GPM ポーランド客船 TSS "STEFAN BATORY"

昨年年末、当コーナーではウクライナOrel社の連絡船”Nomadic”を紹介し、華やかなる客船模型の世界を紹介したような気になっているわけだが、今回は勢いにのってさらに本格的な客船模型としてポーランドGPM社の新製品、ポーランド客船 TSS "STEFAN BATORY"を紹介しよう。

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この冒頭部分を読んで、「あっ! あの船が出たんだ!」と思う読者は相当なポーランド通だろう。もしくは日本語がとても達者なポーランド人だろう。
内陸国のイメージが強いポーランドだが戦前から大西洋航路に定期客船航路を持っており、数隻の大型客船を保有していたが、その中でも第二次大戦中に脱出先である英軍での大活躍で有名になったのがMS"BATORY"だった。
今回紹介するTSS "STEFAN BATORY"は老朽化したMS"BATORY"の後継であり、名前はちょっと違うが二代目となる。
とは言っても、STEFAN BATORYはポーランドで建造された船ではない。もともとこの船は1952年に「TSS Maasdam IV」として就航したオランダ船だった。当初はオランダ領東インドとの間で定期輸送に従事する貨物船として設計が始まったのだが、肝心のオランダ領東インドがスカルノさんの大号令の元、独立戦争を戦い抜いて「インドネシア」として独立してしまったので途中から大西洋航路の客船に設計が変更されたそうだ。

ポーランドは1968年6月にこの船を購入、改装して名前も16世紀のポーランド王にちなんで"STEFAN BATORY"に変更する。
翌69年から、STEFAN BATORYはグディニア-コペンハーゲン-ロッテルダム-ロンドン-モントリオール-サンザンプトンの往復航路に就航(帰りはモントリオール、ロンドンには寄港しない)、ポーランド定期航路客船の「旗艦」となった。
元の船主の「ホーランド・アメリカライン」はTSS Maasdam IVを「こんなボロい船、もういらんわ」と売り払ったはずなのに、ポーランドでお化粧直ししたSTEFAN BATORYがロッテルダムに初寄港した際にはその見事な改装に感心し、「もう一度やりなおせんかのぉ」と買い戻しを打診したという少女漫画的エピソードも伝えられている。

この後、STEFAN BATORYは20年に渡り大きな事故を起こすことなく定期航路を往復し続け、最後の大西洋定期航路客船として1988年に引退する。
1990年、船はスウェーデンに売却され、名前が「TSS Stefan」に変更されるが、定期航路に出ることはなく移民希望者の宿泊施設として使用された。
2000年に船はスクラップとして売却され、トルコで解体された。

なお、STEFAN BATORYにはSS"Rijndam"という姉妹船があったが、こちらも数度の所有者の変遷を経て1988年からはアメリカミシシッピ州で繋留されて洋上カジノとっていた。2003年に老朽化により解体のためインドへ最後の航海をすることとなったが、その途上で沈没した。まぁ、老朽化して危ないから解体することになったんであって、それを海の上引っ張って行ったらそうもなるわな。

それでは、大西洋のこの地味な働き者、TSS "STEFAN BATORY"の姿を公式ページの完成見本写真で見てみよう。

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まずは上面、側面の写真から。あまり速力は重視されていないのか、丸っこい可愛い形の船だが、排水量1万5千トン、全長150メートルのけっこう大きい船だ。
ちなみに乗客定数は783人。内訳はファーストクラス39人、一般船室734人。そして、乗員は336人。客室乗務員の割合がどの程度かわからないが、共産圏の船にしてはなかなかサービスが良さそうだ。

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アングルを付けて全体を眺めるとこんな感じ。なかなか迫力のある立派な姿だ。
船尾にはプールまであるのが見える。

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今度は細部にクローズアップ。船の美しさもさることながら、作例の工作の見事さにも感心させられる。船首と船尾にあるキャビン付きクレーンや、まるでモニュメントのようなシンプルな形のマストもおもしろい。

最後の大西洋定期航路客船となったポーランド客船、TSS "STEFAN BATORY"は海もの統一スケールの200分の1で完成全長約75センチという堂々たるサイズ。難易度も堂々3段階評価の「3」(難しい)となっている。
定価はスタンダードモデルが120ポーランドズロチ(約4000円)、レーザーカット済みのディティールアップパーツ及び芯材用厚紙がセットになったコンプリートセットが240ズロチ(約8000円)と、これまた堂々たるもの。

旧MS"BATORY"は以前にMAŁY MODELARZから300分の1のキットが出ているが、この冬WAKから200分の1で新キットが出るという情報もある。ポーランド客船ファンのモデラーならポーランドが世界に誇った2隻のBATORYが揃うこの機会を見逃すべきではないだろう。

*今回の記事はこちらのサイトを参考としました。現役時代の写真やパンフレット、デッキ配置図などが見られる、STEFAN BATORYに関する貴重な情報満載のサイトです。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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オランダ船らしいスタイルですね

寸詰まりの船体がSSコロンビア号のようですね。
元はオランダ船とのことですが、言われてみると、なるほどオランダ船の面構えをしております。
あまり大きすぎもせず、使い勝手のよさそうな客船ですね~。
こんなレトロで素敵な船が、80年代後半まで現役だったというのが驚きです!

Re: オランダ船らしいスタイルですね

azukenさん、こんばんは!
おおっ、お化粧直しをしても見る人が見れば、生まれは判ってしまうものですね。
もともとの基本設計が貨物船だったので客船としては頑丈だったそうで、それも長生きの秘密かもしれません。
現役時代の写真を見ると内装も凝っていて、さぞや楽しい船旅を提供してくれたことでしょう。うーん、羨ましいですな~

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