MODELIK プロイセン王国鉄道機関車 T14.1 (TKt2)

さぁ長い外出から戻ってきたので、ここは心機一転新しい気持ちで更新再開だ。でも新しいのは気持ちだけで、内容はまぁ、いつも通りだ。
そんなわけで再開第一回目は、このところちょっと元気がなくって心配なポーランドMODELIK社の新製品、プロイセン王国鉄道機関車 T14.1 (TKt2)を紹介しよう。

TKt2 okladka

最近のMODELIKの機関車キットは写真表紙がスタンダード。表紙は後ろからでご尊顔は後のお楽しみ、という恥ずかしがりな機関車さんだ。
T14.1(TKt2)は見ての通り運転台の後ろに石炭、水を積むスペースのあるタンク式機関車だが、背が低い石炭庫に石炭を流し込むためのガイドがひょろっと追加されているのが面白い。
察しのいい読者なら説明せずともすでに薄々感づいてはいると思うが、名前がカッコ付きで二重になっているのはT14.1がもともとのプロイセン王国鉄道での名称、TKt2がポーランド国内での名称だからである。
T14.1、という名前もなんだか妙だが、これはT14機関車の改修版であることを意味している。T14機関車バージョン1.1というわけだ。

もともとT14は、貨客問わずに手軽に運べる「汎用機関車」として1914年にデザインされたものであった。この機関車は大きさの割にパワーがあったために概ね好評で1918年までに500~600輌(資料によって数字が違う)が製造されたが、いくつか欠点があった。
まず、重量配分にムラがあり先輪にやたらと重さがかかっていた。また、タンク部分の容量が小さすぎるために補給を頻繁に行う必要性があった。
これらの問題を解決するためにバージョン1.1に大規模アップデートしたのがT14.1で、主な改修はタンク部分を後ろに70センチ延長することで重量配分を後ろに寄せると同時に燃料容量を増している。ただし、今度は重量配分が後ろに寄り過ぎてしまい、走行性能は以前と大差なかったとする資料もある。なかなかうまくいかないもんだ。
それでもカタログスペック上、最高速度は時速65キロから70キロに向上し、場合によっては80キロでの走行も可能だったというから、前のT14がよっぽどひどかったんだろう。
製造は第一次大戦終結直前に始まったが、終戦と共に連合軍が戦後賠償でT14機関車を片っ端から分捕っていっちゃったんで、ハノマーグ、ヘンシェル、クルップ、ラインメタルなどが分担して生産を急ぎ1924年までに768輌が生産された。なぜか今度はどの資料でも数字が一致している。
もちろん、T14.1も終戦までに完成していた機関車は戦後賠償として戦勝国に引き渡されており、ベルギー、フランス、ポーランドがこれを受け取っている。なんでロシア帝国の一部だったポーランドがドイツから戦後賠償を受け取るのかは謎だ。そういう態度が第二次大戦でドイツに蹂躙される遠因となっているような気もするが、気がするだけかもしれないのであまり強くは主張しないでおこう。

ポーランドは26輌のT14、7輌のT14.1を受け取り、それぞれを「TKt1」「TKt2」と名づけたが、どういうわけかT14.1の1輌が手違いで「TKt1-23号」と名付けられてしまった。現場の機関士達は「どうもTKt1で1輌だけ尻が重い機関車があるぞ」と混乱したことだろう。
当初、ポーランドではTKt2を港湾都市グダニスクで使用していたが、すぐにこの機関車の持つパワーに気がついてクラクフを拠点とした山岳超えの路線に配置転換となった。
1939年9月、ドイツが国境を突破し第二次大戦が始まるとTKt2の2輌がドイツ軍の手に落ちた。残る4輌(+TKt1だと思われてた1輌)は後退する軍、避難民などを東へ輸送するために頑張ったが、結局は東から参戦したソビエト軍にすべて鹵獲されてしまった。なお、そのうちの1輌はドイツ軍に再度鹵獲されている。

戦後、ドイツは「ごめんちゃい」とT14.1、68輌をポーランドにどどんと譲渡した(ちなみにこの68輌の中に戦前にポーランドにいた「出戻り」機関車はいない)。
が、もらってから良くみたらそのうち2輌がT14.1じゃなくてT14だった。でも、面倒だからポーランド国鉄はそのまま全車をTKt2としてナンバーを与えている。それでいいのか。
なお、この時譲渡された機関車はかなり状態が悪かったようで、68輌のうち3輌はそのままスクラップになってしまった。
これらの機関車は電化が進むに伴い50年台中盤からは一般路線から引き上げられ、鉱山の構内線などに活躍の場を移していく(ポーランド国鉄からは1972年に全車が退役している)。
産業路線からTKt2が退役した時期ははっきりしていないが、1980年台には全車が廃車となったようだ。
T14.1(TKt2)は現在、ドイツ東部にあるドイツ蒸気機関車博物館に1輌だけ現存している。

それでは、ドイツとポーランドの産業・旅行を支えた小さな力持ち、T14.1(TKt2)の姿を公式ページの完成見本で見てみよう。

TKt2 Foto 1

まぁ、毎度のごとくリベット打って塗り直したハイクオリティモデルだ。
単純な茶筒型のボイラーの先端につく二回りほど小さい扉、車台部分とボイラーが上下に離れている「腰高」なスタイルなどヨーロッパの機関車らしいスタイリング。
T14.1は製造時期によって前期型、後期型にわかれるがこの車両はドームが3つ並ぶ前記型。後期型ではドームが2個に減り、長方形の砂箱と交互に並ぶ。

TKt2 Foto 3 TKt2 Foto 2

前後からパースをつけて見ると大迫力のTKt2だが、運転台の大きさでわかる通りそれほど大柄な車両ではない。

TKt2 Ark1 TKt2 Ark2

テクスチャは汚しのないスッキリしたタイプ。ポーランド国鉄でお馴染み、いつもの真っ赤な車台と黒いボディの組み合わせ。
車両番号は「TKt2-6」なので、第一次大戦後の賠償分である最初の7輌のうちの1輌だ。

TKt2 Rys2 TKt2 Rys3

組み立て説明書は面をグレーで塗ったライン表現。ドイツ的剛健さに溢れるガッチリとしたシリンダーがカッコいい。
デザイナーのJan Kolodziej氏は機関車キットを数多く手がけているベテランデザイナーだ。

MODELIKの新作、プロイセン王国鉄道機関車T14.1(TKt2)は陸モノ標準スケール25分の1で完成全長約58センチという手頃な大きさ。難易度は5段階評価の「4」(難しい)、定価は120ポーランドズロチ(約4千円)となっている。またレーザーカットによる車輪、フレームなどが厚紙芯材と滑り止め、プレートの浮き彫り文字などの細密ディティールがセットになったオプションパーツが80ズロチ(約2600円)で同時発売となる。

特急列車を引っ張る巨人機関車のような華やかさには欠けるものの、黙々と仕事をこなす職人的な渋い魅力に満ちたTKt2はこれから機関車キットに挑戦しようという鉄道初心者モデラーにオススメしたい一品に仕上がっている。もちろん、ベテランデザイナーによるキット化はポーランド国鉄ファンのモデラーにも十分に満足内容となっていることだろう。
蒸気機関車ファンのモデラーなら、ぶっちゃけ作らなくってもいいから購入することで老舗MODELIKを応援したいところだ。



キット画像はMODELIK社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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