Jan Rükr氏作 合衆国植民地海兵隊強襲艦 U.S.S. Sulaco

ペルーの装甲艦から世界七不思議までありとあらゆるものが飛び出して、もはや不思議が当然、フェアリーランドと化しているカードモデル界だが、フェアリーランドならやっぱり恒星間宇宙船もラインナップに欲しくなる。
そんな、「ハイドライド3」をクリアしていないモデラーには全く意味不明な前置きで今回紹介するのは、チェコのデザイナーJan Rükr氏が制作した 合衆国植民地海兵隊強襲艦 "U.S.S. Sulaco" だ。

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映画「エイリアン2」でシガニー・ウィーバーと植民地海兵隊を乗せ、エイリアンの巣窟となった惑星LV-426に向かったのがこのU.S.S. Sulacoだ。
Sulacoはコネストガ級強襲艦13番艦で、名前はポーランド出身のイギリス人作家、ジョゼフ・コンラッドの小説「ノストロモ」に登場する港町の名前から取られている。もちろん、タイトルの「ノストロモ」は第一作の宇宙船「ノストロモ号」の由来となっている。
日本語資料では、そのいかついフォルムからか「宇宙戦艦」とされていることが多いSulacoだが、2連装レールガン砲塔二基で武装され重厚な装甲を持つものの、英語資料では「軽強襲艦(light assault carrier)」となっている。
ノベライズ版では、この艦が非常に旧式なものの解体する予算がないために在籍し続けているという描写があるそうだ。

とは言ったものの、実は「エイリアン」シリーズはあまり厳密な考証がされておらず、ファンによる後付け設定も多いのでどれが「正しい」というものでもない。エイリアン2に登場するメカ設定の「定本」としては「Aliens: Colonial Marines Technical Manual」(未邦訳)という書籍があり、ここから引用される情報も多いが映画と矛盾していたり、この本独自の設定だったりすることもあるのでデータの扱いには注意が必要だ。なにしろ、全長だけでも劇中から得られる情報では731メートルなのに、この本では385メートルと、倍近い差がある。
一時期は、「艦のデザインは完全に科学的な考証がされている」という噂がファンの間で流れていたが、デザインしたシド・ミード自身が「考証なんて全然してないよ」とぶっちゃけてしまった。
ちなみにシド・ミードは最初、球体の宇宙船をデザインしたが「2」の監督ジェームス・キャメロンが「球形の宇宙船(の模型)がカメラの前をズームで通過すると、表面に合わせて焦点距離を変化させないといけないからダメ」と没にし、その場でラフなデザインを描いてみせた。
新しいデザインでは前作の「ノストロモ号」がコロンと小さくまとまったデザインだったのに対して、「これは軍艦なんだ」と主張するようないかつい、武器めいたデザインにした(それによって、前作との作品タッチの違いの暗示を意図した)と言う。
映画では船体の右側しか映らないが、これはそもそも撮影用に作られたミニチュア(写真で見ると全長2メートルぐらい)が右半分しかディティールがないから。
この撮影用ミニチュアは、現在は特撮映画グッズのコレクターとして知られる元特撮スーツのデザイナー件スーツアクター、ボブ・バーンズが所持している。

そんな漠然とした情報(「2」「3」を通じてSulacoの外観が映るシーンはかなり短い)で、よくキット化したな、と思ったら、海外では「3」で放棄されたSulacoに乗り込んだ植民地海兵隊が一人称視点でエイリアンの大群相手に仁義なき戦いを繰り広げる「Aliens: Colonial Marines」というゲーム(Windows版、PS3版、Xbox360版が発売中)があって、そのゲームでSulacoの外観、さらに艦内までが再現されており、そちらも参考としたようだ。
ただし、このゲーム版Sulacoも、なぜかコールドスリープルームに乗員のロッカーが置いてあったり(しかも、乗員の名前が間違ってる)、微妙な点もあるとのこと。

さて、それではボンヤリ映画見てると出てくることにも気が付かなそうなU.S.S. Sulacoの姿を完成見本写真で見てみよう。

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でけぇ!
別に、下においてある椅子が小さいわけじゃない。
このキットではSulacoの全長として731メートル説を採用。スケールが430分の1なので完成全長170センチだ。
こうやって真横から見ると「ガンダムに出てくるすごいライフル」にも見える。シド・ミードの思惑通りだ。
ところで船体中央の連装レールガンは自分の船体が邪魔で前後に指向できないぞ。宇宙船なんだから側面に配置すりゃ良かったんじゃないのか。

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もちろん、430分の1Sulacoは単にうすらデカいだけのイロモノキットではない。細部も徹底的なこだわりを持って制作され、テクスチャ再現と立体部品の組み合わせでメリハリの利いた表現となっている。
ちなみに手で持ってるのは Sulaco に装備されている BD-409 緊急脱出艇。

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艦首部のアンテナ群に注目。キャメロンの「巨大な宇宙船をなめるように撮りたい」という意図を汲んだシド・ミードはインタビュー記事で、「林立するアンテナが画面に入り、それに続いて巨大な船体がフレームインするようにした」と艦首部のデザインコンセプトを語っている。

作者のJan Rükr氏はチェコでSFモデルの制作を精力的に行っているデザイナーで、以前にも「エイリアン」M41-A Pulse Rifleの展開図なども無料で公開している。チェコ式展開図(折の指示がパーツの外に書かれる)でSFジャンルのカードモデルを見かけたら、大抵は氏の作品だ。
今回のSulacoのキットもプロジェクトの公式ページで途中まで公開されているが、なんらかの事情により更新が停止しており未完に終わっていた。
しかし、今回、印刷版がポーランドGPMのショップに並び、ついにこの超大作キットを完成させるチャンスが訪れた。
価格は270ポーランドズロチ(約9千円)、展開図の総ページ数はなんともぶったまげなA4 160ページだ。

U.S.S. Sulacoのキットは、以前にアオシマ文化教材から全長30センチほどのプラモデルキットが出ていたが、こちらは現在入手困難となっている。
SF映画ファンなら、せっかく「2」で惑星LV-426に向かったのに、上陸部隊は壊滅寸前の打撃を受けて、それを拾い上げたら船内まで汚染されて「3」では冒頭でいきなり放棄されてしまうという、すごい立派な外観の割によく考えたら全然活躍してない宇宙船U.S.S. Sulacoを自宅に飾れるこの機会を見逃すべきではないだろう。
SF宇宙船好きなモデラーなら、横に並べられるように同スケールで宇宙船レッドドワーフ号のデザインに挑戦するのもおもしろそうだ。ちなみにあれは全長6マイルなので、430分の1で完成全長約22メートルだ。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。

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