GPM ドイツ重装甲車 Sd.Kfz 234 /2、/3、/4

本日はクリスマスイブ。北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)も、すでにターゲット追跡の準備を整え、スタンバイを終えているはずだ。
この一年間を良い子で過ごしたモデラー読者諸君は、本日ばかりは工作を早めに追えて寝床に入る準備をしなければいけないわけだが、カードモデルをサンタクロースにお願いしたモデラーは少なくともA4サイズ以上、艦船などの大物をお願いした場合にはA3サイズの靴下を準備しなければ、せっかくのキットが靴下に丸めて突っ込まれてしまうので注意されたい。

さて、季節の挨拶もそこそこに、本日も東欧からのHOTな新作情報をお伝えしよう。
本日は、ポーランドGPM社の新製品、ドイツ重装甲車 Sd.Kfz 234 /2、/3、/4の3車種を一気大紹介だ。
GPMからはドイツ重装甲車Sd.Kfz 234/1がすでにリリースされており、武装バリエーションタイプの/2、/3、/4についても「出るかな出るかな~」と、学研のコンパニオンを待ちかねる学童のように待ちかねていたわけだが、今回、なんと全バリエーションが一気にリリースとなったのである。さすがクリスマスだぜ、太っ腹だな。

それでは、基本部分については234/1の記事を参照していただくとして、各バリエーションについて簡単に解説を加えていこう。
まずはSd.Kfz 234/2、通称「PUMA」。奇襲戦法と変装の名人だ。と、特攻野郎ネタに絡めようかと思ったが、わけわかんなくなりそうなのでやめておこう。

8388_1.jpg

以前にも書いたが、234/2はサブバージョンの数字は「2」だが、234系列としては最初に量産化されたものである。以前に開発していたレオパルト軽戦車が「よく考えたら、軽戦車って今の時代使い道ないよね」ということで開発キャンセルとなったために、設計したけど使わなかった砲塔があったので乗っけてみたら強そうなので「これからの重装甲車はこれだ!」とそのまま勢いで量産化したものである。
しかし、再びよく考えたら重装甲車にこんな立派な砲塔を乗っけても使い道がないので、234/2の生産は約100輌で終了。生産が大変な砲塔を取っ払って、Sd.Kfz 250/9の砲塔(20ミリ機関砲)を乗っけた234/1に生産は切り替えられた。

sdkfz-234-2-foto8.jpg

こちらは公式ページの完成見本写真。モデルは第20装甲師団所属車両。東部戦線でソビエト軍の「バグラチオン攻勢」を食らってひどい目に合った部隊だ。
余り物の砲塔を乗っけただけとは思えない、なかなかスマートなスタイルで、ドイツ軍が「こいつはこうなるべくして生まれてきたに違いない」と勘違いして量産してしまうのもむべなるかな、といえるだろう。

sdkfz-234-2-foto6.jpg

でもやっぱりよく見ると、車体から砲塔が微妙にはみ出ていたりして、テケトーに間に合わせたのがバレバレだ。
個人的には砲塔が少し扁平な気もするのだが、なにしろ234/2は実車が現存していない(234系列で手元の資料で現存が確認できるのは234/3が1輌、234/4が2輌のみ)ので、この辺は解釈の差というやつであろう。
なお、「PUMA」というのは単なる愛称であり、正式名称ではない。

お次は234/3、「カーン1944年」だ。

8389_1.jpg

カーンは、もちろんエンタープライズ号に逆襲した人ではなく、ノルマンディー戦の激戦地のことだ。車両のモデルは第21装甲師団所属車両。ノルマンディー戦では唯一の即応可能な装甲部隊であったが、反撃はタイミングを逸し、部隊はファレーズの包囲戦で事実上壊滅している。

234-3-foto1.jpg

234/3は、4号戦車の長砲身化によって余剰となっていた短砲身75ミリ砲を搭載した支援型である。234系列の先代に当たる231系列にも同様の車両があったので、なかなか重宝な車両だったのだろう。生産数は約90輌。
ちなみに筆者が買って完成させらなかったイタレリ製のプラモデルがこのタイプだ。悔しい。
キットのテクスチャがなぜか北アフリカ風のダークイエロー一色塗装な理由は謎だが、ここは一つ、戦局が逼迫して迷彩している余裕がなかったのだと思いたい。

