WEKTOR Kfz.14、Rumpler C.I

日本はようやく秋を迎え涼しい日が続くようになったが、夏休みの終わった東欧ではカードモデル界がホットさを増すばかりだ。
本日は、そんな秋の新製品攻勢の中からポーランドの新進ブランド、WEKTORの新製品を紹介したい。
WEKTORは一作目でオーストリア=ハンガリー帝国の汎用機、二作目でワイマール共和国軍の装甲車、とあらぬ方向へ向かって快調なスタートを切ったことは当コーナーでも紹介したが、早くも第三作目、第四作目の情報が飛び込んできた。

まず、紹介するのはWEKTOR第三作目、ワイマール政権ドイツの装甲車 Kfz.14だ。

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Kfz.13と同じじゃねーか!

まぁ、ぶっちゃけ、同じ車輌である。

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違いは、見ての通りフレームアンテナと無線機を装備していることだ。乗員は無線手が一人追加され、3人乗りとなったが、スペースがないので主武装の防盾付き機関銃が撤去され、車体の武装はなくなった。

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相変わらず、素晴らしい車内のクオリティに要注目だ。乗員の自衛用ベルグマン短機関銃、無線機、双眼鏡ケース、書類鞄などの小物が車内の雰囲気をぐっと引き立てている。
でも他に書くことがないのでKfz.14の話はこれでおしまいだ。

続けて紹介するのはWEKTOR第四作目、ドイツ帝国軍偵察機 Rumpler C.Iだ。

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なんでまた、そういう微妙なものを……
Rumpler(ルンプラー)は以前にパピエクラフト=シュライバーボーゲンのエトリッヒ・タウベを自慢した時にちょっと名前が出てきたが、オーストリア=ハンガリー人のEdmund Rumplerが設立した会社である。
E・ルンプラーは1872年ウィーンの生まれ。30歳までタトラ、ダイムラーなどで働き1902年にアドラーの設計責任者に就任。ここでサスペンション付き車軸での後輪駆動システムなど、重要な開発をいくつか手がけていたが世界的な飛行機熱の高まりに刺激され1909年にアドラーを退社、ルンプラー飛行機会社をベルリンに設立する。
ルンプラーはエトリッヒ・タウベ機をぶっちゃけパクって生産して財をなし、第一次大戦でも多くの機種を軍に納入している。

大戦初期に投入されたルンプラーC1は、最高時速こそ150キロと平凡だったが復座であるために観測員を乗せての偵察にも使え、後席の旋回機銃でヘナチョコな敵なら追い払うこともできた。また、設計に余裕があり最大100キロの爆装も可能だたというから、この時期としてはかなり優秀だ。
もちろん、最高時速150キロでは高速化著しい戦闘機から逃げきることはすぐに不可能となったが、抜群の安定性を評価され終戦まで諸任務や練習機に使用されている。

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WEKTORは今回、ポーランド空軍が接収した機体をキット化。相変わらず、繊細なタッチが華奢な複葉機とよくマッチしている。
なんか変なマーキングは、胴体の帝政ドイツ軍識別章の鉄十字をポーランド国旗の赤白に塗り分けた盾形で塗りつぶし、主翼の鉄十字はテケトーに黒丸で塗りつぶしてあるという「墨塗りマーキング」だ。
ポーランド軍はこの機体を21機をドイツから接収。さらに接収した部品から6機を組み立てており、1922年に廃棄されるまでパイロットの訓練などに用いた。

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それにしても驚かされるのは、この素晴らしい排気管の処理だ。第一次大戦時の布張り機は防水塗料でコテコテに固めた帆布が非常に燃えやすいので排気を機体に当てたくない、というのは理解できる。しかし、だからってあぁた、これはないでしょう。蒸気機関車じゃないんだから。
「液冷エンジンなので、一番風が当たる場所にラジエターを起きました!」と自己主張しているラジエターの配置も素晴らしい。おかげでパイロットの前方視界がラジエターとエンジンの隙間しかないぞ。
なお、後席に備えてある機関銃はMG14、いわゆる「パラベラム」機関銃だ。ルンプラーC1は、パラベラムの代わりにM08水冷機関銃「シュパンダウ」を装備している機体も多かった。

航空機製作で成功をおさめたルンプラーは第一次大戦後、その技術を自動車製作に応用することを思いつき、画期的な涙滴型自動車「Tropfenwagen」を開発。この斬新なスタイリングはモーターショーでセンセーションを起こしたが、一般人にこんな過激な車を買わせようという目論見はもちろん外れ、ほどなくしてルンプラー社は倒産した。Tropfenwagenは約100台が生産され、現在は2台が現存している。
Tropfenwagenは商業的には完全に失敗だったが、そのスタイリングはベンツやアウトウニオンの涙滴形グランプリカーに強い影響を与えたと言われている。なお、この形だと車体を下に押し付けるダウンフォースが発生しない(車体下面に発生する、車体を押し上げる力と相殺される)ため、速度を出すと「親方! 空から車が!」となってしまうので現在のレースカーはこういうスタイリングはしない。

Tropfenwagenの失敗後、E・ルンプラーの足取りははっきりしない。彼の名前が次に登場するのは1933年にヒトラーが政権を握ったドイツで逮捕された時のことである。罪状などない。E・ルンプラーはユダヤ人だったのだ。
ルンプラーは釈放されたが、二度と自動車及び航空業界に復帰することはなかった。
1940年。ルンプラーはひっそりと死去する。ナチスドイツは優れたユダヤ人技術者が存在したことを認めず、彼の記録を全て破棄したと言われる。
(この経緯を知ると、ルンプラーがエトリッヒからタウベの特許をいちゃもんつけて奪い取った、ってのも眉に唾つけて聞いたほうが良さそうだ)

人がいないところで快進撃を続けるWEKTORの新製品、Kfz.14は陸モノスケール25分の1、Rumpler C.Iは空モノスケール33分の1でのリリース。難易度の記載はないが、5段階評価の「4」(難しい)といったところだろうか。そして定価は両方とも25ポーランドズロチ(約800円)となっている。

ポーランド空軍とナチスドイツ陸軍、双方の創成期を支えたこれらのキットは、そーゆー地味なモノのファンにとっては見逃すことのできない一品だと言えるだろう。



画像はWEKTOR公式サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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