GPM 中国軍主力戦車 69-II式

先週一週間、咳が止まらなくて死ぬかと思ったけど意外と死ななかった、でも工作は全然できなかった筆者のお送りする東欧最新カードモデル事情、今回紹介するのはポーランドGPM社の新製品、中国軍主力戦車 69-II式 だ。

-produkty-279313-kat-433-type-69-jpg-1900-1200.jpg

前回の殲撃五型に続いての中国軍。これは中国軍の存在感が世界的に増しているということなのだろうか。あるいは昔デザインしたソビエト軍のキットを微修正して出せば二度おいしい、という目論見が被っただけだろうか。

1949年に成立した中華人民共和国は当初、装甲戦力として日本軍が置いていった九七式中戦車とか、蒋介石の中華民国軍が置いていったアメリカ製M5スチュアート戦車なんかを持っていたが、もうすぐ50年代になろうってのに流石にこれは性能的にアレだし、そもそも戦車なんて動かしゃ壊れるモノなのにスペアパーツの供給が全く目処がつかないというのはかなり問題だった。
そんな新生中国軍を助けてくれたのが同じ共産主義を信奉する心の友、ソビエトだった。ソビエトは困っている中国にT-34/85戦車1800輌を筆頭に、Su-85やらSu-100やらJsu-152やらを大量にドドーンとプレゼントしてくれた。なんという太っ腹。まぁ、ぶっちゃけ第二次大戦が終わって戦車余ってたんだな。中国人民解放軍はこの大量のソビエト戦車で装甲戦力を再編成する。
ところで、「中国はT-34を『58式戦車』としてコピー生産した」と書いてある資料が多いのだが、この中国製T-34はいったい、どれぐらい生産されたのかがさっぱりわからない。資料によっては「59式戦車を生産するために中国最初の戦車工場、第617工場が内モンゴルに建設された」と書いてある資料もあるのだが、58式戦車は工場もないのにどうやって生産したんだろうか。『週刊T-34』を毎号買って、家で組み立てたんだろうか。なお、どうでもいいことだが『週刊T-34』は実際にロシアとポーランドで販売されている。毎号揃えると16分の1のスーパーディティールT-34が完成する。欲しいぞ。
あと、中国は「58式は朝鮮戦争で米軍装甲車両をボコボコにやっつけたよ!」と主張しているが、米軍は朝鮮では中国製T-34の存在を確認していない。だいたい、「58」ってなんの数字だ。

そんな、存在するんだかしないんだか良くわからない58式だったが、仮想敵国アメリカが大量に保有しているM-26パーシングやらその後継車両M47パットンやらと戦うのには心もとない。「米帝なんぞ、朝鮮戦争で軽くボコってやったっすよ」と言ってみたけどやっぱり心もとない。
さて、どうしたもんすかね? とソビエトに聞いてみたところ、太っ腹なのか単に面倒になったのか、「じゃあ工業力育成のためにも、うちのT-54を生産してみる? 今なら53年型のおわん型新砲塔もつけちゃうよ?」という話になり、1956年から中国製T-54の生産が内モンゴルの工場で始まった。
当初、毎度おなじみのソビエト製パーツを組み立てるだけだった中国国産戦車だが、1959年ごろには完全国産が可能となり、「59式」の名前が与えられた。じゃあ、それ以前の組み立てキットはなんて名前だったのか、良くわからない。形式番号の方の「WZ-120」で呼ばれていたのか。

