WEKTOR Aviatik B.I、Kfz.13

いよいよ夏本番! ガラにもなく暑気にあてられてぶっ倒れてたり、冷水飲み過ぎてトイレから出てこなくなったりした筆者がお送りする東欧新作カードモデル情報、今回紹介するのはポーランドの新規参入ブランド、WEKTORからの新製品だ。
WEKTORは、来歴がどこに書いてあるんだかよくわかんないけど、今年にはいって1作目、2作目の2作品をリリースしたばかりの新進気鋭のブランド。本日はWEKTORのスタトーダッシュとも言うべき2作を紹介しよう。

aviatik strona

まずは記念すべき第一作「Aviatik B.I」。いきなり第一作目から、オーストリア=ハンガリー帝国の汎用機という妥協しないアイテム選択が、早くも唯我独尊的ポーランドカードモデルメーカーの風格を漂わせている。表紙のちょっとポヤ~ンとしたタッチもカードモデルらしさ満点だ。

Aviatikというメーカーは、1910年に帝政ドイツ領ミュルーズ(アルザス・ロレーヌの一部で、現在はフランス領)に設立されたメーカーである。当初はフランスのアンリオやファルマンの飛行機のライセンス生産を行なっていたが、1914年に本社はドイツ南部のフライブルグに移転。ウィーンに航空機部門の子会社を持ち、そこで1913年にレーサー機として開発されたのがB.1である。資料によっては、オーストリア=ハンガリー帝国初の国産機とされている。
第一次大戦が勃発すると、B.1は偵察機としてオーストリア=ハンガリー軍に偵察機として採用される。と、いうか、このころはまだ「機種」って考え方がまだないんで、敵陣に偵察もしに行くし、ついでに手榴弾落として爆撃もするし、敵の飛行機に出会ったら拳銃で空中戦だってやっちゃう。
しかし、より本格的に戦闘を目的とした「戦闘機」が登場すると、最高時速たった100キロ、頑張ったら蒸気機関車でも追い越せそうなB.1は戦場から次第に駆逐されていき1916年ごろには姿を消す。そして、Aviatikもより本格的なCシリーズ、Dシリーズの生産へと移行した。
1918年の敗戦でオーストリア=ハンガリー帝国は消滅し、Aviatikも飛行機の生産を禁止された。けど、この後どうなったのか、資料を探してもどこにも書いてなかったのでわからない。筆者はてっきり、チェコのAvia社って、Aviatikの後継かと思っていたが、全然関係なかった。

そんなわけで、なんとも地味な感じのAviatik B.Iの完成見本写真を公式ページから引用してみよう。

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パッと見は、ただの地味な飛行機だけど、よく見るとなんか変。上翼が真ん中から左右にわかれているのはなぜなんだろう。最初、上翼と下翼が共通で、上翼は胴体を挟まないで左右の翼をつなげているのかと思ったが、良く見たら下翼の方が短いので有り得なかった。この構造だと、主翼中央にマストを立てて、左右の翼を張り線で上に釣り上げないと強度が不足しそうな気もするがいいんだろうか。
ラジエターが胴体左右側面にあるのも、なんだかそれでいいのか、という感じのレイアウトだ。

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なんかお祝いごとでもあった感じのド派手な紅白塗装はオーストリア国旗をモチーフとした敵味方識別用ではないかと思われる。「Durch」の愛称が書きこまれたこの機体は、オーストリア=ハンガリーのパイロット、Benno Fiala Ritter von Fernbruggの機体(1914年)。この時期にしては珍しく、実機の写真が現存している。
von Fernbruggは最終的に28機撃墜でオーストリア=ハンガリー帝国3番目のエースとなるが、資料によって各パイロットの撃墜数がマチマチで3位ではなく、4位だったりするデタラメさ。
優秀なパイロットであると同時にアイデアマンあったvon Fernbruggは、Aviatik B.1にカメラや無線機を積み込んで戦線の状況を地上に知らせ、陸戦を有利に導いたり、機関銃を持ち込んで敵機と交戦したりしたが、上官からは「余計なことをすんな」と怒られたらしい。
第一次大戦後は商用飛行機会社や航空機開発、空港の運営などに携わり、著名なユンカース教授のもとで働いたり、日本の三菱で全金属製飛行機(機種不明)の設計などにも関わった。第二次大戦では軍に積極的な関与はせず、1964年にウィーンで亡くなった。

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キットのテクスチャは汚し、羽布表現のないスッキリしたタイプ。ただし、合板部分には木目テクスチャが印刷されているようだ。また、作例では車輪のスポークをワイヤーで表現しているが、テクスチャ表現で済ますこともできるようだ。
*公式ページの情報によると、一部特色シルバー印刷。

お次は第二作目、「Kfz.13」だ。

Kfz13 strona

二作目はドイツの戦間期の装甲車、Kfz.13。1933年に採用された新生ドイツ陸軍最初の装甲車両という、これまた記念すべき車両だが、弱いので1934年には生産終了。それって再軍備前だから、軍用車両ではない(ただの治安維持用)とも言える。ゲーム、「アドバンスド大戦略IV」でも、最初っから持ってるけど、弱くて使い道なくて困っちゃう車両だ。
では、そんな微妙な感じの車両も、公式ページの完成見本写真で見てみよう。

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なぜか今度はホワイトモデル。三木のり平氏ばりに自信満々に「装甲車ですよ!」とは言ってみたものの、上はオープントップだし、装甲は8ミリでヘタすりゃライフル弾でも貫通するし、固定武装は機関銃1丁だし、それだって単に盾付きの銃架の上に載ってるだけだし、よく見りゃボンネットの上は装甲されてないし、というわけで早々に生産終了して、もっと真面目な装甲車に生産が移ったのも理解できる感じだ。

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ホワイトモデルのおかげで、各所の細かいディティールがワイヤーで再現されていることがよくわかる。丸い部分はどうすりゃいいんだかわからない車幅指示用のコーナーポールや、車体各所のなんか吊り下げるための金具、ウィンカー代わりの方向指示器セマフォーの支柱など、工作は大変そうだがこの車両の「力弱さ」を際だたせるためには是非とも挑戦したい部分だ。

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テクスチャは汚し、質感表現のないスッキリしたタイプ。塗装は戦前(1937年初夏)以前のグレーとブラウンの2色迷彩。迷彩の色がサツマイモ色でないことを祈るばかりだ。

新ブランドWEKTORの注目すべき地味なローンチアイテム2種。 もちろんAviatik B.Iは空モノ標準スケールである33分の1、Kfz.13は陸モノ標準スケール25分の1でのリリース。定価はどちらも25ポーランドズロチ(約800円)、難易度は設定されていないが、なかなか手応えがありそうだ。
オーストリア=ハンガリー空軍ファン、ワイマール共和国軍ファンにとってはどちらも待ちかねたアイテムだろう。
また、それらのことは良く知らない、あるいはどうでもいい、というモデラーも、資金に余裕があれば新ブランドへの応援の気持ちで購入を検討してみてはいかがだろうか。作ってみたら、その手のもののファンになるかも知れない。ならないかも知れない。



画像はWEKTOR公式サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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