GPM ソビエト軍戦車 T-34/76 mod. 1940

総括として、「意外と定番なアイテムが続いた」というイメージの強かった2012年。年は開けたが新年早々にはやっぱり東欧の人は仕事なんかしてなくて新製品が出てこないので、ここは2012年を象徴するような定番アイテムを2013年最初の新製品紹介としたい。
今回紹介するのはポーランドGPM社の新製品、ソビエト軍戦車 T-34/76 mod. 1940だ。

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聞いたこともないポーランドの河川砲艦とかリリースして、何を解説していいのか大いに筆者を悩ませたGPMとは思えないメジャーアイテムの登場だ。どうしちまったんだGPM。基部だけ残してバッサリと装甲を切断したT-34の砲塔に後ろ向きに100ミリ袍を搭載して、滅茶苦茶トップヘビーですが、大丈夫なんですか? という感じになっちゃったエジプト軍のT-34/100を最初にリリースして世界のモデラーをビックリさせたりするのが君等のやり方ではなかったのか。
それでも一応、短砲身の1940年型だったり珍しい三色迷彩だったりする当たりが、ポーランド・マイナー魂の発露といったところか。

T-34戦車はメジャーで情報も多いので車両の解説は省くとして、今回はこの珍しい三色迷彩についてさっき仕入れてきた情報を元にしたり顔で解説を加えたい。
1938年までソビエト軍規定の車体色は「3Б(3B)」という暗いオリーブグリーンに塗られていたが、1939年から、より青みの強い「4БО(4BO)」に車体色が切り替えられた。
戦時中を通してこの4БОはソビエト戦車の基本色であったが、このいわゆる「ロシアングリーン」がどんな色だったのかについては西側モデラーの間では長らく論議の的であった。だって写真によって全然調子が違って見えるんだもの。
実は近年ソビエト時代の情報が公開され明らかとなった配合比率に従うと、4БОはかなり明るい青味がかった緑になるそうだ。ソビエト戦車ファンモデラーのための情報サイト、その名も「4BO GREEN」によると、4БОはアメリカ政府が色の発注に使う連邦規格595で言えば、「FS34257」に近いという(モニターの発色もあるので、リンク先で表示される色そのままではないことに注意されたい。また、縮尺モデルでは色の見え方が違うので「そのままの色ではその色に見えない」という意見もある)。
これは、従来イメージされていた色よりはかなり明るい。グンゼ産業の「ロシアングリーン1」(別名:アマガエル色)が明るさでは近いが、色味としてはもっと青っぽい。
なぜ、通説としてもっと暗い色のイメージが定着したのかと言うと、まず塗料4БОが工場に届く時には、かなり濃いボッテリとしたペーストで届くことが原因の一つと言える。工場ではこれを揮発油でだいたい倍に薄めて使用するのだが、色はきっちり決めたのに現場で薄めるのがいい加減なもんだから、時としてケチった工員が薄くしすぎて地肌の鋼鉄が透けて黒っぽい仕上がりになったらしい。
さらに、4БОは褪色すると黒っぽいくすんだ色になる性質があり、長く生き残った車両ほど黒っぽくなったという。一例として、アバディーン戦車実験場では戦時中にソビエトから評価用にT-34を受け取っており陸軍の報告書では車体色が(FS34257に比べると)かなり暗い色であったことが記録されているが、この車両は生産されてから半年以上経っており、このくすんだ色が西側モデラーのイメージに影響していることは間違いない。