戦車が国産可能になった中国は嬉しさのあまり59式を1万輌ほど生産してしまったが、作ってるうちにいろいろと気がついた。まず、T-54で標準装備だった赤外線ライトが59式には装備されていない。旋回も自動だったはずなのに手動だ。しかも、よくよく確かめてみると、どうも装甲厚がT-54より59式の方が薄いらしい。なんてことだ。ソビエトにしてみれば「まだ工業力の低い中国くんのために、難しい部分ははしょっておいたよ。感謝して!」と言いたいのかもしれないが、やっぱり中国としては納得いかない。
さらに、折り悪くスターリン批判から始まった中ソ対立は深刻さを増すばかり。今更「あんたんとこの戦車、完全版の作り方教えてよ!」と言いに行ける雰囲気じゃなかったので、59式戦車を生産している第617工場に「国産戦車をパワーアップせよ」の命令が飛んだ。
第617工場ではエンジンのパワーアップ、オリジナル主砲(105ミリ滑空砲)の装備、赤外線装置の標準装備、の3本をメインに改修した「69式戦車」の設計をまとめるが、この105ミリ滑空砲が泣きたくなるような大ハズレで、どこに弾が飛んでくかわからないという欠点があったためにひとまず69式の生産は見送られることとなった。
69式戦車が完成したのと時を同じくして、中国とソビエトの対立はついに国境のオモシロ名前島で武力衝突に発展。中国はこの戦いでソビエトの新型戦車、T-62を1輌鹵獲している。
T-62を解析した結果を反映し、主砲ももともとの100ミリライフル砲に戻して大量生産にこぎつけたのが今回リリースされた 69-II式 だ。

それでは、説明が長くなったがここで公式ページの完成見本写真を見てみよう。

-produkty-279313-t-59-7-jpg-1900-1200.jpg -produkty-279313-t-59-2-1-jpg-1900-1200.jpg

非常によく似ており見分けのつきにくい59式と69式だが、どう違うのか実は筆者にはよくわからない。主砲や赤外線装備がまとめて同じもので改装されていることもあり、輸出され現地改造された車両のベースがどちらかなのかの判断はかなり困難で、海外の資料でも「T-54/T-55/type59/type69」みたいにソビエト製もまとめて全部一つに扱われてることまである始末だ。
59式は原型となったT-54がMODELIKよりリリースされているので、興味があれば両者をじっくりと作り比べてみるのもいいだろう。さらにGPMよりリリースされているT-55との比較もおもしろそうだ。
ちなみに天安門事件の有名な「無名の反逆者」と対峙しているのは59式だそうだ。


-produkty-279313-t-59-6-jpg-1900-1200.jpg -produkty-279313-t-59-4-jpg-1900-1200.jpg

細部にクローズアップ。今回のキットは難易度は抑え気味で、極端に細かいパーツはないようだ。
塗装は表紙でも分かる通り、イラク軍装備車両。イラク軍は1980年代に59式と69式を合計数百から千数百輌(資料ごとに異なりはっきりない)、中国から購入しており湾岸戦争ではT-54、T-55とまとめて国連軍に対して投入されたがM1エイブラムス相手には全く歯が立たなかった。
1970年代、ソビエトと対立していた中国に「悪の帝国ソビエトと戦う友よ、我らがジャスティス連合に加わり給え!」とアメリカが大接近し、一時的に西側陣営と見なされた中国はイギリスからセンチュリオン戦車が積んでいる105ミリL7戦車砲の設計図をまんまとゲット、これを国産化し69式に搭載した「79式」が後に開発されており、性能的に十分でなかった69式は主に輸出に回されたようだ。あんたも安物送りつけてきたソビエトの事悪く言えませんな。

GPMの新製品、中国軍主力戦車 69-II式 は陸モノ標準スケール25分の1で完成全長約35センチ。難易度は3段階評価の「2」(普通)と控えめ。価格は60ポーランドズロチ(約2000円)で、オプションパーツはレーザー彫刻済み履帯が50ズロチ(約1700円)、レーザーカット済みパーツ&芯材が同じく50ズロチで同時発売。また、T-54/55と共用の木製砲身が10ズロチ(約300円)ですでに発売済みとなっている。
まだカードモデルブランドが中国に存在しないためにカードモデルとしては非常に珍しい中国軍車両のキットを中国人民解放軍ファンのモデラーは見逃すべきではないだろう。また、イラク軍ファンのモデラーなら、当キットを千数百冊購入してかつてのイラク軍気分を追体験するのもおもしろそうだ。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
スポンサーサイト

テーマ : 模型・プラモデル・フィギュア製作日記
ジャンル : 趣味・実用

コメントの投稿

非公開コメント

展開図公開中
最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
プロフィール

のとっちょ

Author:のとっちょ
カードモデル初心者が苦闘するさまをご覧あれ。

検索フォーム
リンク(順不同、敬称略)
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード