SZK ポーランド製練習機 PZL M-2

いよいよ2013年も11月。日本列島の景色は日々、冬の色合いを濃くしている。そんな寒い日々、連休だってのに午前中にホームセンター行ったぐらいで日がな一日カードモデルと取っ組み合っている紳士淑女のためのカードモデル情報ブログである当ブログが今回紹介するのは、ポーランドのブランド「SZK」の新製品、ポーランド製練習機 PZL M-2だ。

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完成見本はこれ一枚しか画像がないので、しっかり目に焼き付けておいていただきたい。

ポーランド航空業界と言えば、戦前は明けて暮れても練習機ばかり作っていたのはカードモデルファンにはすでに常識となりつつあるが、戦後はなにをしていたのかと言うと、やっぱり練習機を作っていた。

「PZL-Mielec」は、もともとはポーランド南部の都市Mielecに建設された国産兵器工廠PZLの第二工場(第一工場はワルシャワ)だったが、完成したのが1939年だったので第一工場から届いたPZL-37ウォシ爆撃機の部品を少し組み立てただけでドイツ軍に接収されてしまった。戦時中は、ハインケル機の部品を作ったり、ユンカース機の修理をしたりしていたようだ。
戦争が終わると、もともと東欧では抜きん出た重工業力を保持していたポーランドは、東側諸国の「最前線」としてソビエトからの支援を受けていたこともあり、工業界の立ち直りは大戦で被った惨禍の割には意外なほど早かった。
ポーランドの民間航空業界を取り仕切るAeroklub Polskiでは、国産機の生産とパイロット養成のためにPZL-Mielecに練習機の開発を発注、ソビエトのPo-2のライセンス生産をしていたPZL-Mielecはいくつかの少数生産機を経て1955年に全金属製のTS-8練習機を完成させる。この機は国産エンジンがえらくうるさいという問題はあったものの、250機が生産され戦後ポーランド航空界の基礎を築いた。

さて、TS-8の成功に続いて、1958年には次の練習機M-2も完成した。スペックを見ると、TS-8の最高時速が315キロなのに対して、新練習機のM-2がわずか280キロと控えめな上に脚も固定となっているから、たぶんより初等訓練向きの機体として発注されたのだろう。
軽飛行機大国ポーランドらしく、全金属製の機体は手堅くまとめられていたが、輸入品のプラハ・ドリス水平対向エンジンがダメダメだった。振動がひどいのだ。
初等訓練で機体が始終ガタガタ振動していたら訓練生がみんな腱鞘炎になってしまうのでエンジン換装が計画されたが、ポーランド国産で似たようなサイズ、性能のNarkiewicz WN-6エンジンはまだ開発中だった。
エンジンなしで飛ぶわけにはいかないのでこの新型エンジンを待っていたら、Aeroklub Polskiは「やっぱり、尾輪式じゃなくて機首に脚のある三輪式の練習機が欲しいっす」と言ってきた。今更そんなこと言われたって、重心の計算とかあるし、今からではどうしようもないんで、M-2は試作2機で開発終了した。とほほ。
ちなみに WN-6エンジンは結局完成しなかった。ダブルとほほ。

そんなとほほな試作練習機、M-2を今回SZKがキット化。完成写真は表紙の一枚しかないので、公式ページの展開図見本でも見てみよう。

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テクスチャは汚しのないスッキリしたタイプ。塗装は試作1号機、コードレター「SP-PAC」だ。この機体は、現在クラコウの航空博物館に展示されている。ちなみに試作2号機はMielec市の近くでモニュメントになっているそうだ。こんなどうでもいい感じの練習機の試作機が100%現存しているというのも珍しい。

PZL-Mielecはその後、三車輪式の新型練習機M-4を設計してドヤ顔でAeroklub Polskiに提出している。今度も飛行性能には問題がなかったが、設計に気合を入れすぎたせいで単価がバカ高くなってしまった上に、試作機が積んでるのがWN-6エンジンの試作品だった時点で運命は決まってしまった。やっぱりエンジンの都合がつかなくてM-4は試作2機で開発終了。試作1号機はM-2と一緒にクラコウの航空博物館に飾ってある。
M-2と直接は関係ないのだが、PZLは他にも1973年には農業用単発ジェット複葉機M-15という超ゲテモノも開発している。パリの航空ショーであまりに異様な姿から悪魔の名前である「ベルフェゴル」という名称を頂戴した。
ジェットなのに複葉機のベルフェゴルはジェットなのに最高時速200キロ、農業用機なのに燃費の悪いジェットエンジン、というとっても個性的な性能の割には1981年までに120機も生産してしまったのを見ると、もっと真っ当な形のM-2、M-4が2機づつしか作られなかったのはなんだったんだろう、という気になってくる。
なお、PZL-Mielecは400機が生産された傑作ジェット練習機TS-11”Iskra”も開発しており、決してオモシロ切ない飛行機の供給が本業なわけではない。

エンジンに泣かされたポーランドの国産練習機、PZL M-2は空モノ標準スケール33分の1で完成全長約29センチ。難易度の表記はないが展開図を見たところでは「やや易しい」といった感じか。そして、定価は14.9ポーランドズロチ(約500円)となっている。
PZLの戦後練習機は、M-2と一緒にエンジンがダメダメでお蔵入りになったM-4がFly Modelから以前にリリースされているので、ポーランド練習機ファンのモデラーならショップ巡りをして手に入れておきたい。
また、傑作ジェット練習機TS-11はOrlikからアクロバットチーム塗装の素晴らしいキットが出ているので、これも並べてポーランド練習機の変遷を体感するのもおもしろいだろう。
ポーランドのどうでもいい飛行機ファンなら、後はどこかのメーカーがうっかりベルフェゴルをキット化してしまうのを待つばかりだ。



画像はSZKサイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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欲しくなりましたね(^-^)

アニメ映画「プレーンズ」の主人公のモデル?となった農業機PZL-18のカードモデル(ペーパーモデル)があったら欲しいですね(^-^)

Re: 欲しくなりましたね(^-^)

さいたまさん、こんばんは。
PZL M-18ドロメイダーはGPMが97年にキット化しております。再販版が時々出るようで、海外のショップでみかけることもありますよ~
展開図公開中
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