NEPTUNIA カナダ軍駆逐艦 HMCS Haida

日本では本日は第46回衆院選の投票日。新興勢力がどこまで票を伸ばすのかが大きな注目点となっているが、すでに投票を終えたモデラー達には、開票速報の合間に視線を海外へと向けていただこう。
世界のカードモデル界も、今や新興ブランド花ざかりの群雄割拠。本日はそんな新ブランドの一つ、イギリスNEPTUNIAからの新製品、カナダ軍駆逐艦 HMCS Haida を紹介したい。

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もともとは東欧諸国でプラスチックが高価であったためにプラスチックの代わりに紙を使うスケールモデルとして発達したカードモデルだが、近年、その独特な仕上がりが世界から注目を集め、東欧発の世界的ムーブメントとなりつつあるような気がすることは当コーナー読者ならすでにご存知のことだといいな。
今回紹介する英国の新ブランド「NEPTUNIA」は当コーナーでは初めての登場となるイギリスのブランド。所在地はスコットランド最大の都市グラスゴー。2011年に立ち上げられたブランドで、キットリリースは今回の「HAIDA」が第一作目となるできたてホヤホヤの新ブランドだ。

それでは、NEPTUNIAのカードモデル艦隊の先頭を担うこととなったカナダ軍駆逐艦 HMCS Haida の姿を、なぜか公式ページよりも写真が豊富だったWAKのショップページから借りてきた完成見本写真で見てみよう。

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スラリとした近代的な艦形を見せるHaidaはイギリスの「トライバル(部族)」級駆逐艦の一隻である。とは言っても、「トライバル」という名前のネームシップがあったわけではなく、同クラスの艦の名前が各地の大小の部族の名前を冠しているからである。
G63「Haida」(ハイダ)も、カナダブリティッシュコロンビア州からアメリカアラスカ州にかけて居住し、立派なトーテムポールを立てることで知られている「ハイダ族」から名前を取っている。決して、画期的な絵で世界を震撼させた第19代目うたのおねえさんのことではない。

トライバル級の特徴は、フランス、ドイツ海軍が配備を進めていた大型駆逐艦に対抗するためにそれまでのイギリス駆逐艦に対して水雷装備を半減、逆に主砲を倍増させて対艦戦闘力を重視していることで、イギリス海軍には珍しい大型の駆逐艦となっている。
初期建造分16隻は1939年の開戦までにすでに就航していたが、開戦後に英連邦諸国の海軍力がちょっとヤバいことになってるのを増強するためにカナダ海軍向け8隻、オーストラリア海軍向け3隻が追加建造され、合計で同型艦は27隻となった。この27隻のうち、13隻は戦没、13隻が解体され残る1隻が記念艦となっているが、この記念艦となった1隻が今回キット化されたカナダ海軍の「ハイダ」だ。

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艦体中央部の魚雷発射管にぐぐっとクローズアップ。スケールを感じさせない細かい工作が見事だ。トライバル級は水雷装備はこの4連発射管一基だが、こんな細かい工作が2個もなくてよかった。

ハイダは1943年夏にカナダ海軍に就役した。カナダ海軍は北大西洋で連合軍の北方航路を脅かすドイツ水雷戦隊と激闘を繰り広げていたが、その中でも突出した戦果をおさめたのが約1年の間に14隻ものドイツ艦艇を沈めたハイダであった(ハイダが沈めた総トン数は、全カナダ海軍の中で最大のものである)。
何度か小さな損傷は受けたものの、大きな損傷なく欧州の海戦を生き延びたハイダは対日戦用に温帯用向けに改装されている最中に日本も降伏。カナダ海軍の大規模な縮小によって一度は退役した。
しかし、冷戦の緊張が高まったために47年に海軍に復帰。旧式化のために一度は貯蔵船となったが朝鮮戦争の勃発で再び戦地へと向かう。北朝鮮には海上戦力がなかったために主な任務は陸軍の支援であったが、そういう任務には水上戦力の重視されているトライバル級は適任だったに違いない。
朝鮮戦争が停戦となってからはハイダはNATO艦隊の一員として対潜哨戒の任務につく。
1958年、旧式化の著しくなったハイダは改装のためにハリファックス港でドック入りする。ところが、老朽化は予想以上のものであった。1960年にはなんとか修理を完了して海に出た途端に舵を切るためのギヤが破損。慌ててハリファックスに戻って精密検査を受けると、船体全体の広範囲に腐食とクラック(ひび割れ)が進んでいることがわかり、ほとんどバラバラにしなければ修理不能と判断された。
数年をかけて解体が行われたが、解体の結果わかったのは、もはやハイダの老朽化には手の施しようがなく作戦行動には耐えられないいということだった。船体は再び組み立てられ、1963年4月25日に五大湖への航海へと向かう。
カナダ海軍きっての殊勲艦の久々の航海は大きく注目され、艦上に設置された放送施設から航海の様子はテレビ中継されたが、その航海中にテレビクルーはこの航海が解体のための最後の航海であることを察知した。この放送を見たカナダ国民の間にはただちにハイダを守れ、という世論が盛り上がり保存のために「ハイダ社」が設立される。
1964年、カナダ海軍がハイダの退役と売却を発表すると「ハイダ社」がこれを買い取る。
1965年8月、記念艦として改装を完了したハイダはトロントで一般公開が開始された。
その後ハイダは地方自治体に買い取られたり、また民間所有に戻ったり、停泊場所が変わったりしながら、現在は五大湖沿岸のオンタリオ州ハミルトンで博物館としての余生を送っている。
なお、ハイダは戦時中、イギリス第10駆逐戦隊に所属していたが、この戦隊にはORP「Błyskawica」という亡命ポーランド海軍の駆逐艦が所属しており、この艦もグディニヤで記念艦となっており2006年に二隻は改めて「姉妹艦」となった。

