WAK イギリス軍重牽引車 Scammell Pioneer SV/2S

どうもここんところ、個人的に身辺がバタバタとしていて毎週毎週きっちり更新できず、ほんとすんません。
しかし、週一ぐらいは更新しないと「そういえば、そんなブログもあったねぇ」と言われてしまうので今日もテンション上げて新製品情報を伝えたい。
本日紹介するのはポーランドWAK社からリリースされたイギリス軍重牽引車 Scammell Pioneer SV/2Sだ。

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非武装、非装甲の牽引車というだけでかなりどうでもいい感じなのに、さらにどうでもいい感じのイギリス軍車両が堂々の登場だ。これだからカードモデルはやめられない。
表紙の兵隊さんも、せっかく戦車牽引する気まんまんでやって来たのに待ちぼうけを食らわされているかのような表情だ。
「スキャンメル」は、時々あからさまに人気なさそうなイギリス軍車両をリリースすることで知られていたイギリスのプラモデルメーカー、エアフィックスから以前キットが出ていたので名前を知っているオールドモデラーも少なくはないだろう。しかし、今、画像検索かけたらエアフィックスのスキャンメル、「1/72」と書いてあるパッケージと「1/76」と書いてあるパッケージ、さらに「HO」と書いてあるパッケージまであるのだが、エアフィックスはそんなにいろいろなスケールでスキャンメルを出しているのか。それとも「1割ぐらいの誤差なんて気にすんなよ、スキャンメルのキットなんて他にないんだからさ」というブリティッシュな大らかさなのだろうか。

筆者は長らく、「スキャンメル」が車種名だと勘違いしていたのだが、毎度のごとく良く知らないのでネットで確認したらスキャンメルはメーカー名であった。
スキャンメルはイギリスのスキャンメル一族が立ち上げた会社で、どうもハッキリしないのだが19世紀末ごろに設立されたらしい。スキャンメルは当時、イギリスをシュッポシュッポ走っていたフォーデンというメーカーの蒸気バスの修理を手がけていたのだが、「おとっちゃん、これからはガソリン自動車の時代らしいぞ」という話になり、よし、いっちょオリジナル車両の製作をやってみるか、と意気込んだものの、プロジェクトは第一次大戦で頓挫。お国のために故障・破損車両をトンテンカンとなおしていたところ、一族の一人アルフレッド・スキャンメルが戦傷により除隊となり故郷へ帰って来た。
アルフレッドは「戦場の荒廃は想像以上。とにかく、不整地に強い車両が今は求められている」と意見した。これを聞いた叔父(伯父かも)のジョージ・スキャンメルはこれをフムフム、と聞いて6輪輸送車を完成させる。
車軸重量が均等に低くなるように設計されており、8トンの荷持を積んで時速20キロで走ることができたこの車両は1920年のモーターショーで絶賛され、ただちに50輌の発注を取り付けた。第一次大戦後という時代にも合ってたんだな。
この成功を受け、スキャンメルは運搬車両のスペシャリストとしてユニークな車両を次々に開発する。例えば1929年に2輌だけ生産された「100トン輸送車」はその名の通り、100トンの荷物をのせられるトレーラー式の輸送車で、蒸気機関車を陸送したこともあるというモンスターだ。普通のタイヤでは重さでバーストしてしまうので車輪は全てソリッド、トレーラー部分のブレーキはトレーラー後部の操作室にいる副運転手が電話で指示をされるとドッコイショ、とブレーキをかけるという大変なシロモノだった。もちろん、パワステもないからステアリングを切るだけでも大仕事だ。
そうかと思えば、1934年には鉄道や郵便の部門でまだ使われていた馬車の代わりとなる車両として「メカニカル・ホース」を開発。これは3トンと6トンの2つのクラスがあり、前輪一輪、後輪二輪の三輪式で前輪は360度、ぐるぐる回すことができたという。この「メカニカル・ホース」は戦後、さらにデザイン、性能を洗練したなんとも可愛らしいミニトレーラー「スカラベ」に発展する。

さて、肝心の「パイオニア」だが、この車両はもともと林業用に1927年に開発された車両であった。特許をとった独自のリアアクセルは凹凸の激しい地面での追従性が極めて高く、車体左右で50センチ以上の段差があっても難なく乗り越えていったという。
戦時中は重砲の牽引、戦車回収、戦車輸送用トレーラーなどに使用されたが、その独特のリアアクセルの構造のために車高が高く、トレーラーに米軍のシャーマン戦車を積むとイギリスの陸橋をくぐる時に戦車が頭をぶつけるために戦後速やかに引退したらしい。
1955年、イギリスの自動車業界再編に伴いスキャンメルはブリティッシュ・レイランドの傘下に入る。引き続きチャレンジャー戦車を運ぶトランスポーターなど輸送車両部門のブランドとして輝いていたスキャンメルだが、経営不振などからレイランド社が1980年代に解体された時に消滅した。
ちなみに映画、「未来世紀ブラジル」でジル姉さんが乗っていたバカデカいトラックがスキャンメルS24で、乗り込んできたサム・ローリーを降ろそうと情報省の前で停車するシーンで、はっきりとフロントの「SCAMMELL」の文字が読み取れる

それでは、そんなイギリス軍の隠れすぎてみんな忘れた隠れた重要アイテム、スキャンメル牽引車の姿をWAK公式ページの完成見本で見てみよう。

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さすが戦前の民生用トラックがベースだけあって、なんともクラシカルなスタイル。後輪に巻いてある軟弱地脱出用の巻き付け履帯のチェーンとか、絶対にマルチマテリアルだけど毎度のことなんで気にしないでおこう。

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戦車回収車ということでクレーンを装備しているが、ドラゴンワゴンに比べるとなんだかヒョロい感じで、大丈夫なんだろうかと心配になるが、大丈夫なんだろうか。
独自のリアアクセルのせいで、やたらと腰が高くなった車体後部にも注目だ。

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戦車回収車はあっちの戦車、こっちの戦車、と駆けまわるので装備も多い。ボンネット横の帝政ドイツのピッケルハウベみたいなもんは、なんなんだろうかと調べてみたがよくわからなかった。
あと、ボンネットの前にも道具箱のような四角いものがあるが、よく見るとこれ、棒がついたオモリを入れてあるだけ。クレーンで戦車を釣り上げる時に、前も重くしないと後ろにひっくり返っちゃうからだ。

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テクスチャは汚しのないスッキリとしたタイプ。マーキングは表紙にもある通り、ポーランド第1装甲師団のものとなっている。
キットのデザイナーはM3ハーフトラック系列のデザインでおなじみ、連合軍補助車両大好きなMariusz Kita氏。時代背景を無視して、同じく氏のデザインしたMODELIKのマチルダ2歩兵戦車と組み合わせてみるのも面白そうだ。


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組み立て説明書はライン表現で、クローズアップとステップバイステップの中間的な方式。中央シャフトから前後
に動力を分配しているシーソー式のリアアクセルの機構に要注目だ。

WAKのイギリス軍重牽引車 Scammell Pioneer SV/2Sは陸モノ統一スケール25分の1で完成全長約38センチ。難易度は5段階評価の「4」(難しい)、定価は45ポーランドズロチ(約1500円)となっている。
なかなかキットに恵まれないイギリス軍の補助車両。イギリス軍ソフトスキンファンのモデラーなら、このキットは見逃せない一品だろう。
また、戦車回収車は、陸モノキットが展示会に間に合わない時に、作りかけのキットの前に置いておくだけで「ああ、これはそういう情景なんだな」と納得してもらえる魔法のアイテムである。完成が近づくと手が遅くなって、いまだに完成目前のTIGER(P)の履帯をつないでいるようなモデラーにもオススメのキットと言えるだろう。



写真はWAK社ショップサイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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