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Fitter's models Curtiss BFC-2 "Goshawk"

長年放っておいた歯の治療がもうすぐ終わりそうでご機嫌な筆者のお送りする、比較的新し目のカードモデル情報。
今回紹介するのはEcardmodelsを拠点に活躍するブランド、「Fitter's models」の新製品 Curtiss BFC-2 "Goshawk" だ。

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どいつもこいつも「Hawk」な上に翼の形が全部一緒でどれがどれの発展型なのかさっぱりわからないカーチスの複葉機だが、アメリカ陸軍が「P-6」戦闘機として採用したのがカーチス・モデル35「ホーク」。このホークを艦載型にしたのがカーチス・モデル64「ゴスホーク」で、F6C カーチス・モデル34C「ホーク」の後継機として採用された。つまりホークの艦載型のゴスホークがホークの後継機として採用されたわけだ。わけわからんくなってきたぞ。
なお、モデル64はモデル35の艦載型じゃなくて、モデル34Cのパワーアップ型とする資料もあるが、もうなにがなんだかわからないからこの辺にしておこう。
ちなみに「ゴスホーク」というのは、ヒラヒラフリルがいっぱいついた黒いゴスロリドレスを着た鷹のことではなく、日本で言う「オオタカ」のことである(動物の分類は言語によって差異があるので、厳密には「Goshawk=オオタカ」というわけではない)。
1932年9月、モデル64は海軍に採用され、「F11C」の制式化番号が与えられる。これは「戦闘機11型カーチス製」を意味する。量産型のF11C-2は爆装能力を評価され、後に小修正の上で戦闘爆撃機にカテゴリが変更され制式化番号も「BFC-2」に変更された(「1型」は省略されるので「BF1C」とはならない)。

記号と「ホーク」ばっかりで混乱してきたので、クールな完成見本写真を見て落ち着こう。

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戦間期の米軍軍用機のお約束、デカい星形エンジンと主翼上面のド派手な真っ黄色が目を引く。この黄色は、まだ本気で戦争するつもりがなかったので、不時着した機体を発見しやすくするため。
この主翼配置だと前方頭上から敵機が突っ込んできたら上翼が邪魔で全く見えないが、いいんだろうか。

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下面。上からみるとそこそこ普通に見えるゴスホークだが、下から見ると上翼を縮小したような下翼が後退して取り付けられているせいで機首が薄ら長く、持て余し気味な首に直接固定脚が着いてるもんで、なんだかとってもやる気がなさ気に見える。
後にBFC-2のエンジンを強力なものに換装し、脚を引き込み式としたモデル67が後継機として採用されるが、胴体に脚を引き込むようにしたもんだから、よりいっそう薄ら寝ぼけた機首周りの形に拍車がかかって、なんともトホホなスタイリングとなった。
なお、「BFC-2 ゴスホーク」の後継機となったモデル67の制式名称は「BF2C ゴスホーク」で、もうここまで来ると後世のモデラーを惑わすためにわざとやっているとしか思えない。

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コクピット周りにクローズアップ。マーキングは1937年、空母「サラトガ」配属機。胴体側面のシルクハットマークは、アメリカ海軍VB-3飛行隊の部隊章だ。
VB-3は1919年に「太平洋艦隊付属航空隊」として編制された部隊で、1926年にはアメリカ海軍最初の航空母艦「ラングレー」の艦載機部隊となったアメリカ海軍最初の空母艦載機部隊でもある。
空母の名前の「ラングレー」というのは、ライト兄弟の初飛行の直前に飛行機型物体をポトマック川に叩きつけたのを「世界初の動力飛行でござーい」と言い張る度胸の大きさで歴史に名を残すサミュエル・ラングレー教授のことで、なぜアメリカ海軍初の空母の名前が「ライト」にならなかったのかと言えば、ライト兄弟は飛行機の特許に関して訴訟を連発し、アメリカ航空会の進歩に少なくない悪影響を与えたためだろう。ライト兄弟の特許訴訟に苦しめられたグレン・カーチスも、空母「ラングレー」の命名には兄弟めザマーミロという感じに違いない。

なお、VB-3「トップハット」飛行隊は何度か任務の変更と共に名称を変えながら北アフリカ上陸「トーチ」作戦の支援、レイテ海戦を経てベトナム戦争、湾岸戦争に参加。現在は「VFA-14」としてニミッツ級空母ジョン・C・ステニスに配属、装備機はF/A-18「スーパー・ホーネット」となっている。
この間、配属になった航空母艦は計20隻、装備機は23種類、名称は14回変更され、現在の指揮官は82代目だそうだ。

BFCはBF2Cへの切り替えが早かったために、米海軍には28機しか納入されていないが、輸出型の「ホーク2」は好調でトルコ19機、コロンビア26機、ボリビア9機、チリ4機、キューバ4機、ノルウェー1機、ドイツ2機、中華民国52機など多くの国に輸出されている(一部はBF2Cの輸出型「ホーク3」。また、車輪をフロートに換装した水上機型を含む)。
Fitter's modelsでも、今回のBFC-2の他に
ホーク2 キューバ軍
ホーク2 トルコ軍
ホーク2 ボリビア軍
ホーク2 タイ軍
ホーク2 中華民国軍
ホーク2 ドイツ軍エルンスト・ウーデット乗機
ホーク2水上機型 ペルー軍
ホーク2水上機型 コロンビア軍
ホーク2水上機型 ドイツ軍
など書いてる途中に自分で何書いてるんだかわからなくなってくるぐらい多様なバリエーションをリリースしている。
上記の中の「エルンスト・ウーデット乗機」というのは、ドイツが購入したうちの1機で、ベルリン・オリンピック中に行われたアクロバット飛行のエキシビジョンでウーデットが乗った機体だ。国威高揚の場でアメリカ製の飛行機でいいのか、ウーデット。
この機体は終戦後、なぜかポーランドのクラコウ近郊の飛行場で放置されているのが発見され、半壊状態ながらもクラコウのポーランド航空博物館に現存している

今や世界最強となったアメリカ空母艦載機部隊の元祖であるにも関わらず、なんだかマイナーな存在のBFC-2 "Goshawk"は空モノ標準スケール、33分の1でのリリース。定価は8ドルとなっている。
勘と記憶力のいい読者ならすでに気がついているだろうが、Fitter's modelsのホークシリーズは以前に当コーナーで紹介したGPMのホークと同一である(記事はキューバ軍だが、BFC-2のキットもリリースされている)。GPM版は定価35ポーランドズロチ(約1100円)と少々割高になるが、GPMの美しい印刷でキットが得られる事を思えば、納得のいく値段と言えるだろう。
マイナー空軍のファンなら、マイナー各国機をコンプリートして夢の小国連合空軍混成編隊をカードモデルで実現するのもいいだろう。


画像はEcardmodelsからの引用。


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