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つい来歴を書くのに夢中になってしまったが、キットは細かいところまで再現された、かなりクオリティの高いものだ。作るのなら空中線もしっかりと張りたい。ただし、テクスチャの感じが昔のFLYMODEL風の色合い、ディティール表現で、これは好みの別れるところかも知れない。

新ブランドNEPTUNIAのカナダ軍駆逐艦 HMCS Haida は駆逐艦とは言え海モノ統一スケールである200分の1で完成全長約60セントという堂々たるもの。難易度はWAKのショップで5段階評価の4、定価は14.5英ポンド。当コーナー初登場の英ポンドなんで、1ポンド135円換算で、えーと、約2000円だ。また、レーザーカット済みフレーム用厚紙が8.4ポンド(約1100円)、金属製砲身セットが6ポンド(約800)となっている。また、Comingsoonとしてエッチングパーツのリリースも予告されている。
ちなみに、NEPTUNIAの第二作はいきなりイギリス艦のことは忘れてイタリア海軍ガッビアーノ級コルベットだ。なぜだ。

NEPTUNIAはその超次元ゲイム的名称と、ガントリークレーンをモチーフとしたロゴから艦船専門のブランドのようだが、世界に冠たる大海軍を要した「本家」大英帝国のカードモデルブランドが、どのような艦船モデルをリリースしていくのかは今から期待せずにはいられない。
そのNEPTUNIAの第1作、カナダ軍駆逐艦 HMCS Haidaはカナダ海軍ファンのモデラーには必携の一品であるのはもちろんのこと、新ブランドを応援したい艦船モデラーにも購入をオススメできる内容だと言えるだろう。
また、「姉妹艦」、ポーランド軍駆逐艦ORP「Błyskawica」もWAKから同スケールでキットがリリースされており、机上に第十駆逐戦隊を再現するのもおもしろそうだ。



画像はWAK社ショップサイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。

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No title

イギリスでもこんなに精密なペパクラが発売されているなんて驚きですね。日本はプラモの出来が良すぎちゃって、精密なペパクラの参入できる余地が無いのかもしれません。ペパクラの方が自分の手で作り上げた時の達成感が大きいと思うのですがねぇ。特に最近の接着剤不要、塗装済みのキットなんか、お手軽すぎて作った記憶すら残らなそうです。

Re: No title

azukenさん、こんばんは!
西側で、このような「東欧スタイル」の艦船カードモデルが出てくるのは本当に珍しいですね。
カードモデルは、「勝手にやってくれ」と言わんばかりの無愛想さが返っていいですよね。デタラメな展開図を前に、こんなのどうするんだ……と頭を抱えるのも、最近は楽しみの一つになってきました(笑)
イギリス発の艦船ブランドということで、NEPTUNIAには英国の変態艦船をどしどしリリースして欲しいです。ハッシュハッシュクルーザー「フューリアス」を改装段階ごとにキット化するとか。

No title

これペーパークラフトなんですね……。驚きです。
最近トライバル級の主砲周りを、絵を描く為に探していたのですがなかなか無いんですよね(苦笑
1944年仕様って事は4.7インチ QF Mk.XII 連装砲なんでしょうかね。
描く人間からすると、カラーで見れるのは凄く有難いです。

Re: No title

櫻花さん、コメントありがとうございます!
日本では「ペーパークラフト」というと単色モデルのイメージが強いので、東欧圏のスケール模型としてのカードモデルをみるとカルチャーギャップありますよね。
カードモデルは紙でつくるために適度に簡略化されているので、形の把握の資料としても実は最適なんじゃないかと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします!
展開図公開中
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