GPM ポーランド製グライダー各種

実は鉄道大国だったり、実は軽飛行機大国だったりと、地味なようで調べれば調べるほど様々な分野で存在感を発揮するポーランド。ポーランドのホビーと言えばもちろんカードモデルなわけだが、実はスカイスポーツとしてのグライダー飛行が盛んに行われている「グライダー大国」でもある。今回は、ポーランドのインドア・アウトドアの二大ホビーがコラボしたスポーツ用グライダー機のカードモデルキットを少し眺めてみよう。

もともとヨーロッパではグライダーは人気のあるスポーツだったが、ポーランドでも戦前からグライダーは盛んに行われていた。グライダー飛行の経験があり、自動車の運転免許も持っていれば発動機付きの飛行機の操縦、そして戦闘機、爆撃機の操縦だって習得するのは早いので、これは国策として推奨されていた部分もあるだろう。
大戦によって完全に中断したグライダースポーツだったが、1945年5月にドイツが降伏すると「戦争が終わったんだから、まずはグライダーだ!」と、なんとその月のうちにポーランド南部、ビェルスコ=ビャワという場所に「中央偵察グライダーセンター」(Centralny Harcerski Osrodek Szybowcowy)が設立された。なんか、もっと先にすることがあるような気もするが、ポーランドの人はなにはさておきグライダーに乗りたかったんだから仕方ない。
一応「偵察」という言葉を入れて、壊滅したポーランド空軍再建の第一歩となるゾ!☆、みたいなマジメな顔をしているが、秋にはあっさり組織名が「グライダー組合センター」になり、さらに46年1月には「グライダー飛行研究所」( Instytut Szybownictwa)にまた名前が変わって、「偵察」はどっかへ行った。
略称「IS」の仕事はグライダーの訓練と新型グライダーの設計だったが、各地に設立された飛行クラブでグライダー訓練が行われるようになると、比重は次第に新型機の設計に移っていく。国防はもうどうでもいいのか。

この時期の代表的な機体として、2002年にポーランドGPM社からIS-B「Komar」(虫の「ブヨ」)のキットがリリースされている。

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なんかキチョない画像だが、公式ページに画像がこれしかないので我慢だ。
キット名は「IS-8」となっているが、ぶっちゃけグライダーのサブタイプなんて見分けがつかないのでIS-Bとは微妙に違うのかも知れない。IS-Bは基本的には戦前のデザインで、戦後ポーランドスポーツグライダーの基礎を築いた機体と言えるだろう。ポーランドでは23機が生産され、他に諸外国で40機ほどがライセンス生産されたらしい。

1948年、またも名称変更でISはグライダー実験工廠(Szybowcowy Zakład Doświadczalny)、略してSZDとなり、共産政権の計画経済の一部として組み込まれる。と、いうか、それまで組み込まれてなかったのか。完全にホビーじゃないか。
これ以降、SZDが設計し、国営工場PZLが生産する、というパターンでポーランドの空には続々と新型グライダーが登場することとなる。

こちらもGPMから2002年にリリースされたSZD-9「Bocian」(コウノトリ)のキット。

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SZD-9は1952年に完成した機体。改修型も含めると600機以上が生産され、十数カ国に輸出された。驚いたことに、(生産時期は不明だが)今でも現役の機体が存在するらしい。
GPMは2002年、なにか思うところあったのか多数のグライダーキットをリリースしている。

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こちらはぐっと無骨なスタイルになったSZD-10「Czapla」(サギ)。これは民兵組織からの依頼で開発された機体で、二人乗りとなっており、構造も鋼管布張りと安価におさえられている。これで予備のパイロットを確保しよう、というわけだ。53年に完成、157機が生産され80年代まで使用された後にトルコとフィンランドに売却されている。

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続いて55年に完成したSZD-15「Sroka」(カササギ)。これも民兵組織からの依頼で開発された機体で、複座の練習が終わった訓練生がいよいよ一人で乗る単座機となる。民兵組織ではそれまで単座はIS-Bを使っていたのだが、1956年以降、SZD-15に交代していった。22機生産。

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次のSZD-16「Gil」は量産機ではなく、新型翼の試験機。もともとは民兵組織用単座機だったが、初飛行時の後でプロジェクトは破棄されてしまい、余った胴体を再利用したもの。この胴体は金属モノコック構造だったので、高くつくのを民兵側が嫌がったのかも知れない。愛称「Gil」の由来は分からなかった。

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次は、また雰囲気の変わったSZD-18「Czajka」(タゲリ、チドリの一種)。
不採用となったSZD-16の代わりに試作されたのがSZD-18。
たぶん、SZD-16が高価だったので思い切って簡単構造にしてみたのだろう(表紙写真より、現存機の写真の方がスタイルがよくわかる)、布張りの翼、キャビンも扉もないブリキ細工みたいな胴体、車輪もケチって1個しかない手作り感溢れる機体だが、意外にも飛行性能は良かったらしい。しかし、民兵側が「よく考えたら、単座練習機は危ないから複座で練習するわ」と方針転換したので試作一機で終わった。とほほん。

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最後は1958年完成のSZD-22「Mucha Standard」。再びスラリとしたスタイルに戻ったことでもわかる通り、民兵の注文で作ったものではなく競技会用のモデル。288機が作られ、実に20カ国に輸出された。
SZD-22はIS時代の「IS-2」が原型となっており、愛称「Mucha」はIS-2から引き継いだもの。チェコの誇るアールヌーヴォーの華、アルフォンス・ミュシャと同じスペルだが、ポーランド語の意味は「ハエ」。とほほほ。
どうやら、IS時代は虫の名前、SZD時代は鳥の名前を機体につけているようだ。

GPMのグライダーキットは、それぞれ13ポーランドズロチ(約400円)から17ズロチ(約550円)と、お手軽な価格。スケールは空物標準の33分の1だが、SZD-15、SZD-18は50分の1スケールがオマケでついてくる。

さて、2002年のキットを紹介して、どこが「新製品情報」なんだ、と思う読者もいるかも知れないが、実はグライダーの新製品が出たのをこの後で紹介するつもりだったのだが、これだけで結構な文章量になってしまったので、そちらは次回のお楽しみとしておこう。
相変わらず計画性皆無なブログだ。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。

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