鉄道関係新製品 3種

昨年末、まさかの王道アイテムの連続リリースで度肝をぬいたポーランドカードモデル界。その方向性に思わず「普通のアイテムを選んでくるなんて意外だ」というなんだか日本語の崩壊した感想を抱いたモデラーも多いのではないだろうか。
しかし、本年度に入り届き始めた新製品情報ではマイナー路線が華麗に復活。今回は東欧カードモデル界はちょっとやそっとでは手の届かない所を独走していると思い知らされるポーランドGPM社の新作情報2種をお伝えしよう。
まず最初に紹介するのはドイツ軍装甲列車「16号」だ。

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この間までT-34だとかドイツ8輪重装甲車だとかをリリースしていたかと思ったら、いきなり助走なしでこの大ジャンプ。ついていく方も大変だ。
当ブログの熱心な読者なら覚えておいでだろうが、GPMがドイツ装甲列車16号をリリースするのは二回目。初代は黄色表紙のキット番号「49」だ。初代の記事を書いた時にはまさかこんなものが本当にリメイクされるとは夢にも思っていなかった。
十数年前にリリースされた前回のキットはヘロヘロな手書き展開図が完成するかどうかかなり怪しいシロモノでスケールもカードモデルとしては変則的な35分の1だったが、今回は陸モノ統一スケール25分の1でのリリース。キット内容も「デジタルリマスター」ではなく、完全新規書き起こしだと思われる。
では、実車の情報については初代キットの記事を参照していただくとし、さっそく公式ページでの完成見本写真を見てみよう。

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大抵、装甲列車に含まれるこういう箱型の車両は装甲兵員車で銃眼がポコポコと開いてるものだが16号はこの部分がディーゼル機関車なので窓はない。それだけでもノッペリとしているのに、溶接構造でリベットがないもんだから余計にノッペリしていてなんだか不気味だ。ディーゼル機関車一輌を丸々隠す側面装甲板は、はたしてどうやって鍛造したのだろうか。

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車体前後をクローズアップ。機関車部分の前後端天井にあるリング状のものは2号戦車のキューポラの流用だろうか。現存車両の写真を見ると、機関車部分の天井は心持ちヘロンヘロンに見えるので天井部分は装甲されていないのかも知れない。初代キットでオレンジ地にテケトーな茶色だった迷彩は質感タップリの三色迷彩となっている。ところどころ迷彩パターンがつながっていないが、カードモデルでそれを気にしてはいけない。

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さらに、今回のキットは16号の前後に連結するT-34の砲塔付きワゴンが前後2輌セットとなっている豪華仕様だ。なるほど、GPMはこの間T-34をリリースしたからそれを流用したのか……と思ったが、よく見たらこの間リリースしたのは1940年型扁平砲塔、今回のキットに含まれているのは1942年型六角砲塔で全然別物だ。1942年型T-34より先にこんなキットが出てしまうあたり、さすがポーランドカードモデル界と言えるだろう。
あと、この砲塔付き台車、T-34の車体をぶった切って作ったのかと思っていたが、よく見るとそれっぽく装甲板を組み合わせただけで車体の流用ではないようだ。でも、それだったら操縦士用ハッチや前方機銃はいらないと思うのだが、どういう意図なのだろうか。
なお、装甲列車16号は実際にはこの砲塔付き台車の前後に、さらに地雷避けのために空の平台車を連結していたらしい。

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テクスチャは汚しの利いたタイプ。天井の迷彩パターンが左右対称で、中央部分で不思議な模様になっているのが残念だが、あまりに大きなキットなので意外と気づかないかも知れない。

装甲列車16号だけでも十分パンチ力があるのだが、GPMは同時にさらに驚きのアイテムも同時リリースしている。今回はそちらも一緒に紹介してみよう。
次に紹介するのは、カール列車砲輸送用貨車だ。

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ハセガワのプラモデルでカールを知った世代には、「当たり前」ともいうべき存在である輸送貨車がついにリリース。以前にリリースされている60センチカール自走砲と組み合わせることで大迫力のキャラバンが現出する。あとは4号戦車改造の弾薬運搬車がカール・ファミリーの「お約束」だが、今のところそちらのリリース情報はまだないようだ。

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カールは「自走砲」とは言っても最高時速わずか10キロ以下なので、長距離を移動する場合にはこの専用貨車に釣られて移動した。でもレールから思い切り左右に車体がはみ出てるから、いい気になって列車の速度をどんどん上げていくとトンネルに入ったときにカールを落としていっちゃうので注意が必要だ。
あと、実際には輸送時にはサスペンションを縮めた状態で固定して足回りを引き上げなければならず、走行状態のままだとこの写真のように履帯を引きずってしまうことにも注意されたい。

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キットは全体がむき出しのメカともいうべき構造で、製作にはかなりの技能が必要となりそうだ。リベットとか滑り止めとかはどういう構造になってんだ、これ。
しかし、たった7輌しか造らなかったカール自走砲のために、よくもまぁこれだけ複雑なメカをわざわざ準備したもんだ。

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こちらのテクスチャは汚しのないスッキリしたタイプ。作例写真ではカール本体が青の強いジャーマングレーに対し貨車はかなり暗い色のようだが、これが貨車部分を塗ってしまっているためなのかは不明。

装甲列車16号、カール専用貨車とも展示用の鉄道レールはおそらくキットに含まれないと思うが、せっかくなので先日ポーランドMODELIK社からリリースされた展示ベース用25分の1鉄道レールキットも紹介しておこう。

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このキットは、冊子にはなっておらずレーザーカットされた厚紙のみの構成となっている。従って、テクスチャはなくホワイトモデルであることに注意されたい。

Tory N foto2 Tory N foto3

「鉄道レールなんて、ただの『エ』の字の棒じゃないの?」なんて言ってはいけない。このキットの見所は上写真のようにリアルな固定部分である。これだけのディティールがあるのならば、あえてキットを目立たせるためにベースはホワイトモデルとする、という表現方法も有りだろう。
なお、このキットの軌間幅は1435ミリのヨーロッパ標準軌を25分の1としたものとなっているが、上にのる車両キットのデザイナーによっては解釈等の差から車輪幅と微妙に合わないことも考えられるので仮組みは十分に行いたい。日本では新幹線がヨーロッパ標準軌を採用しているので、どこかで25分の1新幹線のキットを手に入れた時に展示用に購入するのもいいだろう。

2013年春を彩る鉄道キット、GPMの装甲列車16号は難易度が3段階評価の「2」(普通)、定価100ポーランドズロチ(約3300円)、カール自走砲専用貨車が140ズロチ(約4600円)、難易度が「3」(難しい)となっている。カール専用貨車は難易度もさることながら値段がかなり高めなので、滑り止めなどのディティールアップパーツを含んだ「コンプリートキット」での発売かも知れない。
また、MODELIKのレールキットが全長83センチのセットが30ズロチ(約1000円)、全長40センチのセットが18ズロチ(約600円)となっている。

相互リンクしていただいている紙模型静岡工場様で紹介されているが、これまで帆船と灯台しか出していなかったポーランドSHIPYARD社がここへ来て装甲列車を何種類もリリースするなど、突如訪れた鉄道キットのラッシュ。果たして今年一年、この完成品展示スペースを圧迫するムーブメントが続くのか、それとも来月にはもう忘れて他の路線へ突き進んでいくのか、本年度も東欧カードモデル界からは目を離すことは出来なさそうだ。




画像はGPM社サイト、MODELIK社サイトからそれぞれ引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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