MODELIK ポーランド軍砲艦 ORP GENERAŁ HALLER

先週中は本職の方でバタバタしていたせいで平日の更新ができなかったが、日本で比較的一番ホットに近い感じの東欧カードモデルブログである当ブログ、今回も言い訳は適当に終わらせて新製品の紹介へと移ろう。
今回紹介するのはポーランドMODELIK社の新製品、ポーランド軍砲艦 ORP GENERAŁ HALLER だ。

Haller okladka

ヒャッハー、最近、「T-34」なんて普通のアイテムが続いて、どうしちまったんだカードモデル界、と思っていたが、久々のドマイナーアイテムだ。ポーランドの砲艦なんて知らないよ。
だが、ここは「知らないアイテムにぶつかった時は、Wikipediaを使って知っているフリをするのじゃ」というカードモデル仙人の教えに従い、素知らぬ顔で続けてみよう。

ORP GENERAŁ HALLER は、もともとはポーランドの船ではなく、ロシア帝国の「Филин」級哨戒艇であった。Филин級は大きな船ではなかったので、ロシア帝国領フィンランドのトゥルク造船所で6隻が建造中だったが、作ってるうちにロシア帝国が革命で崩壊。フィンランドが独立したので完成していた4隻はフィンランドが接収し、残り2隻は建造中止となった。
同じくロシア帝国崩壊によって独立したポーランドは連合軍がショボいながらも港をくれたんで急いで海軍を創設する必要が生じ、1921年に「反ロシア仲間」のフィンランド君に「船売って」といったら「いいよ」とФилин級2隻、「Водорез」と「Лунь」を売ってくれた。
ちなみにそれぞれの艦名の意味は、「Водорез」がカモメ科の鳥、ハサミアジサシ。そして「Лунь」がタカ科の鳥、チュウヒのことだ。ついでにフィンランドに残った二隻の艦名は「Филин」「Чирок」で、それぞれフクロウとカモ科の鳥のことである。

ポーランドでは購入した二隻の名前をそれぞれ、ソビエト-ポーランド戦争で大軍ソビエトをボコボコにボコってポーランド独立を守った建国の英雄にちなみ「Komendant Piłsudski」「Generał Haller」と名付ける。
「Komendant Piłsudski」はもちろん、ポーランド軍最高指揮官、ユゼフ・ピウスツキ元帥のことで、「Generał Haller」はフランスで再編成されたポーランド軍精鋭部隊(フランス式の青い軍服を着ていたので「青軍」と呼ばれた)を率いたユゼフ・ハラル中将のことだ。

さて、東から「ポーランドのものはロシアのもの。ロシアのものもロシアのもの」でお馴染みのロシアイズムを掲げるソビエトがいつ押し寄せてくるか、と思っていたポーランドだったが、敵は西からやってきた。
1939年9月1日、ドイツ軍は西から国境線を越えてポーランド領になだれこんできた。
開戦初日、グディニア港を哨戒していた Generał Haller はドイツ軍の航空攻撃を受け損傷。ヘル軍港へ寄港するが9月3日には軍港で再度空襲を受け大破。迫り来るドイツ軍との陸戦に備え全ての武装が陸揚げされた。
ヘル軍港に対するドイツ軍の連日の空襲は続いており、9月6日、 Generał Haller はさらなる損傷を受け沈没した。
軍港を占領したドイツ軍は Generał Haller の残骸を浮揚した後、スクラップとして処分したという。

なお、名前の由来となったハラル中将は第二次大戦中はまだ現役で、フランスを経由してイギリスに脱出、ロンドンの亡命ポーランド政府では文部大臣を務めた。
「青軍」を率いてソビエトの革命に干渉しまくった中将は、戦後に共産政権が打ち立てられたポーランドには帰れず、政治活動にも関わりを持たないまま1960年に死去。
遺灰は共産政権の崩壊後1993年になってようやく故国ポーランドへと移された。

さて、それではポーランド海軍創設期を支えたが、ポーランド人以外には全く知られてないであろう砲艦 Generał Haller の姿を公式ページの完成写真で見てみよう。

Haller foto2

完成見本写真というか、隣に関係ない外輪船が写ってるから、これなんかの展示会の写真だな。
なぜ、新製品なのにすでに展示会に完成品が飾ってあるのかというと、当キットは1999年に出た手書き展開図キットのデジタルリマスター版だからだ。再販するほど売れてるのか、Generał Haller。

Haller foto1

公式ページには写真が二枚あったが、ほとんど同じだ。もっといろいろ載せてください。
あと、Wikipediaに載ってる写真がどう見てもこのキットの写真だ。
一応、艦のスペックを書いておくと排水量約350トン、全長約50メートル、主武装は前後の2門の76ミリ砲である。

Haller ark4Haller ark3

テクスチャは汚しのないスッキリしたタイプ。線はシャープだが、前述の通り基本的には手書き展開図を清書しただけなので十分な仮組みが必要となりそうだ。

Haller rys

組み立て説明書はラインによるクローズアップ方式。昔の説明書はなにがなんだかわからないことが多いので、小さい船だからと簡単に構えずにじっくりと取り組みたい。
キットは1939年の状態を再現しているようだ。

MODELIKのポーランド軍砲艦 ORP GENERAŁ HALLER は海モノ統一スケールだとシシャモみたいになっちゃうので、100分の1の小艦艇スケールでのリリース。それでもちっちゃいから難易度は5段階評価の「3」(普通)。
定価は35ポーランドズロチ(約1100円)、芯材用レーザーカット済み厚紙が18ズロチ(約600円)で同時発売となるが、これにはブリッジ床が網目になっているのを再現したパーツも含まれるようだ。

なお、4隻が完成した同型艦だが、ポーランドに売却された2隻のうちもう一隻、「Komendant Piłsudski」は9月30日に沈没(おそらく自沈)。ドイツ軍が浮揚し、M3109号艇「Heisternest」としてドイツ海軍に加えられたが1943年9月16日に米軍のフランス、ナント市に対する戦略爆撃で沈没している。
フィンランドに残った2隻は冬戦争、継続戦争でやる気のないソビエト海軍バルト艦隊相手にチャプチャプと奮戦。2隻とも戦争を生き抜き1953年にスクラップとなった。
ロシア帝国海軍、フィンランド海軍、そしてポーランド海軍という、比較的どうでもいい感じの3海軍に仕えた同級のキットは、そういったアレな海軍のファンには見逃せないキットと言えるだろう。



画像はMODELIK社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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No title

ポーランドの砲艦って・・・。
これポ国内でも需要あるんですかね?
マイナー路線の袋小路も、ここまでくるともはや哲学的な様相すら帯びてくるのが不思議です。

Re: No title

azu kenさん、こんばんは!
いや、ホントにポーランドの人たちの自国小艦艇に対する愛着心には、なにか尋常ならざるものを感じます。
しかも、わざわざデジタルで展開図を洗いなおしてもう一度リリースまでするとなると……
もともと海岸線を持たなかった内陸国にとって、自国海軍というのはそれだけでロマンチックな存在なんでしょうか。
展開図公開中
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