GPM ポーランド軍榴弾砲 220 mm wz.1932

I-16の苦闘が終わってから全然制作記事を上げていないが、ちゃんと制作もしてるんですよ、大した理由はないんですがちょっとタイミングが合わなくて記事あげてないだけなんですよ、なんて言い訳をこんなところでしている筆者がお送りする東欧最新カードモデル情報。本日紹介するのは今年、好調に新製品を続々とリリースしているポーランドの老舗、GPM社からの新製品、ポーランド軍榴弾砲 220 mm wz.1932 だ。

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うわー。すごいのきちゃった。
重厚な砲座から第一次大戦、下手すりゃ日露戦争の火砲のように見えるが、「wz.1932」という制式名でわかる通り、ちゃんと戦間期の火砲だ。

第一次大戦後にロシア帝国から分離独立を果たしたポーランドだったが、その後の内戦の影響もあり陸軍は重装備の不足に悩まされていた。
中でも全く手持ちがなくて困っていたのが重曲射砲で、これがないと敵要塞を攻略することができない。そして、1920年台中頃からドイツはポーランドとの国境沿いにコンクリートトーチカを構築し始めていた。そこで、ポーランドはこれを粉砕するために1927年にボフォース(スウェーデン)、ヴィッカース(イギリス)、シュナイダー(フランス)、そしてスコダ(チェコスロバキア)などの火砲メーカーに要塞攻略用の攻城砲の調達を打診する。
ん? ちょっと待て、一見固定砲台用の火砲に見えるこれ、逆に要塞を攻略するための火砲なのか。
しかも、『ドイツが国内に作ってる要塞を粉砕するための火砲が必要』ってポーランドはどんな戦争をするつもりだったんだ……

ポーランドの「誰かいい重砲売ってくれない?」の依頼に応えたのがスコダ社。スコダは「新しくできた東欧の諸国家はまだ重砲を持っていない。そこへ新型で扱いやすい重砲を売れば大当たり間違いなし」と見込んで新型重榴弾砲を開発しており、この目論見がドンピシャビンゴで合致したというわけだ。
スコダが新たに開発した220ミリ重榴弾砲を用いて行った行軍、組み立て、射撃のデモンストレーションを視察したポーランド軍は性能に大いに満足。これでビッグビジネス成功ですよ、とホクホクしていたスコダだったが、しばらくして送りつけられてきたのは売買契約書ではなく、66箇所に及ぶ改善要求だった。ぎゃふん。

ポーランド軍が特に重視していたのが砲尾の改善で、はっきりしないのだがどうも鎖栓式(させん式。金属ブロックをスライドさせて閉鎖する)の閉鎖器を、隔螺式(かくら式。栓をしてから捻って閉鎖する)に変えろという注文だったらしい。そこを変えたら、設計大変更じゃないすか、とスコダ側は難色を示したが、ポーランド側は鎖栓式じゃダメ、絶対。の一点張り。何がポーランドをそんなに頑なにしたのかはわからない。
結局、最後にはスコダ側はめんどくなって修正を放棄。代わりにフランスのシュナイダーが砲尾を再設計した。
そんなゴタゴタの結果、やっと話がまとまったのが1933年の3月。新型砲尾の220ミリ重榴弾砲27門をポーランドはスコダから購入する契約を結んだが、なぜか代金はポーランド産の石炭で支払われたという。

1939年、開戦時に220ミリ重榴弾砲は第1重砲連隊に配備されていた。連隊は第11、第12、第13の3つの大隊に分かれ、それぞれが220ミリ重榴弾砲2門を装備した3個中隊からなる。つまり、第1重砲連隊の火力は2*3*3の18門。残りは予備だったらしい。
第1重砲連隊はドイツ軍の前線を突破した後に投入される戦略予備のプルシー軍に配備される予定だったが、いざ戦争が始まってみるととてもじゃないがドイツ領内に攻め込んで、なんてのは夢のまた夢だったので第11大隊がモドリン要塞に送られ、第12、第13大隊がルブリン軍に送られたが、後者2個大隊は配置に付く前にドイツ軍、ソビエト軍に捕捉され壊滅してしまった。
一方、第11大隊は9月22日から23日にかけて押し寄せるドイツ軍第28歩兵師団に対して投入され巨弾を撃ち込んだ。220ミリ重榴弾砲は実際の威力よりもその迫力でドイツ軍を圧倒したが衆寡敵せず、第11大隊は全ての砲弾を撃ち尽くすと全火砲を破壊してから全滅した。

