Kartonowa Kolekcja イギリス軍練習機 DH-82A "Tiger Moth"

2014年、新年あけましておめでとうございます。
こんな、ほとんど思いつきとノリ(勢い)だけでやってるようないい加減なブログですが、本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。

さぁ、年始の挨拶も終わったことだし、いつも通り読者を振りきる勢いで飛ばしていこう。2014年、最初に紹介する新製品はポーランドKARTONOWA KOLEKCJAからリリースされたイギリス軍練習機 DH-82A "Tiger Moth"だ。

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とは言え、新年早々にわけわからんものを出すと正月ボケで事故を起こしかねないので、手堅いアイテムからのスタートだ。
"Tiger Moth"(「タイガーモス」、蛾の一種「ヒトリガ」)は取り扱いの容易さ、頑丈さが評価され戦後に生産された民間向けなどの各種バリエーションを含めると実に9千機弱が生産されたという練習機界の定番中の定番だ。
設計したデ=ハヴィラント社は1882年生まれのもと自動車技師、ジェフリー・デ=ハヴィラントが設立した会社。
早くから飛行機に興味を示していたジェフリーは1910年、母方の祖父から借りたお金で2年かけて制作した自作1号機で意気揚々と離陸したが、30メートルほど飛んだところで左翼が折れて墜落した(幸い残骸から這い出る時に完全に止まっていないプロペラに接触して片手の手首を痛めた他に大きな怪我はなかった)。
なんともカッコ悪いスタートとなってしまったが、この失敗で得たものは大きかったようで、ジェフリーは1912年には自作2号機を完成させる。この機体は当時の英国の高度記録を超える高度1万フィート(約3千メートル)に到達、これを新しく設立された王立空軍工廠に売却したジェフリーは自身も工廠に加わり製図板に向かった。

1914年、第一次大戦が勃発すると、ジェフリーはなぜか検査官に任命されてしまう。製図板から離れなくてはならなくなったジェフリーは思いっきり不満だったので、絵入り新聞「デイリー・グラフィック」誌社主の御曹司で飛行機大好きなジョージ・トーマスが設立したAirco社から「うちで飛行機作ってみない?」の声がかかるとホイホイとそっちへ移った。
ジェフリーはAircoで自身のイニシャル「DH」を冠した機体を次々に開発していくが、中でも得意にしたのが軽量で扱いの容易な練習機であった。

機体はそこそこいいものだったが、やっぱり御曹司の道楽じゃいまいち経営に切れ味がなかったのか、一次大戦後すぐにAircoは自動車メーカーのBSAに吸収合併されてしまう。
しかし、BSAは自動車メーカーなので飛行機を作るつもりはなく、単にAircoの工場と熟練工が量産体制の増強に必要なだけだった。
このままでは、大大大好きな飛行機が設計できなくなっちゃう! と一念発起したジェフリーは貯金をはたいてAircoの工場から生産設備を購入、これで新たにデ=ハヴィラント航空機会社を設立する。
ジェフリーはここで経営をしながら、飛行機を設計もして、さらに試作機のテストパイロットも自分でやっちゃうという大奮戦を成し遂げ、「デ=ハヴィラント」の名は傑作機「モスキート」の名と共に航空史に刻まれたのである。
ちなみに、映画女優の「オリヴィエ・デ=ハヴィラント」とジェフリーはイトコ関係に当たる。

さて、デ=ハヴィラントの説明しただけで結構な量になってしまったので、ここからは公式ページの完成見本写真を見ながらの機体説明に移ろう。

Tiger_Moth_1.jpg Tiger_Moth_2.jpg Tiger_Moth_3.jpg

まぁ練習機なので、別段「おぉっ!」と驚くようなスタイリングはしていない。
DH-82「タイガーモス」は、基本的には前身であるDH-60「ジプシーモス」(マイマイガ、害虫)の軍用型である。
デ=ハヴィラントの航空機には「蛾」の名前がついた機体が多くあるが、これは蛾の研究家でもあったジェフリーが、「飛行機は蛾のようにあれ」とのポリシーに基づいて名付けたものだそうだ。
原型との差はエンジンが100馬力から130馬力に強化されたこと、軍の仕様に従っていざという時に訓練生、教官が機体を捨ててパラシュート脱出できるように座席開口部左右の胴体側面を可倒式としたこと、前席の視界を広げるために上翼中央部を前進させたことである(上翼中央部の移動は、脱出時に邪魔になる支柱を前にずらす目的もあった)。

