Bestpapermodels ドイツ軍支援戦車 Panzerkampfwagen III AusF. N

いよいよクリスマスも間近。カードモデル界でもGPMWAKから相次いで「イエスの降誕」情景キットが発売されたのを紹介しようと思ったが、さすがに書くことなくて断念した筆者のお送りする東欧カードモデル事情。
今回はチェコのブランド Bestpapermodels の新製品、ドイツ軍支援戦車 Panzerkampfwagen III AusF. N を紹介しよう。

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Bestpapermodelsはダウンロード販売のみなので今回も表紙は無しだ。紹介する方としては表紙画像のみで完成見本写真がないのに比べれば遥かにやりやすい。
有名車両なので解説は簡単に済ませよう。
ドイツ軍は開戦前、高初速小口径の砲で敵の装甲を貫く3号戦車と、低初速大口径の砲で敵の陣地を吹き飛ばす4号戦車の二本立てでの運用を考えていた。
ところが、いざ戦争が始まってみると3号戦車の主砲、37ミリ砲では敵戦車の装甲を撃ちぬけないことが多かった。これじゃ話にならないんで主砲を50ミリ砲、さらに長砲身50ミリ砲へと換装したが分厚い傾斜装甲に守られたソビエト軍戦車にはそれでも威力不足。
結局、重装甲化する敵を倒すために設計に比較的余裕のあった4号戦車の75ミリ砲が長砲身化され、元支援戦車ゆえの薄い装甲に悩まされながらも終戦まで押し寄せる連合軍戦車と戦い続けることになる。
4号戦車が敵戦車を倒すようになって存在感を増した一方、3号戦車はいらない子ちゃんと化してしまった。いらなくなった車両をなんとか魔改造して使えるようにするのが大好きなエコ精神溢れるドイツ軍は、4号戦車を長砲身化したせいで余ってた短砲身75ミリ砲を3号戦車と組み合わせることを思いついた。こうして生まれたのが支援型3号戦車、3号戦車N型だ。
つまり、N型の登場で3号戦車と4号戦車の役割は逆転したことになる。

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とは言っても、N型の登場で3号戦車の生産全てが支援型に切り替わったわけではなく、引き続きなんとかして主力戦車として使おうとう涙ぐましい努力も続いていた。中には4号戦車の砲塔をそのまま載せちまえ、なんていう大胆なアイデアもあったが、まぁ、大方の予想通りに無理だった。
N型の生産が始まった1942年6月には主力戦車型としてJ型が生産中だったが、砲塔と車体の前面にスペースドアーマーを装備したL型、排気管のレイアウトを変更したM型が開発されたが肝心の主砲が同じだったので敵戦車には対抗しようがなく、43年2月に主力戦車型の生産は終了した。
支援戦車型は主力戦車型がバージョンアップしていく隣で一緒に作っていたので、一言で「N型」と言っても時期によってベース車両がJ型からM型まで変化している(J型ベースはごく少数)が、どうやらキットの車両はL型ベースのようだ。
ところで戦車型の最終型が「M」で、それ以前のJ型のころから生産している支援型がそれに続く「N」なのは単なる偶然なのか、それとも後付で分類しなおしたのかは手元の資料からでは良くわからなかった。

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チェコの陸モノキットはポーランドやロシア・ウクライナでのスタンダードである25分の1ではなく、「タミヤスケール」の35分の1。
冬季迷彩が流れ落ちた白のマダラ模様が目を引くが、これは塗りではなくキットのテクスチャのままだ。
雑具入れの後ろにペイントされている「マンモス」のマーキングは第502重戦車大隊所属車両であることを表す。重戦車大隊はできれば全部重戦車で編成したかったのだが、肝心のタイガー戦車の数が全然足りなかったので「重戦車大隊にも支援戦車は必要でしょ」とうそぶいて数合わせ的に3号戦車支援型が編制に組み入れられていた。時期は42年から43年にかけての冬、レニングラード方面。重戦車大隊が初めて投入された戦いだ。

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大盤振る舞いの展開図&組み立て説明書大公開。チェコのキットは組み立て説明書は少く、展開図に部品接着位置が直接書き込まれているのでたぶん説明書はこれで全部だ。
画像左下部分の展開図にはオマケパーツのテント、ジェリカン、なんかの木箱が見えている。
あと、チェコのキットは芯材を組まないので大きな平面がたるんでしまいがち。気になるようなら、広い面は厚紙で裏打ちするといいだろう。

Bestpapermodelsは他にも同スケールでいくつか戦車のキットを出しているが、今回の3号戦車と同じ第502重戦車大隊所属のタイガー戦車も過去にリリースしているので併せて紹介しておこう。

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さすがにちょっと古いキットなのでリアデッキ周りなんかは進歩著しいここ数年のカードモデルに慣れた目で見ると少し厳しい仕上がりだが、ダウンロードコンテンツであることを活かしてある程度自分でパーツを起こし直してみるのもいいだろう。
あと、なんでサイドスカートをつけてないんだろう。

*12月25日追記
このタイガーにサイドスカートがないのは極初期型だからだろう、(だからゲペックカステンがなかったり、排気管周りも初期型と異なる)という御指摘をコメント欄でいただきました。
なるほど、レニングラード方面42年8月29日のタイガー戦車初陣の時のキットだったんですね。
じゃあ、今回の三号戦車と組み合わせられないじゃないか、というのはさておき、つっこみありがとうございました!

Bestpapermodelsのドイツ軍支援戦車 Panzerkampfwagen III AusF. N はチェコ陸モノキットの標準スケール、35分の1でのリリース。販売はダウンロード販売のみで4.1ユーロ(約500円)とお手軽。また、同一スケールのタイガー戦車は5ユーロ(約600円)となっている。
重戦車大隊ファンのモデラーには見逃せない一品であることは言うまでもないことだが、「どうも最近、カードモデル制作がマンネリ化していて……」なんていうモデラーは、この機会にポーランド製キットとは一味違うチェコ製キットへ挑戦みてはいかがだろうか。



画像は Bestpapermodelsサイト公式ページからの引用。
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No title

はじめまして。
カードモデルの情報、いつも楽しく読ませてもらってます。

そのタイガー戦車にサイドスカートがついていないのは、極初期型だからです。
http://www.platz-hobby.com/products/2153.htmlとか
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-cd-2c/ardennu1944/folder/352790/12/25946312/img_3?1308471179
とかです。
後ろにゲベックカステンがついてなかったり、排気管の形状が少し変なのもそのせいです。

それにしても、カードモデルを設計する人の進歩ってすごいですね。

Re: No title

コメントありがとうございます!
レスポンス遅くなってしまい、申し訳ございません。

おおっ! なるほど、42年8月29日、タイガー戦車初陣の時の再現だったんですね!
さっそく追記させていただきます。つっこみ、ありがとうございます!
(それはそれとして、どうして背景が砂漠っぽいんだろう……)

ここ数年のカードモデルは、デジタル化のおかげで10年前なら想像できなかったようなクオリティのキットがセミプロのデザイナーからどんどん生み出されていて、目が離せない状態です。
次の数年でどんな進歩を見せるのか、本当に楽しみです。

引き続き、よろしくお願いいたします!

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