MODELIK プロイセン王国鉄道機関車 T16.1 (TKw2)

いよいよ筆者の済む地方にも冬到来。アメリカではジャック・ニコルソン扮するカードモデラーが……と書き始めてから、先週このネタはもう使ったことに気がついた。あんまり面白くなさそうだから結局書かなかったと思ったんだけどなぁ。
そんないい加減な筆者が贈る東欧最新カードモデル事情、今回紹介するのはポーランドMODELIK社の新製品、プロイセン王国鉄道機関車 T16.1 (TKw2)だ。

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鉄道キットの場合は写真表紙なのが最近のMODELIKのお約束。
ところでいつもキット番号が記されている黒帯の中に何も書かれていないはどういうことだ。ちなみに公式ページではこのキットの番号は「1501」つまり来年2015年の最初のキットという扱いになっている。なぜだ。
あと、この機関車、前にも紹介しなかったっけ? と思ったら、前に紹介したのは「T14.1 (TKt2)」だった。

T16は1904年に試作された貨物用機関車で、勾配が急でカーブのきつい山岳越えルートのために設計された。
貨物用機関車は小さい動輪をずらりと並べればトルクが増し、重い貨車を牽引できる。しかし、あまりたくさん動輪が並ぶと、今度はRの小さいきついカーブがまがれない。そこで、T16は5組の動輪のうち第2、第4が固定で、のこる三軸はフレームの中で左右に動く遊びがつけられていた。
ちなみに速度重視の急行旅客列車用機関車は逆に大きい動輪を少数並べれば有利なので、こんなのこんなのまで作られた。これはこれで誰かカードモデル化してくれ。
なお、T16のボイラーは旅客用機関車P6と共用だそうな。
それとプロイセン鉄道には2-3-2配置の「T16」という全く別の機関車もあり、そちらは試作に終わったが、だからって番号使いまわしたら後でわけわかんなくなると思わなかったのか。

当時、まだ5軸式機関車というのは珍しくてちゃんと役に立つのかわからなかったので、T16はすでに生産されているT15機関車との間で性能比較が行われることとなった。T15もT16と同じ5軸だったが、こっちは固定3軸の後ろにピボット式台車の2軸の動輪がついてる関節式機関車で、後ろ2軸は首を振るのに5軸は全てロッドで連結されていたという、説明を聞いてもどうなってんだか良くわからない上に、ネットで検索かけてもハッキリしない写真しか見つからなかった機関車だった。
試験の結果、T16は何がなんだかわからないT15よりあらゆる面で優れていたため、ただちにT15の生産終了(生産数93輌)とT16の量産が決まった。

T16は約500輌が作られたが、その間に小改良が何度か行われている。最も大きな改修はメインのロッドが第4軸に接続されていたのが第3軸に移動したことであった。カーブでずれるように遊び幅のある車軸にメインロッドをつなげちゃっていいんだろうか、と思うのだがこの改修で最高時速は40キロから50キロに上がったという(シュミット式蒸気過熱器の装備で蒸気圧も上がっている)。
1913年にはT16は石炭、水の搭載量が増やされ新型のリッゲンバッハ反圧ブレーキが装備された。これにより車重は10トン近く増したが、車輪の粘着性が増したことで返って最高速度は時速60キロまで上がったという。
この形式は「T16.1」と呼ばれ、768輌が生産された。

1919年、ドイツが第一次大戦に敗北すると、毎度おなじみの賠償としてT16、及びT16.1もベルギー、フランス、ブルガリア等の戦勝国に引き取られていく。ポーランドは22輌のT16、37輌のT16.1を受け取ったが、なぜかポーランド国鉄は両者を区別せずに全て「TKw1」とした。
一応捕捉しておくと「T」は貨物用、「K」はタンク式、「w」は0-5-0の車軸配置を表している。
ポーランドでTKw1は構内の入れ替え用機関車として使用されたようだ。中には1920年代に装甲機関車となった車両があったとする資料もあるのだが、情報が不足しており良くわからない。

第二次大戦が勃発するとTKw1のうち44輌がドイツに奪還され、15輌はソビエト軍に鹵獲された。
1945年に戦争が終わると、再度ポーランドに39輌のT16、129輌のT16.1が引き渡され、ポーランド国鉄は今度はT16を「TKw1」、T16.1を「TKw2」と別々に分類した。やっぱり、最高速度の違う機関車を同じ形式にしちゃうのは無理があったんだな。
TKw1、TKw2とも再び構内での入れ替え機関車として使われ、1970年代に徐々に現役から退いている。
現在、T16は1輌がオーストリア・ウィーンで動態保存されており、これはT16の唯一の可動車両と思われる。T16はもう1輌、ブルガリアに現存している。
また、T16.1は2輌がポーランドに現存しているがうち1輌は車両基地内に放置されており非常に状態が悪い。それ以外にヨーロッパ各地に9輌、ドイツに6輌が現存しているらしいが、手元の資料ではそれぞれの状態は不明だ。

それではドイツ製の初期貨物用機関車TKw2の姿を公式ページの完成見本写真で見てみよう。

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男らしく背景のパースなんてものは丸無視だぜ。
動輪がたくさんあるせいでTKw2は巨大な機関車に見えるが、完成全長は約50センチ程度で意外と手頃な大きさだ。
この完成見本はもちろん塗られているが、サイドタンク側面だけテカテカのツヤ有りというのがなかなかおもしろい。

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細部にクローズアップ。相変わらずリベットの打ち直しなど完全なディティールアップがされており、この写真からは作例を作ったモデラーが凄腕だということしかわからない。
タンク側面になにやら物騒なドクロマークが書かれているが、下には「woda zatruta」(有毒)と書かれている。凍結防止の不凍液でも混じっているのだろうか。

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テクスチャは汚しのないスッキリしたタイプ。組み立て説明書は面をグレーで塗ったライン表現で、基本的にはクローズアップ方式となっている。

まぁ、別段特筆するようなこともない地味な働き者、プロイセン王国鉄道機関車 T16.1 (TKw2)のキットは陸もの標準スケール25分の1でのリリース。難易度は5段階評価の「4」とちょっと控えめ。そして定価は100ポーランドズロチ(約3300円)で、オプションとしてレーザーカット済み芯材用厚紙が80ズロチ(約2600円)、「塗り」派モデラーのための文字部分デカールが10ズロチ(約300円)で同時発売となる。

当キットはポーランド貨物機関車ファンのモデラーにとっては見逃せない一品であるのは当然だが、2014年はなんだか元気がなかったMODELIKを応援するためにも、別にポーランド貨物機関車に限って言えば、別にそれほど嫌いでもないし、というモデラーも購入を考えてみてはどうだろうか。



キット画像はMODELIK社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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