WAK ミニスケール飛行機セット "Pearl Harbor 1941"

2013年暮れに日本では某巨匠のアニメ映画が公開され、全国で風が立ったり立たなかったりしたことは記憶に新しい。
そんな折、ちょうどタイムリーに届いた新製品の情報を今回は紹介しよう。
本日紹介するのはポーランドWAK社からリリースされたミニスケール飛行機セット「Pearl Harbor 1941」だ。

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日本人以上に日本軍が大好きなポーランドのメーカーにしては、珍しく日本機がやられている表紙。後ろで大傾斜してまさに横転しつつある戦艦はアリゾナか、それともオクラホマか。

今回のキットは1941年、真珠湾を攻撃した日本軍機3機種と、それを迎え撃った米軍1機種がセットとなっている。
機体そのものは超有名でいまさら説明するのも蛇足もいいとこなので早速公式ページの完成見本写真を見てみよう。

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まず真珠湾攻撃部隊の先鋒を務めるのは三菱A6M2「零戦」だ。
50分の1というカードモデルとしては「ミニスケール」なので、なんかカウリングのイメージが違うとか、そのカウルに機銃弾が通る溝がないとか、そもそもよく見ると機銃そのものがないぞ、とか細かいことを言ってはいけない。そういう人には「じゃあ、これが何に見えるんだ」と逆に質問したい。零戦にしか見えないよね。ね、ね?
マーキングは「AI-102」、空母赤城艦載の第二次攻撃隊制空隊指揮官、進藤三郎大尉乗機。

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お次は中島B5N2、九七式艦攻。マーキングは真珠湾攻撃隊陣頭指揮官にして、有名な「トラ、トラ、トラ」の電文を発信した「AI-301」、空母赤城搭載の淵田美津雄中佐機。
なんか機体色がソビエト軍戦闘機みたいだが、これが写真うつりの問題なのかはちょっとわからない。

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攻撃側最後は愛知D3A1、九九式艦爆。マーキングは「AII-272」、空母加賀搭載機。この機だけ搭乗員名がわからなかった。読者諸君も御存知の事情により、最近は旧日本海軍の情報をネットで調べるのが大変なのだ。
キットの固定脚カバーの思い切りの良さは見習いたいところ。文句がある人は33分の1で作ればいいさ。

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そして最後が、防衛側のカーチスP-40B「Tomahawk」。
マーキングの「白の160」は真珠湾攻撃当日にジョージ・ウェルク(George Welch、「ウェルチ」とも)が迎撃に上がった機体だ。さぁ、こっから毎度おなじみのクドクドしい話が始まるぞ。

真珠湾攻撃当日は日曜だったので、前日の夜、ウェルクは飲んで騒いでポーカーやって、帰宅は朝の6時半だった。着替えもせずにさぁ、寝るかとベッドに横になった1時間半後、ウェルクは機銃掃射と低空飛行するエンジン音で目が覚める。
日本軍の攻撃だと知ったウェルクのところへ、昨日一緒に騒いでた友人のケネス・M・テイラー(Kenneth M. Taylor)が飛び込んできた。テイラーは飛行場に電話をかけ、機体を準備しておくように言いつけるとウェルクをビュイックに乗せて時速100マイル(160キロ)でぶっとばして飛行場へ駆けつける。
飛行場のP-40には燃料が入っていたが、機銃弾は翼の7.62ミリ機銃しか装填されていないという。しかし、これ以上待っていることはできずに攻撃下の滑走路からウェルク、テイラー(機体番号、白の284)2機は飛び立ち日本軍攻撃隊へ突っ込んでいった。ウェルクは九九式艦爆2機、テイラーは九七式艦攻2機を撃墜(他に不確実2機)したが、中途半端にしか装填されていなかった機銃弾は早くも弾切れ。
殺気立って敵味方関係なしに撃ちまくってくる友軍の対空砲火をくぐり抜けて着陸した2機は整備員に機銃弾を装填するように言ったら、今度は機首の12.7ミリ機銃しか弾がないという。
もう、それでもいいから、早く、早く、早く! と整備員を急かした2人は第二波が来襲するのを見て弾薬箱を転げ落としながら発進、日本軍機へと向かっていったがテイラーが九九式艦爆に後ろにつかれ腕と頭部を負傷、危うい場面だったがウェルクがカバーに入りこの九九式艦爆を撃墜。さらに勢いにまかせて2機は零戦の編隊に突入し、ウェルクは零戦を1機撃墜している(表紙はこのシーン)。
弾切れになるまで撃ちまくり、飛行場へ戻った二人は日本軍機の攻撃がやんだことを知り、車に乗って宿舎へ帰ったが、途端に上官にドヤされた。「お前らなにやってんだ、戦争が始まったんだぞ!」
二人はまだ昨晩のクラブで着ていたタキシードのままだったのだ。

