GPM ポーランド チョルスティン湖畔の城 2種。

水曜にI-16の制作進行状況を報告するのを、何の理由もなくすっかり忘れてたが、良く考えたら飛行機の切り身が増えてくだけなんで、まぁ、忘れてても別にいいか、と開き直った筆者の贈る東欧カードモデル最新事情。
世間では年末だ、クリスマスだ、ハヤブサ2射ち上げ成功だ、と浮かれているのとは全く関係なく、今回紹介するのはポーランドGPM社の新製品、ポーランド チョルスティン湖畔の城 2種だ。

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久々にGPMミニシリーズからの建造物キットの紹介だ。
まず紹介するのはニエジツァ城。「ニエジツァ(Niedzica)」というのは城が立っているポーランド・スロバキア国境の町ニエジツァのことで、ドゥナイェツ川に面して立てられていることからニエジツァのドゥナイェツ城(Zamek Dunajec)とも呼ばれる。

もともとこの城を建てたのは当時スロバキアを領有していたハンガリーだったが、なにぶん位置が微妙なせいでニエジツァはハンガリー王を兼任していた神聖ローマ皇帝ジギスムントがポーランド王からお金を借りた抵当としてポーランドに割譲されていたり、ジギスムント皇帝がきっちりローン返済を終えたんでハンガリーに戻ったり、トルコ軍が南ヨーロッパを攻め上がっていった時にポーランドが防衛するためにハンガリーから譲り受けたり、とまぁコロコロと領有が変わった。
それに併せて城の所有者もコロコロと変わったが、第二次大戦末期にハンガリー系の伯爵がソビエト軍に追われて城を捨てて無人となり、最終的にポーランドの国有となったようだ。

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一休みして公式ページの完成見本写真。

城は1963年まで修復が行われ、現在は博物館として公開されている。主な収蔵品はこの地方の民族文化に関わる諸々、アンティークの時計、18世紀から19世紀にかけての狩猟用の銃と剥製といういかにもヨーロッパの貴族らしいコレクション。
また、1996年には城と関係の深いハンガリー政府から古地図や図版などのコレクションが城に譲渡され、これはハンガリー国外におけるハンガリー歴史書のコレクションとしては最大のものとなっている。

ニエジツァ城は宿泊可能な城としても有名で、宿泊料は大人二人250ズロチ(約7500円)とのこと(2010年の情報)。

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キットの細かい様子。
このキットは歴史あるニエジツァ城の雰囲気を楽しむためのもので難易度も抑え気味となっている。なので、屋根がなんだかヘニャヘニャしてるとか、屋根の上の小さな塔が凄く傾いているとか、そういう細かいことを気にしてはいけない。

現在、ニエジツァ城はチョルスティン湖のほとりに建っているが、この湖は20世紀終盤に完成したダムのダム湖で、もともとは険しい渓谷の崖の上に建っていた(そのため、地盤の石灰質が水に溶け出して城が湖に滑り落ちないか、現在は定期的な補強と地質の監視がされているとのこと)。
「崖の上の伯爵の城」というのは地元の人の想像力をいたく刺激したようで、城にはドラキュラばりのちょっとおかしな伯爵にまつわる血なまぐさい伝説が数多く残されているという。
そんなニエジツァ城伝説の中でも異色なのが、18世紀の城主セバスチャン・ベルゼビツィ(Sebastián Berzeviczy)にまつわるもので、この人が南北アメリカ大陸に旅行に出かけた時に、南米でインカ帝国の皇女と恋に落ちたというものだ。
それだけでもかなり飛躍しているのに、さらにハンガリー系貴族とインカ帝国皇女の間には「ウミナ」という娘が生まれ、彼女はスペイン支配にたいするインカ系住民の大反乱を率いたトゥパク・アマル2世の甥、アンドレス・トゥパク・アマルと結婚したというのだからぶったまげだ。
トゥパク・アマル2世はスペイン軍に捕らえられ処刑されたが、伝説ではそれに先立ち、彼の甥とウミナの夫婦はセバスチャン・ベルゼビツィの手引でヨーロッパに脱出、インカ帝国の莫大な黄金の財宝の埋蔵場所を示した宝の地図をニエジツァ城に隠したという。ディズニーで映画化されてもおかしくないビッグスケールな伝説だ。

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写真右側中央に見えるのがニエジツァ城のシンボルである時計台で、実際に中庭から見るとこんな感じだ。
キットと写真を見比べてみると屋根の上の玉ねぎなど、細かい部分が省略されていることがわかる。腕に覚えの有るモデラーなら徹底的な再現に挑戦してみるのもいいだろう。

さて、ニエジツァ城からはチョルスティン湖を挟んで対岸にあるもう一つの城、チョルスティン城が見える。
GPMから同スケールでリリースされているチョルスティン城のキットもついでに見てみよう。

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チョルスティン城も13世紀から14世紀にかけて建造された城だが、1790年に落雷が原因で発生した火災により破壊され、そのまま放棄された。
現在は一部が見学用に整備されているが、基本的には廃墟のままだ。

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したがって、キットはチョルスティン城の「在りし日の姿」となるが、どうも現在の廃墟とはレイアウトが異なるような気がするし、背が高く薄い城壁など火砲が発達する以前の時代の城の特徴を備えているので17世紀中盤に行われた大改修以前の姿をキット化しているのかも知れない。この辺は公式ページになにも書いてないので良くわからない。

ポーランド南部、スロバキアとの国境近いチョルスティン湖畔に建つ2つの城、ニエジツァ城とチョルスティン城はどちらもスケールは250分の1。また、難易度も両方3段階評価の「2」(普通)、定価も仲良くそれぞれ50ポーランドズロチ(約1500円)となっている。
ニエジツァ城に宿泊したことがある、という幸運なモデラーならこのキットを見逃すことはできないだろう。
もちろん、ハンガリー、ポーランドの城塞ファンのモデラーなら2キット併せて購入したい。
また、インカ帝国の財宝を掘り出そうと企む野心溢れるモデラーなら、まず宝の在処を探すための段取りとしてニエジツァ城の模型で捜索の当たりをつけるのも、まぁ、夢があっていいんじゃないの。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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