウ(大宇)自動車のポーランド法人、Daewoo Motor Polskaに買い取られた。デウはホンカーの能力を認めておりデウ・ホンカーとして生産を再開したが、今度はデウ自動車の本社がアジア通貨危機で傾いた上に、グループの会長が日本円にして約4兆円を超える会社資産を持ち逃げするという実に資本主義的な理由でまたもや経営が行き詰まる。
しかし、ホンカーブランドは不滅だった。2002年、今度は「Andoria-Mot」というディーゼルエンジンのメーカーがホンカーブランドを買い取り生産を再開。しかし、Andoria-Motはあまり本気ではなかったようで、2004年に「International Truck Alliance(国際トラック連合)」、略称「Intrall」がホンカーブランドを買い取る。この会社はロンドンに本社があるロシア/イギリスの合弁企業だったが、ポーランド・デウの債権引受先でもあった。
Intrallではアウトドアレジャー用の「ホンカー・マックス」や軽装甲を施した軍用の「ホンカー・スコーピオン」などのバリエーションを開発したが、2007年に倒産。またもホンカーブランドは宙に浮いてしまう。
しかししかし、まだまだホンカーは不滅だった。今度は1990年に設立され、自動車部品を作っていた「DZT Tymińscy」が2009年にホンカーブランドを購入、生産を再開。今度は、5ドアにしてハマー風になったホンカーやバンタイプの「ホンカー・カーゴ」などをバリエーションに加えたが、5ドアホンカーはともかく、ホンカー・カーゴはもはやホンカーの面影をとどめてないのがおもしろい。ここまで来たら別の名前にすりゃ良さそうなもんだが、それでもホンカーを名乗るのは、やはりブランドの持つ良いイメージがそれだけ大きいということなのだろう。

それでは、ポーランドの働く車を代表するホンカーの姿を公式ページの完成見本で見てみよう。

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写真はホンカーの軍用タイプ。陸海空3軍のバリエーションが選べるようだが、それぞれがどう違うのかは表記がないのでわからない。これ、背面のドアは畳んだり取り外したりできるように見えないが、キャンバストップを外したらドアだけ突っ立てるかたちになるんだろうか。

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また、GPMからは同時に消防隊装備車両バージョンも同時発売となる。

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こちらはハードトップバージョン。もともとホンカーはそんなに面構成の複雑な車両ではないが、今回のキットでは開口部やライトなどがテクスチャ表現されたややイージー寄りな内容となっている。しかし、底面のラダーシャーシと四輪駆動システムは再現されており、メカとしての魅力は十分だ。

GOMからリリースされた、何度も生産元が倒産しながらも不死鳥のように蘇り生産が再開される不思議な車、Honkerのキットは陸モノ標準スケール25分の1で完成全長約18センチと意外にも小柄な車両。難易度は控えめに3段階の「2」(普通)、そして定価は軍用バージョン、消防バージョン、どちらも35ポーランドズロチ(約1100円)となっている。
何度も祖国を占領、分割されながらもそのたびに立ち上がってきた不屈のポーランド魂を彷彿とさせるしぶといホンカー。東欧の働く車好きなモデラーならこの車両を机上に飾ることができるこの機会を見逃すべきではないだろう。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。

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