2人は戦争を生き延び、ウェルクは1944年からテストパイロットとなっている。
しかし、あまり行儀のいいパイロットではなかったようで、1947年、F-86「セイバー」の試験飛行を繰り返している最中に飛行場でベルX-1音速突破実験機を見て、セイバーで緩降下しながら思い切りエンジンを吹かして音速を超えてしまったという。
しかし、上官からは「テスト機が壊れちゃうから音速に挑戦するなんてことは、絶対にしないでネ!」と事前に釘を刺されていたし、これを認めちゃうとX-1計画に費やしたお金はなんだったの? ってことになるんで、「こ、降下中の音速突破なんて、ズルなんだからっ!」と公式記録としては認められていない。
X-1がチャック・イェーガーの操縦で水平飛行中に音速を突破するのはその2週間後だった。
朝鮮戦争が勃発するとウェルクはセイバーの操縦教官として朝鮮半島へ派遣されるが、どうやらウェルクは朝鮮でセイバーを駆って中国軍のMig-15を複数撃墜しているらしい。しかし、これも「君は教官なんだからネ! 戦闘に出ちゃダメなんだからっ!」と事前に釘をがっつり刺されていたので公式記録としては認められていない。
1953年、5月にはF-100「スーパー・セイバー」で水平飛行中に音速を突破。しかし、54年10月にウェルクはスーパー・セイバーで無理な機動を行い機体が空中分解、墜落して死亡した。

ちなみに太平洋戦争の米軍初撃墜を果たした2人のうちもう一人、テイラーはそんな無茶はせずに順当に出世、准将で空軍を退役し、アラスカ州軍州兵の顧問に就任。その後はアラスカで保険関係の仕事についていたという。
テイラーは1970年公開の映画「トラ・トラ・トラ!」にアドバイザーとして招かれ、映画中にも2人の奮戦がエピソードとして組み込まれているのは映画ファンなら周知のことだろう。
テイラーは2006年に亡くなられており、2001年の映画「パールハーバー」公開の時には存命だったが、こちらの映画では監修の声がかからなかった。かくして、滑稽映画に仕上がった「パールハーバー」の感想を求められたテイラーは、「ゴミだな(a piece of trash)」と言ったと伝えられている。さもありなん。

WAKの新製品、ミニスケール飛行機セット "Pearl Harbor 1941"はミニスケール50分の1で発売。定価はなんと4機セットで30ポーランドズロチ(約1000円)という超お買い得価格。難易度表記はないが、完成写真を見るかぎりではやたら高度なテクニックは必要とされないようだ(風防枠の切り抜きにはじっくり取り組みたい)。

1941年12月7日の日米の奮戦を机上に伝える当キットは日米戦闘機に興味はあるがカードモデルは未経験、そんなモデラーに是非とも挑戦していただきたいキットだ。
また、1970年の「トラ・トラ・トラ!」の大迫力の戦闘シーンに感激し、2001年の「パールハーバー」で笑いすぎて死ぬかと思った映画ファンのモデラーにも、当キットは見逃せない一品と言えるだろう。



写真はWAK社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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