Orel ソビエト軍警備艦 СКР-29 "Бриллиант"

さぁ、いよいよ2014年も残りわずか。泣いても、笑っても、I-16の主翼がどう考えても胴体とくっつくように見えずに途方に暮れても、今回が今年最後の新製品情報となる。
本日紹介するのはウクライナOrel社の新製品、ソビエト軍警備艦 СКР-29 "Бриллиант"だ。

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Orelのキットが当コーナーに登場するのは久々。確認してみたら、なんと2013年最後の新製品紹介以来、丸々一年ぶりだった。なぜそんなに久々なのかと言うと、今年の夏ごろから公式ページが404で行方不明だったからだ。ぎゃふん。
なんの説明もなく行方不明になったかと思ったらなんの説明もなく帰ってきたOrelが夏頃にリリースしてた新製品、СКР-29 だが、 "Бриллиант"(ブリリアント)なんて名前だからてっきりイギリス艦かと思って途中まで調べた(イギリス海軍に同名の駆逐艦がある)が、どうもおかしいと思って改めてよく見たらソビエト海軍の船だった。

「警備艦(Сторожевые корабли)」というのは西側では聞かない艦種だが、商船などの護衛や沿岸警備に使われる艦艇で、西側の基準では駆逐艦より小さく、魚雷艇よりは大きい。
革命後、赤色海軍の再建は小型艦艇の建設からぼちぼちと始められたが、最初に建造された小型艦「ウラガン級(450トン)」がこのクラスの元祖となる。
ソビエト海軍の艦艇は全て「Проект(プロエクト)」という建艦計画の番号がふられているが、ウラガンは1927年にとりあえず作ってみた第1シリーズがプロエクト2、一応カタチになったのに気を良くして同年に追加発注分されたプロエクト4、そして戦前になってなんでもいいから船の数をとりあえず増やそうと追加した第3・第4シリーズがプロエクト39となる。

ウラガン級はトップヘビーで速度が遅く、ぶっちゃけデキが悪いというか、使い物にならない船だったんで、ソビエト海軍はウラガン級を拡大した”Ястреб”(ヤストレブ、「鷹」。900トン)級を開発、プロエクト29として20隻建造するはずだったのだが開発はずるずると遅れ、やっと1隻が完成したところでドイツ軍が攻めてきたもんだから5隻が建造休止(戦後に完成した)、4隻が建造中止、残り5隻はドイツ軍が未完成状態で接収したが「イラネ」とスクラップにしてしまった。
ウラガン級は使い物にならない、ヤストレブ級はいつになっても建造が始まらない、というわけで、このままじゃまともな警備艦がないんでもっと控えめにウラガン級をちょっとだけ拡大した船として準備されたのがプロエクト43、「ブリリアント級」(580トン)らしいのだが、実は開発の経緯について詳しい事はよくわからない。だってブリリアント級って極端に情報が少なくてロシア語版Wikipediaにさえ記事がないんだもん。
艦名はウラガン級の各艦が「台風」「吹雪」「雷雨」などの悪天候に由来した名前、ヤストレブ級は「鷹」「鷲」などの鳥と「虎」「豹」などの猛獣のチャンポンだったが、ブリリアント級は宝石の名前となっており、ブリリアントの他に3隻、「ЖЕМЧУГ(真珠)」、「РУБИН(ルビー)」、「САПФИР(サファイヤ)」が建造された。
なお「ブリリアント」というのは英語では「まばゆく輝く」のような形容詞に使われることが多いが、ロシア語ではカット研磨済みのダイヤモンドのことを指す名詞として(いわゆるブリリアント・カットでなくても)使われるようだ。ちなみに鉱石としてのダイヤモンドは「Алмаз(アルマーズ)」。

それでは資料が少なくてさっぱり詳しいことがわからないブリリアント級の姿を公式ページの完成見本写真で見てみよう。

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「見てみよう」とは言ったものの完成見本写真はこれ一枚きりと、ここでも情報不足。グラスノスチはどうなった。
パッと見たところウラガン級で問題となった後部デッキが水面に近くていつもびしょ塗れなのはそのままだがいいのだろうか。まぁ、ダメなんだけど、戦争が迫っていてそれどころじゃなかったんだろうな。
武装はウラガン級が2門積んでた102ミリ単装砲を艦首の1門だけにしたので、トップヘビーは少しは解消されているのだろう。それ以外に45ミリ砲2門、37ミリ砲1門を自衛のために積んでいる。あとは爆雷40個、機雷31個。なにはさておき、機雷を積まずにはいられないのがソビエト海軍。

ブリリアントは当初「ПСК-303」という艦名で建造され、最初はNKVD(内務人民委員。国境警備も担当だった)に引き渡されたが、1941年5月に艦名を「ブリリアント」に改められ、6月始めに海軍北方艦隊に移籍している。
42年12月5日、空襲を受け着底。再浮揚後44年6月に軍務復帰するも9月23日、北極海船団護衛中にドイツ潜水艦U-957の魚雷攻撃により戦没した。
ドイツ軍侵攻後、ソビエト海軍は600トンに満たないブリリアント級でさえ拡充する余裕がなくなり、警備艦の任務はわずか50トンのMO艇に引き継がれた。

年末だってのに全然パッとしないOrelの新製品、ソビエト軍警備艦 СКР-29 "Бриллиант"はスケールは小艦艇スケールではなく、海モノ標準スケールの200分の1でのリリース。このスケールだと完成全長はたったの30センチ。難易度は3段階評価の「3」、そして定価はこのキットがなぜか公式ページのカタログに載っていないのでわからないが、GPMのショップで49ポーランドズロチ(約1600円)で売ってるから、まぁ、そんなもんなんだろう。
ソビエト海軍警備艦ファンのモデラーなら、是非ともOrelからすでに発売済みのウラガン級MO艇と並べておきたい。

イギリス軍練習機で始まり、ソビエト軍警備艦で終わった2014年の新作紹介。読者諸氏の興味を引くキットはあっただろうか。
来年はどんな微妙なキットが発売されるのか、どうせ毎回聞いたこともないアイテムの資料集めに大苦戦することになるんだろう、と思いつつ本年の新製品紹介を終わりとしたい。


画像はOrel社サイト公式フォーラムからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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