MODELIK ロシア軍軽装甲車 BPM-97 "DOZOR"

暑さ、台風、湿気、会社の健康診断で引っかかって再検査になった、先週の更新をすっぽかした、左下側奥歯が虫歯で痛い、など様々な問題でモデラーにイライラの募るこの季節。そんな時こそ、ネガティブな気持ちが工作に影響しないよう、COOLな新製品情報で気分を入れ替えよう。
今回紹介するのはポーランドMODELIK社の新製品、ロシア国境警備隊装甲車 BPM-97 だ。

Kamaz okladka

なんだか書割みたいなパリッとした聖ワシーリィ大聖堂の前に佇むパリッとした装甲車。MODELIKにしては珍しい、パリッとした表紙絵だ。でも空はどんより。背景の落書きみたいな樹木もなんか嬉しい。

「BPM-97」というのは、ソビエト時代から使用されている歩兵戦闘車BMP-3の進化系のようだが、あっちは「Боевая Машина Пехоты」すなわち、戦闘・車両・歩兵の頭文字を取ったBMPだが、こっちは「Бронированная Пограничная Машина 」で戦闘・国境警備・車両の頭文字を取ったBPMだ。まぎらわしいぞ。
なんで「国境警備」なんて単語が入るのかというと、もともとこの車両は軍で調達されたものではなく、国境警備隊が装備の刷新のために発注した車両だからである。
「国境警備隊」は軍と同等の装備、待遇、階級を持つことから「陸軍国境警備隊」と勘違いされやすいが、実際にはロシアの国境警備隊はもともとソビエト内務省の管轄(現在は国境警備部門は「国境庁」に分割された)で、国防省管轄の陸軍とは全くの別組織である。ソビエト内務省の実働部隊といえば、秘密警察のイメージの強い「KGB」だが、実は「KGBイコール秘密警察」ではなく、国境警備や森林警備もソビエト時代はKGBの管轄だった。「元KGB」という肩書で森林警備局の出身だとなんか騙されたような気もするが、そういうもんらしい。ちなみにKGBの前身、NKVD(内務人民委員部)時代の国境警備隊は独自調達した装甲列車まで持っていた。

1990年にソビエトが崩壊し、国境の警備を引き継いだロシア国境警備隊は兵員輸送にGAZ-66という、パッとしない普通のトラックを使用していたが、これは最初のモデルが登場したのが1964年という骨董品で、さすがに色々と見劣りした。それに、ソビエトの崩壊と共に民族意識の高まりから小共和国の独立闘争が各地で勃発、国境警備軍が戦闘に巻き込まれるようになると、ただのトラックじゃ待ちぶせ食らった時に絶望的にヤバい、ということに気がついた。
そこで、国境警備隊はウラル山脈の向こう側、ナーベレジヌイェ・チェルヌイという聞いたこともない街に本拠がある「КАМАЗ」に新型車両の制作を発注する。
なお、「КАМАЗ」(カマズ)というブランドは、「KOMATSU」(小松製作所)と名前がそっくりだから日本人が間違えて買うかも! ってのに期待したわけではなくて、ナーベレジヌイェ・チェルヌイの傍らを流れるカマ川にちなむ。
発注は1997年に行われたが、翌98年には早くも資金不足からプロジェクトは頓挫。このころロシア経済はマクシム・ゴーリキーも驚くどん底状態だった。
仕方ないんで、関連車両を国境警備隊だけじゃなくて民生用の爆発物輸送車や現金輸送車にも転用することで資金をやりくりしてプロジェクトを継続、1999年に試作車両が完成した。

それでは、ここで公式ページの完成見本写真でBPM-97の姿を見てみよう。

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相変わらず完全に塗られちゃってオリジナルの状態が良くわからない完成見本だ。
シャーシはКАМАЗ-4326トラックをベースとしており、アルミ合金製モノコックボディは上部こそ300メートルの距離から12.7ミリ重機関銃に耐える強度があるが、下部はライフル弾に耐える程度の防弾性能しかない(もとから火砲で撃ちあうような任務は想定していない)。
下部の絞られたくさび形の車体は地雷を踏んだ時に爆風を左右に逃し、車内の乗員を守るためのスタイリング。

Kamaz foto3 Kamaz foto4

ディティールの細かいリモコン銃塔を上からクローズアップ。上から見ると車内容積を稼ぐためホイールベースの割に意外なほど尻が長い車両だということがわかる。
この車両はおそらく12.7ミリ機銃を装備しているが、実車では7.62ミリ軽機関銃も装備可能。また、銃塔そのものをBTR-80装甲兵員輸送車の14.5ミリ重機関銃装備の銃塔と交換することもできるそうだ。機銃の周りにある円筒は煙幕投射器にも見えるが、もしかすると30ミリグレネードランチャーかも知れない。

「Выстрел」(射撃)という愛称がつけられたBPM-97は手軽な装甲車としてロシア国家非常事態省やロシア国内軍(これも内務省管轄で陸軍とは別組織)でも採用された。また、2005年からはアゼルバイジャン、カザフスタンにも輸出されている。
2008年夏には陸軍が採用を決定、小改修を受け КамАЗ-43269「Дозор」(監視)という名称で制式採用されており、今回のキットはこの陸軍採用タイプとなる。それにしても名前が「射撃」とか「監視」って、いい加減すぎじゃないのか。
なお、ネットで検索をかけるとフロントの窓が左右に分割されていない大型の一枚窓だったり、車体側面に応戦用の小窓がついてる車両もあるので配備先によっていろいろと差異があるのかもしれない。

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テクスチャは汚しのないスッキリしたタイプ。タイヤのトレッドパターンは見るだけで泣きたくなっちゃう突起部分を一つ一つ張っていく方式。

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組み立て説明書は面をグレーで塗ったライン表現。車内再現は運転席のみで、後部の兵員コンパートメントは再現されていないようだ。

MODELIKの新製品、ロシア軍軽装甲車 BPM-97 "DOZOR"は陸モノ統一スケールで完成全長約21センチと小柄な車両。難易度は5段階評価の「4」(難しい)、定価は45ポーランドズロチ(約1500円)。また、20ズロチ(約650円)でレーザーカット済芯材用厚紙が同時発売となるが、これにはタイヤのトレッドパターンも含まれているので楽をしたい人にはおすすめだ。
ガチガチの軍用ではなく、半分民生用のちょっと軽めの装甲車という珍しい本アイテム。現代装甲車のファンなら、是非とも揃えておきたい一品と言えるだろう。また、ロシア/ソビエト国境警備隊ファンのモデラーなら、時代設定なんか無視して国境警備隊装甲列車と並べて飾るのもおもしろそうだ。



画像はMODELIK社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。

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