さて、1939年秋、陸軍はこの4БОをベースに、ダークブラウンの「6K」とサンドイエローの「7K」で迷彩することを決定した。迷彩パターンは一定ではなかったが、広いソビエトの植生に合わせて軍管区ごとにそれぞれの色の面積の割合がある程度決まっていたようだ。
これは同時期に発令された機械化軍団再建(以前の機械化軍団は大粛清のついでにうっかり解体してしまった)とT-34戦車大増産に合わせて実施されるはずだったが、いくら軍事大国ソビエトといえども「明日には戦車100輌ください」といって「はいどうぞ」と出せるわけもなく、ほとんどの部隊では戦車は旧式なT-26、もしくはBTで代用されており、面倒だから塗装もそれ以前の緑一色のままだった。
そんな状態でソビエトは独ソ戦に突入、もはや迷彩なんてしてる暇はなかったので、みんなベースカラーの緑のまま戦場へ向かった。陸軍では1941年年末には改めて「緑、茶色、砂色で戦車の三分の一づつの面積を塗るように」と通達を出したが、ソビエト軍がモスクワの正面でフィーバーしてる状態ではそんな通達は誰も聞いていなかった。
結局、この通達もなし崩し的に忘れられ、終戦までソビエト戦車は緑一色で戦い続けることとなる。

それでは、この珍しい三色迷彩のT-34の完成見本をGPM公式ページの写真で見てみよう。

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車両は1941年7月、モスクワ第1自動車化狙撃兵師団所属車両。ソビエトの自動車化狙撃兵(歩兵)師団には戦車部隊が組み込まれている。モスクワ第1自動車化狙撃兵師団はなにしろ首都モスクワの第一師団なので、規定通りの迷彩を施した新型車両が配備されたのだろう。バルバロッサ作戦ではミンスク方面に迎撃へ向かいドイツ軍と激突、戦いながらモスクワまで下がっている。なお、41年9月には早々に名称が「親衛モスクワ第1自動車化狙撃兵師団」に改称された。

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今回キット化された1940年型は41年型以降のT-34/76とは主砲が異なり、かなり短い。そのため駐退器を納めた主砲基部の形状も異なっている。
最初、作例はガッチリと塗ってあるのかと思ったが、車体機銃やペリスコープを見るとどうやら印刷されたテクスチャのままらしい。これはなかなかの質感だ。
でも、よく見ると砲塔ハッチのヒンジが一箇所壊れちゃってるぞ。さてはパカパカし過ぎたな。

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雑な作りの代名詞のように言われるソビエト戦車だが、すくなくとも独ソ戦開始までは車体前後端を特に意味もなく丸めてみたり、それなりに仕上げに気は使っていたようだ。
車体側面に細長い箱がついているが、これは雑具入れではなく予備燃料タンク。ただし、実車写真で見ても配管が見当たらないし、まさか側面装甲に穴開けて車内にパイプ引き込んでることもないだろうから、厳密にはただの燃料携行缶だと考えられる。
履帯は立体パターンとなっているが、これはレーザー彫刻済みの履帯パーツを使用しているのだろう。

あまりに普通のアイテムで書くことがあまりなく、ソビエトの塗料の話ばっかりしていた気もするGPM ソビエト軍戦車 T-34/76 mod. 1940は陸モノスケール25分の1で完成全長約24センチ。難易度は面構成が単純なので3段階評価の「2」(普通)、そして最近のGPMの定番、オプション込みの「コンプリートキット」(キットに含まれるオプションパーツの詳細は不明)のみの販売で定価は60ポーランドズロチ(約2千円)となっている。

T-34/76と言えば、相互リンクしていただいている「Hiroshi's お遊び Room」様が堂々完成されたHalinskiのT-34が有名だが、T-34は作りたいもののあそこまで超絶クオリティなキットにはちょっと手を出せない、というモデラーには今回のキットは見逃せない一品と言えるだろう。また、過去に買ったT-34の迷彩が「さつまいも色」でビックリしたモデラーにもおすすめしておきたい。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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明けましておめでとうございます

さいたまです。明けましておめでとうございますm(__)m

ペパコン2012で御世話になりました。今年も宜しく御願い致しますm(__)m

Re: 明けましておめでとうございます

さいたまさん、明けましておめでとうございます!
こちらこそ、ペパコン2012では貴重なお誘いを多数ありがとうございました。
残念ながらペパコンは無期休止となってしまいましたが、また新しい交流の場を探す機会になれば、と思います。
本年もよろしくお願いいたします。
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