Z-Art アメリカスクールバス Freightliner FS-65

話題の海戦ゲーム、World of Warshipsを始めてはみたものの駆逐艦の速力に判断が追いつかず、テケトーに放った魚雷が味方にブチ当たって青くなって逃げてきた筆者がお送りする東欧カードモデル情報。被害者の方、ごめんなさい。
本日紹介するのは先週の予告通り、チェコ Z-Art ブランドの新商品、アメリカスクールバス Freightliner FS-65 だ。

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うむ。誰がどう見てもスクールバスだ。
Z-Art ブランドが2013年の春以来の登場なのは、リリースされるのがよく知らないチェコやスロバキアの古城ばっかりなので見ないふりをしていたからだ。ごめんなさい。なんだか今日は謝ってばっかりだ。

アメリカのスクールバスと言えば黄色、黄色のバスといえばアメリカのスクールバス、と言った感じのあるこの特徴的な黄色い塗装は、連邦安全規格で決められた色で、もともとは鉱物のクロムから作られた塗料、クロムイエローの色である。
アメリカでスクールバスが運行され始めたのはなんと19世紀末。もちろん、このころはバスではなくて馬車だった。18世紀中盤、南北戦争が終わったころから全米には学校が次々に作られていったのだが、それでもアメリカは広大なのでどうにも学校が遠い、でも勉強したい、という子供はお父さんの馬車で学校まで送迎されたりしていた。これを、学校の方から適当なところまで迎えに行きますよ、としたのがスクールバスで、最初に送迎サービスを始めた学校がどこだったのかははっきりとわからなかったが、1886年にはインディアナ州でスクールバス用の馬車車体の生産が始まっていたようだ。
自動車が全米に広まるにつれて、馬車はバスになり、全米の学校がスクールバスを導入していったが、なにしろ学校しか買わない車両なので生産数が限られる。生産数が限られるということは、一台一台が手作りの改造車とならざるを得ない。そうすると、どうしても高価な車両となってしまい、導入できる学校、台数は限られてしまう、という難点があった。
そこで1939年、コロンビア大学教育学部の偉い先生達が集まり、スクールバス普及のために「スクールバスの統一規格」を決定、これを連邦政府に請願して連邦法とした。この中に、「スクールバスはクロムイエローで塗ること」というのが含まれているというわけだ。なお、1939年以前からたいていのスクールバスは目立つようにもともと黄色に塗られていたらしい。

それでは、ここで一息入れて公式ページの完成見本写真を見てみよう。

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子供の乗り降りを見守るためにミラーがいっぱい。残念ながらスクールバス乗降時の事故の約3分の2はスクールバス自身によって起こされている(バスを降りた子供が車体の前後を横切ってしまう)という統計もあり、死角を少しでも減らせるようにスクールバスのミラーは法改正のたびに増加、拡大されているそうだ。
運転席(アメリカなので左ハンドル)の窓の下に「STOP」の標識が見えるが、なんでこんなところにSTOP標識あるんじゃい、と思ったら、このSTOP、よく見ると手前にヒンジがありエアブレーキのように展開できる構造となっていることがわかる。これを子供が乗り降りしてる時に運転手が立てると、前後に「STOP」標識が見えるようになり、バスが止まっている以外の車線に普通の交通標識と同じ効果を及ぼす。つまり、これが立っている時は、このバスを追い抜くことも、なんとすれ違うことさえも交通違反! というわけだ。アメリカの道路交通法ではスクールバスにこのように徹底的な優先権が与えられているので、アメリカで自動車を運転しようという読者は要注意である。

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目の前にプシュー、とスクールバスが止まり、恰幅のいい運転士がドアを開けて「ヘイ、ボーイ! 早く乗りな!」と呼びかけてくる、そんな情景が目に浮かぶような雰囲気満点の写真。
扉の左上にある「Thomas」のロゴが見えるが、これはノースカロライナ州の「トーマス・バス製造会社」(Thomas Built Buses, Inc.)のロゴ。トーマス・バス製造会社は1916年に設立された会社で、当初は路面電車の車体を製造していたが、先述の1939年の連邦スクールバス法が制定された際に「よっしゃ、いっちょやったるか」とスクールバスメーカーになった会社である。
アメリカではトーマスを含む6つのスクールバスメーカーがあり、「Big.6」と、これまたアメコミ風に呼ばれる。そして、この6メーカーで作られた車両がアメリカ全土の学校で使用されている。
ちょっと待て、このバス、トーマス・バス製造会社製だとしたら、キットのタイトルの「Freightliner」ってのはなんなんだ、って言うと、Freightliner(フリートライナー)というのはトラックメーカーで、フリートライナーのトラックシャーシにトーマスがバスボディを載せたのがFreightliner FS-65スクールバスだ。

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左右、真横からの写真。
長い! なんて長いんだ!
アメリカのスクールバスは法令でA、B、C、Dの4種類に別れており、A型、B型は小型、中型で大きさの差だが、C型はトラックシャーシのボンネット型、D型は一体車体の箱型という差がある。今回のキットは言うまでもない大型トラックシャーシのC型。
作例は後輪の上に目立つ継ぎ目があるが、これは実際の車体の構造がこうなっているわけではなく、どうやら用紙の都合のようだ。なので、実際に製作する際には丁寧な工作でできるだけ継ぎ目を消したいところ。
後輪の少し前、ピンク色の縁取りが見える窓は緊急脱出用の窓。もちろん、日本の幼稚園バスと同様に、これとは別に車体後部にも脱出用のドアがある。この窓は車両によっては片側に複数あったり、日本の路線バスのように窓だけではなく非常ドアだったりもする。
なお、実際のスクールバスは車体側面に学校名が入るので、思い入れのある学校名を入れるとぐっと雰囲気が良くなるだろう。そう言えば30年ぐらい前、筆者在住の町でとある私立高校のとっても鮮やかなピンク塗装のスクールバスを時々みかけたのだが、最近とんと見なくなったのはやっぱり恥ずかしかったからだろうか。

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正面とお尻。車体後部には非常ドア。確かに、正面から見るとボンネット部分がトラックであることがよく分かる。グリルには「Freightliner」のロゴ。
数の多いランプ類はアルミ箔やキラキラ折り紙などに透明プラバンを被せて表現すると雰囲気がよくなりそうだ。
あまり大きな声では言えないのだが、ぶっちゃけ、このブランドの作例はちょっと直角や平面が怪しいことが多いのだが、これは芯材に厚紙を入れないチェコ式のカードモデルの構造(チェコのキットは紙もポーランドの印刷よりちょっと薄い傾向がある気がする)ゆえの限界なのかも知れない。気になるようだったら、薄い透明プラ板などを要所に挟むことでキッチリとした雰囲気を出すのもいいかもしれない。しかし、スクールバスは装甲車両じゃないんだから、すこしぐらい平面が波打ってたり直角がかしいでたりするのも、これはこれで「味」として楽しもう、という解決法だってもちろん有りだ。

久々のチェコからの新製品紹介、Z-Artからリリースされたアメリカスクールバス Freightliner FS-65のスケールはチェコの陸モノで多い「ヨーロッパスケール」の32分の1。このスケールでも完成全長は約39センチにもなる。難易度は5段階評価の「4」(難しい)、定価は200チェココルナ(約1000円)となっている。
当製品はスクールバス好きなモデラーには見逃せない一品といえるだろう。


画像はZ-Art公式サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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