GPM ポーランド軍小艦艇 "SOKÓŁ" "ORP Nurek"

大は軽巡洋艦から小は砲艦まで、ありとあらゆる艦艇がキット化されつつあるポーランド海軍はカードモデル艦隊の一大勢力であることは、カードモデラーにとっては改めて言うまでもない常識となりつつあるような夢をこないだ見たような気がするが、今回はそんな紙のポーランド艦隊に加わるべく、ポーランドGPM社からリリースされた新製品2種を紹介しよう。
まず紹介するのはポーランド海軍タグボート「SOKÓŁ」だ。

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いやいやいや、これ、ポーランド海軍に在籍してたってだけで、「軍艦」じゃないじゃん。
当然、こんな地味な船の資料なんて全然ないのだが、なんとかネットで集めた情報で記事にしてみよう。
もともとこの船はポーランドの船ではなく、1909年、当時ドイツ帝国領だった(現在はポーランド領)エルブロンクにあったFranz Schenk造船所で建造されたタグボート、「シャルロット」だった。
ポーランド海軍は1920年にこの船を購入、ドイツ娘の名前がイヤだったのか、名前を「SOKÓŁ(鷹)」に変更する。タグボートにしちゃ、えらく勇壮な名前だ(ポーランド海軍には同名の潜水艦が後に在籍している)。
1920年代と言えば、毎度おなじみ連合軍の黒トンチで掴まされた貧相な漁港グディニアをダンツィヒを超える一大貿易港にしよう、とポーランドが国を挙げていた時期。この地味な船はハシケの曳航などに地味に活躍、グディニア港の拡大に大きな役割を果たした。
SOKÓŁはその後もグディニアを守るヘル要塞、グディニアの北のオクシヴィエ軍港などで働き、1939年9月のドイツ軍侵攻時にはオクシヴィエ軍港に停泊していた。ドイツ軍の侵攻は早く、脱出する機会のなかったSOKÓŁは9月14日、自沈した。
が、まだ話は終わらない。
自沈したSOKÓŁをドイツ軍は引き上げ、「Grabau」として自国海軍に組み込む。SOKÓŁ改めGrabauはかつての敵のためにチャプチャプと働いたが、1945年に連合軍の空襲により港内で沈没した。
ところが、これでもまだ話は終わらない。
1946年に引き上げられたGrabauは1947年、修復が済むと名前を「SOKÓŁ」に戻されて再度ポーランド海軍に組み込まれる。でも、やっぱりこの名前はタグボートには勇壮過ぎると思ったのか1949年に名前が「Majster(師匠)」に変更される。それはそれで大層な名前だ。
ポーランド海軍もやっぱりそれでは大層過ぎると思ったのか、1952年に名前は味気のない「BG3」に変更され、さらに1957年に「H3」に変更されたが、まもなく廃船となった。

そんなわけで、持ち主と名前がコロコロと変わったり戻ったりしたSOKÓŁの姿を公式ページの完成見本写真で見てみよう。

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なんというか、まぁ、コメントに困るぐらい普通の船だ。世界大戦よりも宮崎駿版「名探偵ホームズ」が似合いそう。ああ、うるわしきヴィクトリア王朝期よ(厳密にはエドワード期の船か)。
わざとらしいぐらいにズドーンとつっ立っている煙突でわかる通り、機関はもちろん蒸気式。

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この地味な船をGPMは今回、大胆にも50分の1というビッグスケールで模型化。
大きなガラス窓で構成されたキャビン、船首の手回し式のアンカー巻き上げ機、艦尾のベンチシートなど、ぶっちゃけポーランド海軍に別に興味がないモデラーでも、この時期の海ものビッグスケールとして見逃せないキットと言えるだろう。

さて、続いて紹介するのはポーランド海軍潜水夫母船「ORP Nurek」だ。

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これまた、資料のほとんどない地味な船を……でも、こっちは一応「ORP(ポーランド共和国艦艇)」がついている立派な軍艦様だ。
ポーランド海軍では1920年代、海軍潜水夫の作業を支援する母船とて英国製モーターボートを使用していたが、どうやらオンボロ船を掴まされたようで、1930年ごろには老朽化が目立ち始めていた。そんじゃま、ここはひとつ国産で賄ってみましょうか、と1935年に新型船の建造が始まり1936年7月に完成した。
船は潜水夫に空気を送り込むポンプや減圧室、などを備えた本格的なもので、そのものずばり「Nurek(潜水夫)」と命名されて海軍に引き渡された。微妙に現場で混乱が生じそうな名前だが、いいんだろうか。

1939年9月1日、Nurekはドイツ空軍のJu-87急降下爆撃機の攻撃を受ける。爆弾の一発が機関室に飛び込み爆発、タイミングの悪いことにNurekはその日、本来の任務ではなく魚雷艇に弾薬を運ぶための運搬船として使用されていた。
満載した弾薬に引火したNurekは爆発により20メートルも吹っ飛び、護岸の上で横倒しとなった(写真が残っている)。
完全に破壊されたNurekは修復のしようがなく、10月になってドイツ軍により解体、撤去された。

そして、これが開戦初日に戦没した悲運の潜水夫母船「ORP Nurek」の完成見本写真だ。

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こちらは小艦艇スケール100分の1でのキット化。これまた、小さくまとまった可愛らしい船だ。
恐らく作業中に母船が回ってしまわないようにだろう、船尾にも小さなイカリが準備されているのが面白い。
艦尾片側だけにある上面の傾斜した構造物が減圧室だろうか。正直、資料が少なすぎて大したことは書けない。

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100分の1とはいえ、船上の作業用のクレーンなどのディティールはかなり凝っている。窓はテクスチャ表現でキャビンの中は再現されていないようだが、ここはその分の手間をかけて手すりやハシゴ、張り線にじっくりと取り組みたい。

ポーランド海軍が誇った地味な船2隻は、タグボート「SOKÓŁ」が50分の1で完成全長37センチ、潜水夫母船「ORP Nurek」が100分の1で完成全長29センチと意外と作りごたえのある大きさ。難易度は両方共3段階評価の「2」(普通)となっており、定価は「SOKÓŁ」が40ポーランドズロチ(約1300円)、「ORP Nurek」が50ズロチ(約1600円)。また、それぞれ70ズロチ、80ズロチで芯材用レーザーカット済み厚紙同梱の「コンプリートセット」が同時発売となる。

亡命を繰り返しながら各地で戦い抜いたポーランド軍人の粘り強さを象徴するような「SOKÓŁ」、そして電撃戦により一撃で粉砕されたポーランド軍の悲劇を象徴するような「ORP Nurek」。ポーランド軍ファンならこの2隻は見逃すことのできないアイテムだと言えるだろう。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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