ドイツは鹵獲した220ミリ重榴弾砲を再整備の上で「Mrs 538 (p)」の名前で戦列に加えた。スコダは同型の砲をユーゴスラビアにも10門納入しており(こちらは砲尾が隔螺式のままだった)、これも一部を鹵獲したドイツ軍はユーゴの220ミリ重榴弾砲を「Mrs 538 (j)」として区別していた。
これらはとてもじゃないが電撃戦には使えないので、ノルウェーで沿岸砲台として使用されたようだ。なお、一部がセバストポリ攻略で使用したとされる。
また、ソビエト軍は7門の220ミリ重榴弾砲を鹵獲(うち6門が9月19日に降伏した第13大隊の装備)。ソ・フィン国境紛争でマンネルハイム線に対して使用したらしいがその後の消息は不明である。

それでは、火砲なんてただでさえ地味な感じなのに、特に地味な感じの220ミリ重榴弾砲の勇姿を公式ページの完成見本写真で見てみよう。

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なぜか完成見本なのに古写真風エフェクト付き。たぶん、リベット等ディティールアップ済みの状態だろう。
一回据え付けたら前しか撃てないように見える220ミリ重榴弾砲だが、よく見ると足場に円盤状の旋回部分がある。

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今度は後ろから。でも写真のシワのパターンがさっきと一緒だぞ。
仰角は最大75度。意外にも俯角も4度取ることができる。スペック表には「毎分20発発射可能」と書いてあるが、どう考えても砲身を水平にしないと装填できないので、水平撃ちなら20発撃てないこともない、という程度だろう。
ちなみに砲弾重量128キロ、最大射程15キロ。

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220ミリ重榴弾砲はもともと要塞砲ではないので、一応、機動戦にも対応できるように分解輸送ができる設計となっており、キットも輸送状態として組み立てることが可能。
牽引は7TP戦車を改造したC7Pトラクターが使用されたが、C7Pトラクターは以前に「PRO MODEL」というブランドが2002年にキット化している。少し古いキットだが、まだショップで見かけるので興味があるモデラーは押さえておきたい。
分解には5時間半かかるが、合体はガン!ガン!ガン!と2時間半で完了したそうだ。本当なら大したもんだ。
なお、キットは分解可能なのか、それとも射撃状態と輸送状態のコンパチキットなのかはよく分からなかった。どうもコンパチキットのような気がするんだが、自信がないので断言は避けておこう。
220ミリ重榴弾砲自体は戦争で全て失われたが、このトレーラーは2013年にノルウェーで浅い湖の底に沈んでいるのが発見された
発見されたトレーラーは2014年の渇水期に回収され、現在はビドゴシュチの陸軍博物館で補修中とのことである。

GPMの新製品、ポーランド軍榴弾砲 220 mm wz.1932 は、ズングリしたフォルムのために陸モノ標準スケール25分の1で完成しても全長約15センチ程度の意外と小柄な火砲。しかし、3パーツに分解してキャラバンをつなげれば相当ビッグな編制となりそうだ。
難易度は3段階評価の「3」(難しい)。そして定価は140ポーランドズロチ(約4600円)。また、レーザーカット済みの厚紙パーツセットは80ズロチ(約2600円)で同時発売となる。
なんというか、そもそもの発端からして間違い気味だったので活躍しようがない感じの220ミリ重榴弾砲だが、ポーランド軍重砲マニアのモデラーにとっては当キットは見逃すことはできない一品と言えるだろう。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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