WAK ソビエト軍軽戦車 T-70 2種

ドイツ軍のポーランド侵攻から74年目となる今日、関東は突然として残暑が戻り暑い一日となった。お陰で水をがぶ飲みしすぎてポンポン痛ぅなった筆者のお送りする東欧カードモデル情報ブログ、本日はポーランドWAK社からリリースされたソビエト軍軽戦車 T-70 のキットを紹介しよう。

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なぜかしょっちゅう表紙のフォーマットが変わるWAKだが、今回は迫力たっぷりのイラスト表紙。1944年8月、バグラチオン作戦の一部としてポーランド東部に進出したポーランド第1装甲旅団がヘルマン・ゲーリング装甲師団と激突したStudzianki村の戦いを描いている。この戦いは日本ではドマイナーだが、ポーランドでは「Czterej pancerni i pies」(犬と四人の戦車兵)という大人気戦争ドラマの序盤の舞台がStudzianki村の戦いだったので、非常に有名な戦いとなっている。
なお、Studzianki村は1969年に村名に「Pancerne」(装甲)を足し、「Studzianki Pancerne」(装甲Studzianki村)というぶっ飛びな名前に改名している。

T-70は、先代のT-60軽戦車が薄い装甲、非力な武装、そして遅い速度という、もう何のために存在してるんだかわからないレベルの欠点があったのを改善するために開発された車両であった。装甲はT-60の最大20ミリから最大60ミリへ、主砲は20ミリ機関砲から45ミリ砲に強化された。問題は、これにより増大した車重を動かすためのてごろな小型エンジンがなかったことで、仕方が無いので左右の履帯に別々にエンジンをつなげ、この2基のエンジンをうまいことなんとかする、という、絶対うまくいかなそうなシステム(片方エンジンが止まったら、一箇所でぐるぐる回ることしかできなくなるぞ)が搭載された。この結果、速度はT-60とほぼ同じ最高時速45キロとなったが、そもそもT-60が追撃戦になると最高時速55キロのT-34に随伴できない、という問題はなぜか忘れられて制式採用となった。
しかし、動かしてみたら、やっぱり左右独立エンジンというのはうまくいかなくて、たった二ヶ月でエンジン2基をタンデムに繋げて一本のシャフトを回す形式に変更した「T-70M」に生産は切り替わった。だったら、最初っからそうすりゃいいじゃないか。

T-70とT-70Mは勢いに任せて合計8千輌以上が生産されたが、既述のように追撃戦になると主力に追随できない、45ミリ砲は非力で敵の戦車とは戦えない、さらに45ミリじゃ榴弾の威力も小さいから陣地攻撃にも使えない、乗員が車長1人、操縦士1人の2人乗りなので車長は操縦士に指示を出しながら、敵を探しながら、砲弾を装填しながら、目標を砲撃する、という大活躍をしなければならず、ぶっちゃけそんなの不可能なのでどうしようもない、という欠点だらけであった。
結局、「軽戦車」というカテゴリーそのものがすでに1943年には完全に時代遅れとなり、後継車両T-80の生産は極少数で終了。ソビエト軍自身が戦後の総括で「軽戦車作りすぎたのは失敗だったね。テヘペロ」と失敗を認めている。

それでは、ぶっちゃけ失敗だったT-70の姿を公式ページの完成見本で見てみよう。

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だから作例をディティールアップしちゃダメだっての。
デザイナーは、なんだかよくわかんない日本軍車輌のスーパーディティールモデルでは定評のあるM. Rafalski氏。Rafalski氏の作例はいつもガッチリとディテールアップした上に完全に塗られちゃってるので、今回は塗られてないだけ良しとするか。

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T-70とT-70Mを見分けるポイントはいくつかあるが、車体前面の操縦席ハッチはこのキットのように貼視孔があるのがT-70、これをなくしたノッペリしたハッチの上にペリスコープが追加されているのがT-70Mである。したがって、このキットは生産数の少ないT-70のキット、ということになるのだが、よく見るとT-70無印では丸いはずのフェンダー前端が角型の平面構成だったり、排気管の取り回しがT-70Mだったり、とチャンポンになっている。
とは言っても、このキットはポーランド、ポズナンの装甲兵器博物館に現存する走行可能状態のT-70をモデルとしており、たしかにその車輌も同様にT-70Mが混ざっている。したがって、キットがチャンポンなのも決してRafalski氏のリサーチミスではない。
もしかするとポズナニの車輌は戦時中、もしくは戦後のレストア時にT-70からT-70Mに改修されたのかもしれない。

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キットのテクスチャは汚しのないスッキリしたタイプ。難易度が5段階評価の「3」(普通)とされているが、組み立て説明書の細かさを見ると、本気ですか? と聞きたくなる。

さて、今回は前回に引き続き、2キットを紹介しよう。
次に紹介するのは同じくWAK社の、ソビエト軍軽戦車 T-70Mだ。

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同じじゃねーか!
とは言っても、今回はポーランドカードモデルではお馴染み、恵方巻きもびっくりの信じられない丸被りではなく、Rafalski氏自身の手によるWAKからの同アイテムリリースで、こちらは極力構造を簡略化した「イージーキット」となる。

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この通り、足回りまでテクスチャで済ましてしまうお手軽構造。これならT-70が好きで好きでたまらないのだが、カードモデルはちょっと難しくて……という初心者にもオススメだ。
表紙にポズナン装甲兵器博物館の名前が入っているので、もしかすると本来は博物館で販売するおみやげ用のキットなのかも知れない。
しかし、同じ車輌をモデル化してるのに、どうして上のキットが「T-70」で、こっちが「T-70M」なのかは謎だ。

WAKの新製品、ソビエト軍軽戦車 T-70はスタンダードモデルが30ポーランドズロチ(約千円)、イージーモデルがなんと9ズロチ(約300円)と手軽な定価に設定されている。スケールは双方とも陸モノ標準スケール、25分の1だ。ソビエト軍軽戦車ファンのモデラーなら、自分のスキルに合わせて購入したい。

スタンダードモデルとイージーモデル、2つのスタイルでの同アイテム発売というのは初心者からマニアまでの広い層に最適なモデルを供給できる、おもしろい試みと言えるだろう。今回は博物館への提供を前提とした特例かもしれないが、カードモデラー層の拡大のためにはいいアイデアかも知れない。
ただし、これをやったキット同士が丸被りすると、同じアイテムが4個同時にショップに並んで目も当てられないので、その辺の打ち合わせはしっかりとやった方がいいだろう。



写真はWAK社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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