234-3-foto5.jpg

一見、旋回砲塔にも見える234/3だが、この写真で分かる通り砲塔式にはなっておらず、射会は左右それぞれ十数度しかない。砲塔リングの後ろ部分の円弧が残っているのがおもしろい。
これだけ開口部が大きいと車内も見えてしまうが、キットはそれなりに再現されているようだ。

そして、最後は234/4、「ラウベン1945年」だ。

8390_1.jpg

「ラウベン」というのは聞かない地名だが、総統護衛師団がソビエト軍を相手に最後の勝利をおさめた場所だ。と、言われてもその「総統護衛師団」がなんだかわからない。これは、その名の通り総統の身辺を警護するために陸軍精鋭の「グロス・ドイッチュラント装甲擲弾兵師団」から引きぬかれた兵士で編成された部隊だが、1944年の総統暗殺未遂事件の後でうっかりと、忠誠心はあるのだが作戦単位の指揮を取る教育を受けていない人物を指揮官にしてしまったために、いざ実戦に投入してみたら損害ばっかり大きかったというトホホな部隊である。アルデンヌ戦のサン・ヴィトをめぐる戦いで「総統護衛旅団」という小規模な装甲部隊がうろうろしているのが、こいつらだ(45年1月に師団に昇格)。
ちなみに「総統護衛師団」については「泡沫戦史研究所」内の、マイナー部隊史→東部戦線→「総統護衛旅団/師団」に詳しい。こちらのページは、楽しくも物悲しいトホホ部隊情報満載のトホホ戦史ファン必見のページである。

234-4-foto2.jpg

キットも、そのトホホな総統護衛師団所属車両だ。一見してわかる通り、234/4は234/3の主砲を長砲身化してみました的な兵器だが、なんでこんなことになったのかと言えば、護衛される当の本人が「オレちゃん思うんだけどさー、せっかく75ミリ砲積むんだったら、長砲身にすれば敵戦車もやっつけられて、超スゴクね? 的な?」みたいなことを言い出したんで、なんかもうどうでもよくなってた開発陣がハイハイ、と作った車両だ。

234-4-foto4.jpg

もう専用砲架作るのも面倒になっちゃって、防盾から砲架までそのまま乗っけちゃってる。しかもこれ、90輌も作っちゃったんだぜ。Wikipediaには、「車内に余裕が無いため、7.5cm砲弾を36発しか搭載できなかった。」と書いてあるが、こんな車両が36回も主砲を発射できるほど、戦場は甘っちょろくないと思う。


GPM ドイツ重装甲車 Sd.Kfz 234 /2、/3、/4はそれぞれ陸物スケールである25分の1で車体全長24センチ(234/2と234/4は砲身が車体より前に1~2センチ飛び出る)。難易度は全て3段階評価の「3」(難しい)。定価は85ポーランドズロチ(約2800円)となっているが、これはレーザーカットパーツの含まれた「コンプリートキット」のお値段。通常版の発売は行われないかもしれないので、重装甲車ファンのモデラーは234系列を一気に揃えられるこの機会を逃すべきではないだろう。

なお、最後となったが、前回のエントリの最後で「わしは流行にうといからノロウィルスの流行なんて関係ないのじゃよ、ぶぇっふぁっふぁっふぁ~」と不遜なことを書いたら、その記事をアップした四時間後に発症してトイレから出られなくなりました。ノロウィルス超容赦無い。流行に疎いとか敏感とか関係なし。ホントおなか痛くて泣いた。みなさまもお体には十分お気をつけ下さい。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
スポンサーサイト

テーマ : 模型・プラモデル・フィギュア製作日記
ジャンル : 趣味・実用

コメントの投稿

非公開コメント

展開図公開中
最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
プロフィール

のとっちょ

Author:のとっちょ
カードモデル初心者が苦闘するさまをご覧あれ。

検索フォーム
リンク(順不同、敬称略)
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード