GPM ソビエト軍85mm師団砲 D-44 + ポーランド軍トラック STAR660

急に暑くなったこの週末、田んぼに水が入ってカエルの鳴き声が聞こえ始めた日本の片田舎からお伝えする東欧最新カードモデル事情、本日紹介するのはポーランドGPM社からリリースされた新キット、ソビエト軍85mm師団砲 D-44 だ。

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ソビエト軍の野砲といえば、いわゆる「ラッチェ・バム」76.2ミリ砲が有名だが、開戦当初はドイツ戦車をボッカンボッカンやっつけた76.2ミリ砲もドイツ軍がタイガー、パンターといった次世代戦車を投入してくると1千メートル67ミリ(垂直)の貫徹力では正面からの撃破は難しくなった。
そこで、T-34/85の主砲に採用されていた85ミリ高射砲をベースに、新型砲の開発が1943年にウラルマシ工場で始まった。
ちなみにこの「ウラルマシ(Уралмаш)」というのは、ウラル機械工廠、すなわちウラルマシーンプラントの略である。ウソのようだが、本当である。なお、戦時中の正式名称は「ウラル重機械工廠(Уральский Завод Тяжелого Машиностроения)」で、略称УЗТМ(UZTM)であった。
ソビエトの工場というと、西の方にあったのが開戦と同時に足が生えてウラル山脈まで逃げていったイメージがあるが、ウラルマシは1933年に重工業推進計画に沿って建造された工場で、ウラル山脈へ疎開した工場はこのウラルマシを中心に再編成されたのである。
戦時中T-34、Su-85、Su-100、Su-122を作っていたウラルマシは戦後民需転換し、現在は鉱山採掘用の巨大マシンを主に建造しているようだ。

そんなウラルマシで完成した新型砲D-44は1キロで貫徹力100ミリ、さらに高速徹甲弾を使用すれば1キロで180ミリの装甲を貫くことができた。180ミリというのは、ちょうどキングタイガーの砲塔正面装甲の厚さと同じ値で、なんか作為的なものを感じるが、兵器のスペックがウソだと戦争負けちゃうので、たぶん本当なのだろう。
さらに成形炸薬弾を使った場合、300ミリという、ちょっと資料を疑いたくなるほどの貫徹力があった。本当なら重巡洋艦の砲塔を撃ち抜けるぞ。

よく間違えられるのだが、戦時中のソビエト軍の火砲のカテゴライズに「対戦車砲」というのはなく、ラッチェ・バムもこのD-44も扱いはただの「野砲」で、師団砲兵が装備するので「師団砲」と呼ばれる。つまり、ドイツ軍でいうところの10.5cm leFH 18軽榴弾砲と同じ位置づけだ。ドイツ軍は他国が76ミリ野砲を装備しているのに比べて砲弾の大きい105ミリ砲を師団砲兵に配備したが、ソビエト軍はなぜか野砲をやたらと長砲身・高初速化した。多分、敵砲兵との砲兵戦になった時にアウトレンジされるのが嫌だったのだろう。
そういう経緯なのでD-44は最大仰角35度で15キロ先まで榴弾を飛ばすことができた。これは軽榴弾砲並の性能で、前述のドイツ軍10.5cm leFH 18軽榴弾砲は最大仰角40度で12キロしか砲弾が飛ばないので、アウトレンジで一方的に勝利できる。しかもD-44は発射速度も毎分20~25発と異様に早かった(10.5cm leFH 18は毎分4~6発)。さすが砲兵大国ソビエトだ。
ちなみにドイツ軍の7.5 cm PaK 40は最大仰角22度で7.5キロの射程しかない。

そんなわけで、対戦車戦でも対砲兵戦でもドイツ軍を一方的にボコボコにするはずだったD-44だったが、完成したのは1945年の後半で戦争には間に合わなかった。ぎゃふん。
そのためD-44の生産期間はそれほど長くはなく、1950年代中盤には後継のD-48と交代している。
しかし、生産終了までにおよそ1万門が作られたD-44は世界中の人民軍に革命と抱合せで輸出され、ポーランド、東ドイツ、ハンガリー、ルーマニアなどの東欧圏はもちろんのこと、エジプト、イラン、イラクなどの中東諸国、さらにはモロッコ、モザンビーク、アルジェリア、ソマリアなどの新興アフリカ諸国、ベトナム、ラオス、カンボジアなどの東南アジア諸国にも輸出している。手当たり次第だ。
もちろん、定番の北朝鮮、中国にも輸出されており、中国では「56式」として国産化されている。多分、中ソ関係が悪化した時期に勝手にコピーしたんだろう。
最近の例では、ウクライナの独立派がロシア軍戦車部隊が介入する、という情報に接してD-44をバリケードに引っ張り出してきた写真を見たことがある。
おそらく、アフリカ諸国では今でも現役のD-44があることだろう。

それでは、間に合わなかった傑作野砲、D-44の姿を公式ページの完成見本で見てみよう。

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見てみよう、とは言ったものの、いつも通りのフルディティールアップ+オールペイントなので、「すご~い」以外に言うことはない。すご~い。

さて、今回GPMではD-44を牽引するのに最適なポーランド軍トラック、STAR660を同時リリースするので、こちらも併せて見てみよう。

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これまた、完全ディティールアップですごーい。
STAR660はフロントについている、なんかいやな事でもあったのかと心配になるような大げさなガード特徴だ。作例ではちょっとヘニャっているが、実際の車両でもヘニャヘニャなことがあるので、まぁ、こんなもんだろう。

GPMから発売になったソビエト軍85mm師団砲 D-44、ポーランド軍トラック STAR660はもちろん両方とも陸モノ標準スケール25分の1でのリリース。難易度も両方共3段階評価での「2」(普通)ってのは、マジですか。定価はD-44が35ポーランドズロチ(約1100円)、STAR660が60ズロチ(約2000円)。また、レーザーカット済の芯材用厚紙がセットになった「コンプリートセット」はD-44が60ズロチ(約2000円)、STAR660が110ズロチ(約3600円)となっているが、今ならGPMのショップでD-44とSTAR660のコンプリートキットがセットで130ズロチ(約4300円)と驚きのお値打ち価格で購入可能だ。
ソビエト軍火砲ファンのモデラーなら、以前に発売となっている152ミリ重榴弾砲ML-20や、203ミリ榴弾砲Б-4と作り比べてみるのもいいだろう。
また、モザンビーク軍とかラオス軍ファンのモデラーにとっても、このキットは見逃すことのできない一品となりそうだ。


画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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