GPM ドイツ重装甲車 Sd.Kfz 234/1 ”LEHR”

以前、当コーナーではドイツ軍軽装甲車SdKfz.222/223を紹介した際に「現在、入手しやすいドイツ軍装甲車は他にMODELIKのSdKfz.234/2”プーマ”ぐらいしかない」と書いたが、それに対する「反論」とも言うべきキットのリリースがアナウンスされたのでさっそく紹介したい。
今回紹介するのはポーランドGPM社の新製品、ドイツ重装甲車 Sd.Kfz 234/1 ”LEHR”だ。

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まぁ、もちろんインターネットの片隅で翻訳不能なほどブロークンな日本語でばびんちょばびんちょ言ってる当ブログの事をポーランドの模型メーカーが読んでるはずないので、「反論」というよりも「偶然」なのだが、ちょっとぐらい大物ぶっても、まぁ自分のブログだからいいだろう。だめですか。
そういえば、このあいだスペイン語だったかのサイトでうちの48分の1、BT-5がいつのまにか紹介されていたが、作者名が「CHO」になっていた。誰だ、「ちょ」。

それはそうとして、SdKfz.234はフランス戦の終わった1940年夏、ドイツ軍が「新型重装甲車を作るぞ!」と思い立って開発を始めた重装甲車だ。それまでにも重装甲車にはSdkfz.231系の車両があったが、新型車両はさらに重装甲であると同時に、「今後の戦いは失われたドイツ領、すなわち旧ドイツ領アフリカの地でも行われることになるだろう。従って砂漠気候の戦場でも行動可能でなければならない」という方針が立てられた。
このために、エンジンはそれまでのドイツ車両のスタンダードであった液冷ガソリンエンジンよりも、高温・乾燥した環境に強い空冷ディーゼルエンジンを使用することとなり、これはチェコのタトラ社から調達されることとなった。
ところが、と言うか、案の定、このエンジンの開発が難航。さらに開発中に「開発中止になった軽戦車の砲塔を載っけよう!」という話になって設計を変更したりしていたせいで、最初の生産型である234/2(もとの設計を”/1”として、武装が変わったので”/2”)が完成したのが1943年9月。肝心のアフリカ戦線はこの年の5月に連合軍の勝利で消滅していた。
東部戦線でクルスクの戦いにも敗退しているドイツ軍にはもはや大型偵察車両をドカドカ生産する余力はなく、234/2の5センチ主砲を積んだ砲塔も「よく考えたら、偵察車両にこの砲塔はちょっと贅沢だよね」ということになりSdkfz250/9(後期型)と共通の砲塔を載せた「弱武装型」が生産されることとなる。実は、20ミリ機関砲を積んだこちらのタイプはSdkfz234のもともとの設計に近いので、サブタイプ番号が巻き戻って234/1と名付けられた。なので、数字は小さいが、こっちの方が後のタイプだ。
Sdkfz234のサブタイプには、他に4号戦車で使わなくなった短砲身75ミリ砲を積んだ「支援型」の234/3、そして勢い余って長砲身75ミリ対戦車砲を乗せてしまった「対戦車型」の234/4が量産されたが、劣勢となり待ちぶせの多くなったドイツ軍にとってこの手の車両そのものが「贅沢」であり、生産量は全サブタイプを合わせても500両に満たないと言われる。

それでは、そんな贅沢な重装甲車の姿を公式ページの完成見本で見てみよう。

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旧8輪装甲車の231系では、もっと細かい面取りがコマゴマとされていたが、よく考えたらそんなことして生産の手間を増やすよりも単純な形で容積増やしたほうがいいじゃん、ということで単純化された面構成の車体はスパルタンな迫力に満ちている。なんて、偉そうに言ってみたが、要するに「角ばってて強そう」ということだ。

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この車両のためにわざわざ開発されたタトラ12気筒空冷ディーゼルエンジンは燃費に優れ行動半径900キロ(1000キロという資料もある)という抜群の行動力を与えた。「それなら、ドイツ軍の全車両をディーゼル化すれば燃料問題は一挙解決じゃない?」と言いたいところだが、ディーゼルエンジンは馬力あたりの寸法が大きく、234もこのアングルの写真で見るとわかるとおりに機関室が馬鹿でかくなってしまった。言われてみれば、ディーゼルエンジンを搭載していた日本戦車とバランスが似ているような気もする。
戦車が尻でっかちになっちゃうとカッコ悪いので、ドイツ軍の量産車両でディーゼルエンジンを搭載しているのはこの234系列のみである。

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表紙に書かれている「LEHR」というのは、234/2「プーマ」みたいな愛称ではなく、テクスチャのモデルとなった装甲教導師団、いわゆる「パンツァーレーア」のことで、車体前面にも「L」の文字と偵察部隊を示す戦術マークが書かれている。時期は1944年、ノルマンディー戦のころだろうか。

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モデルひっくり返すと、複雑な234の足回りがしっかり再現されていることがわかる。234にはラダーシャーシがなく、装甲板で作られたモノコックボディに直接サスペンションが取り付けられているのが特徴だ。よく見るとわかる通り、234は8輪独立サスペンション、8輪駆動、さらに8輪ステアリングという凝りに凝った仕様で、おかげで不整地での走行性能は抜群によかったが登場が遅れたために戦場はすぐに道路事情のいいドイツ本国へと移ってしまった。

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Sdkfz.250/9と共通の砲塔もカッチリとした仕上がり。どういうわけかGPMのドイツ戦車は車体上面が迷彩されていないことの多いだが、今回は迷彩もばっちりとつながるようだ。
手榴弾などが飛び込むのを防ぐ上面のメッシュカバーがちょっと変わった感じに見えるのは、レーザーカット済みのオプションパーツを使用しているのだろう。
なお、GPMからは以前にSdkfz.250/9もリリースされているが、あちらはSdkfz.222と共用の砲塔を積んだ初期型なので、今回のキットとは砲塔形状が異なっている。ついでにデザイナーが違うようなので、機関砲のディティールも異なっている。

ドイツ軍の技術力を結集した8輪重装甲車Sdkfz.234/1は陸戦スケールである25分の1で全長25センチ。難易度は意外にも3段階評価の「2」(普通)と控えめ。そしてキットの定価は60ポーランドズロチ(約2000円)だが、GPMのショップではオプションパーツ込みの「コンプリートキット」のみ「在庫有り」となっている(定価80ズロチが65ズロチの割引セール中)。
*10月16日補足訂正:実際にこのキットを入手された紙模型静岡工場のナオさんの紹介記事では、そもそも厚紙に貼り付けて芯材にするペラペラのページが冊子に含まれていないので、コンプリートキットだけのリリースだろう、ということです。

ドイツ装甲車ファンなら、先日紹介した軽装甲車222や223と是非並べてみたいキットである。また、MODELIKからリリースされている234/2と作り比べてみるのもおもしろそうだ。
そして、将来234/3、234/4のリリースはあるのか……イタレリの234/3を買ったけど完成させられなかった筆者としては大いに期待したいところである。




画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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