Tiger_Moth_4.jpg

下からになるが、平面形はこんな感じとなる。
下面、エンジンカウル、翼端などを黄色く塗るのは1943年末に制定された英空軍の練習機標準塗装。ジプシーモスの上翼中央は燃料タンクになっており、それを前に動かしただけだと重心が変わってしまうので主翼にはゆるい後退角がつけられて辻褄を合わせている。尾翼の形がちょっとヒトリガに似ているのが面白い。

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細部も細かくなりすぎないアッサリとした感じの仕上がりだが、もともとがスッキリとした感じの機体なのでいい雰囲気だ。
タイガーモスは基本的に練習機なので武装はしていないが、ダンケルク撤退直後には英国本土に上陸したドイツ軍を爆撃するために爆装した軽爆撃機タイプが準備され、ドイツ軍降下猟兵のパラシュート紐を切ってしまおう! と翼の前にカッターを取り付けたオモシロタイプや、殺虫剤をドイツ軍地上部隊の上にバラ撒くための物騒な毒ガス散布タイプも考案されたが、そんなものを本当に作ったら本気と正気が疑われるんで計画だけに終わった。

Tiger_Moth_arkusz.jpg

テクスチャは汚しのないタイプだが、作例でもわかるように布張りの質感たっぷりの陰影がつけられている。胴体がブツ切りではなく、「ひらき」になっているのはポーランドの展開図ではちょっと珍しい。
機体番号T-7741は第25亡命ポーランド人初級航空学校所属機。この機体は1944年11月10日に同じタイガーモスのT-7689と衝突して失われている(地上か空中かははっきりしない)。

新年を飾るにふさわしいスタンダードな仕上がりを予想させるKartonowa Kolekcjaの新製品、イギリス軍練習機 DH-82A "Tiger Moth"はもちろん航空機統一スケール33分の1でのリリース。難易度表記はないが、それほど難しくはなさそうだ。定価は23ポーランドズロチ(約750円)。

ところで、タイガーモスと言えば忘れてはならないのが、映画「サンダーバード6号」での活躍。未来技術の塊である反重力飛行船「スカイシップ・ワン」が遭難、反重力効果が序々に失われ墜落の危機に晒される中、乗員乗客を救出したのは国際救助隊の誇る空想科学兵器ではなく、旧式複葉機に過ぎないタイガーモスだった……という飛行機好きには堪らない展開だ。腕と工作室に余裕のあるモデラーなら、同スケールでスカイシップ・ワンをスクラッチするのもいいだろう。
また、練習機ファン、デ=ハヴィラントファンのモデラーならGPMからリリースされている前身「ジプシーモス」、WAKからリリースされている後継機カナダ・デ=ハヴィラント製練習機「チップマンク」を並べてみることで、練習機の進化を確認するのも面白そうだ。
なお、GPMの「ジプシーモス」は相互リンクしていただいている紙模型静岡工場さんに素晴らしい製作記がアップされているので、ぜひそちらも参照されたい。

最後となりましたが、2014年も当ブログ、当コーナーをよろしくお願いいたします!



画像はKARTONOWA KOLEKCJAサイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。

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あけおめ&ことよろ

ことよろ~で、ございます。

コレ、この間つい買っちゃったんですが、中々良さ気でした。白黒なんですが、実機のデティール写真とかが巻末に2ページぐらい有ったりして親切なキットみたいです。

タイガーモスは正月の深夜にやってた映画「英国王のスピーチ」で、ブンブン飛び回ってました~何気に製作の参考になる鮮明なカットが(笑)

Re: あけおめ&ことよろ

ナオさん、あけましておめでとうございます!

おお、そんなところにもタイガーモスが! 今、確認したら映画そのものも面白そうですね。機会があったら、見てみたいです。
KKのキットは、どれも複雑すぎないスッキリした感じが制作意欲をかきたててくれますね。ジプシーモスとの2ショット、期待してますよ~(と、なにげに圧力w)
それでは、今年もよろしくお願いいたします!
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