GPM ポーランドの大聖堂 ”KOŚCIÓŁ MARIACKI”

日本では先日、富士山が世界遺産に登録されたことは記憶に新しいが、今回はこれにちなみ世界遺産の新作カードモデルを紹介しよう。
本日紹介するのはポーランドGPM社の新製品、大聖堂 ”KOŚCIÓŁ MARIACKI”だ。

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「世界遺産」とは言っても、登録されているのはこの建物ではなく、この建物が存在するポーランドクラクフ(ドイツ語名「クラコウ」)市の旧市街一帯丸々である。先週の重榴弾砲から世界遺産に話がぶっ飛ぶ唐突さは、もはや当ブログの読者なら慣れっこのことだと思うので休憩せずに一気にいこう。

クラクフ市はポーランド王国成立前の8世紀ごろに建設された町で、中世ポーランド時代には「王都」でありポーランド最大の都市として名実ともにポーランド王国の中心地であった。
しかし、16世紀中盤から王権が弱まると行政の中心は次第にワルシャワへと移り、17世紀にポーランド王国首都は正式にワルシャワとなる。つまり、クラクフは日本で言えば新都東京に対する古都京都に近い存在だと思えばわかりやすいだろう。
現在でもクラクフはワルシャワ、ウッチに続くポーランド第三の都市であり、その長い歴史と相まって古くはコペルニクス、最近ではF1レーサーのロバート・クビサ、映画監督のアンジェイ・ワイダ、そしてローマ法王ヨハネ・パウロ2世などポーランドを代表する有名人の故郷でもある。こんな大事な文明なのに、シヴィライゼーションで登場するのは「5」の拡張パックまで待たなければならないのは納得できないぞ(ちなみにポーランドの固有ユニットはポーランド騎兵「ハサー」だ)。

今回キット化された”KOŚCIÓŁ MARIACKI”(聖マリア聖堂)は世界遺産となっている旧市街地を代表する建物の一つで、最初は13世紀初頭に木造協会として建設されたが、モンゴル軍がはるばる東からやってきてぶっ壊された。「民族の象徴」が建つと無条件でゲーム終了だもんな。このコーナーで出てくる中世の話って、ゲームの話ばっかりだな。
モンゴル軍が帰っていったんで聖堂は14世紀前半に再建されたが、今度は15世紀中盤に一帯を襲った大地震で半壊。めげずに再建と建て増しなどが行われ、15世紀終盤には現在の姿がほぼできあがった(18世紀の大規模な改修の際に装飾にはバロック様式が取り入れられている)。

それでは、Wikipediaでたった今、拾って来た知識は一休みして公式ページでの完成見本を見てみよう。
そうは言っても、全体像はなかったので注目ポイントにズームアップだ。

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微妙に柱の上の装飾が傾いているような気もするが、なかなか細かい正面入口の構造。それにしても、この金色のトンガリ部分の装飾はいったい、どうしろというのだ。戦艦の砲身みたいに別売りパーツがあるのかと思ったが、オプションは窓枠や芯材、そしてステンドグラスのレーザーカットセットだ。

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聖マリア聖堂の特徴として、左右で高さの違うタワーがあるが、背の高い方が82メートル、背の低い方は69メートルある。背が低い方は鐘楼だが使用されていない。
その代わり、背の高い方の塔からは毎日、時報代わりにトランペットが吹き鳴らされクラコウ観光の見物の一つとなっている。ラッパの演奏は24時間、それぞれの時間に4方に向けて4回演奏される(国王の居城がある南が最初)が、早朝には交代制の常勤ラッパ手が眠いんで、時々失敗するそうだ(と、Wikipediaに書いてある)。

演奏される曲は「Hejnał Mariacki」。あるいは単純に「Hejnał」と言われることもあるが、これはポーランド語ではなく、ハンガリー語で「夜明け」を意味する単語。もともとは夜明けと日没に、市の正門が開閉するのを知らせるためのラッパだったのではないか、ということだが原曲や作曲者などの情報は一切わかっていないそうだ。
ところでこの曲、Youtubeなどで「Hejnał Mariacki」で検索して聞いていただければわかるが、「ぺーぺれぺー」と始まって40秒ぐらいで、唐突に、本当に唐突にプツッと途切れて終わってしまう。
これは後が押してるとか、スポンサーの都合とかではなく、13世紀、モンゴル軍が攻めてきた時に塔の上からそれを見たラッパ手が市民に危機を知らせるためにラッパを吹き鳴らし、市民たちに警告を送ったもののモンゴル軍射手の矢が喉を貫き、演奏が途中で途切れたという故事に基づいている。
と、大抵の観光案内には書いてあるのだが、実はこの話、1930年代より以前には一切文書に登場しておらず、どうやら近代に創作された話らしい。おそらく、曲が途切れる理由として後付されたのだろう。
ではなぜ曲が途切れるのか、となるとこれが「由来は不明」というからなんとも座りが悪く、理由を創作したくなるのも仕方ないと言った感じだ。
「Hejnał Mariacki」はポーランドを代表する曲として2000年6月、世界中から集まった8歳から79歳までの2千人の奏者によって演奏され、ギネスブックに記録として掲載された。また、1944年5月にはイタリア戦線きっての大激戦であった「モンテ・カッシーノの戦い」において山頂修道院のドイツ軍を駆逐した自由ポーランド軍ラッパ手Emil Czech伍長がこの曲を吹き鳴らし、勝利を知らせた

なお、記録にある限り聖マリア聖堂の時刻のラッパは必ずHejnał Mariackiが鳴らされてきたが、今世紀に入り2度だけ、別の曲が演奏されたことがある。
一度はローマ法王ヨハネ・パウロ2世が崩御した時、そしてもう一度はポーランド空軍Tu-154墜落事故で大統領夫妻を含む政府要人89名が亡くなった時で、"Łzy Matki"(母の涙)という曲が演奏された。

GPMの古都クラクフを代表する歴史的建築物、大聖堂 ”KOŚCIÓŁ MARIACKI”はスケールは200分の1、難易度は3段階評価の「3」(難しい)、そして定価は60ポーランドズロチ(約2千円)となっている。また、同時発売のレーザーカット済みディティールアップパーツも同じく60ズロチとなている。

クラクフには聖マリア聖堂から南に数百メートル行った所に”Katedra Wawelska”(ヴァヴェル大聖堂)という、これまた歴史の古い建物があるが、こちらもGPMから2004年にリリースされている(定価50ズロチ、約1600円)。

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ポーランド史ファンのモデラーなら、両者を並べて机の上に自分だけのクラクフ市を再現できるこの機会を見逃すべきではないだろう。
よく考えたら、ヴァヴェル大聖堂のスケールは500分の1で聖マリア聖堂のスケールが200分の1なので一緒には並べられないという些細な問題は、この際見逃すべきだろう。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。

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