GPM フランス製飛行艇 SCHRECK FBA17 HMT-2

今年も猛暑の季節が終わろうとしている。突然ですが本年はノートパソコンの下にファン式の冷却ボードを入れたらパソコンが熱で強制終了しなくなりました。オススメです。
それはそうと、夏と言えば猛暑と共にカードモデラーを苦しめるのが、毎年恒例の東欧メーカーの長い夏休みによるネタ切れだ。
ここまで、どうにかこうにか乗り切ってきたものの、いよいよ怪しいアイテムしか残っていない状態となってしまった。
本日は、そんなどうやって紹介していいのやらわからないマイナーアイテム群の中から、ポーランドGPM社のフランス製飛行艇、SCHRECK FBA17 HMT-2を紹介しよう。

FBA17_1.jpg

わーい、機体も制作メーカーも、全然知らないぞー。
ちなみに公式ページではキット名が「SCHRECK FBA17 HHT-2」となっているが、表紙画像でも分かる通りに正しくは「HMT-2」だ。公式ページで名前が間違えられちゃうぐらいマイナーな機体。
いつもどおり、Wikipediaを足がかりに情報を集めてみると、まず1913年、フランス人の Louis Schreckさんと André Beaumont さんが会社を作った。ところが、なぜかこの二人は本拠地をロンドンに置き、会社名も「Franco-British Aviation」(仏英航空機)、略してFBAとした。税制で有利だとかあったんだろうか。でも、商売相手はもっぱらフランス軍だ。
最初の製品、タイプAは高い評価を受け、オーストリア=ハンガリー、ブラジル、デンマーク、フランス、イタリア、ポルトガル、ロシア、イギリスの各国海軍が機体を購入(一部、改良型のタイプB、タイプCを含む)。さらに1914年に第一次大戦が勃発すると英仏軍からの大量発注を受け、タイプA~Cだけで約1千機という大量生産が行われる。それにしちゃあマイナーなのは、非武装の偵察機だからだ。
さらに1917年には発展型のタイプHを開発。なんでCの後がHになるのかはさっぱりわからないが、こちらも大当たりしてベルギー、エストニア、フィンランド、ペルー、セルビア、スペイン、アメリカ、ウルグアイ、ユーゴスラビアも新たにお客様リストに加わる。タイプHの生産数はなんと約2千機。ウハウハだな。ザブーンだぜ。
戦後、FBAは社名を「Hydravions Louis Schreck FBA」と改め、フランスの会社として再編成を行う。名前が消えた André Beaumont さんはどこに行ってしまったんだ。
いくつかの試作機を経て1923年にFBAはFBA17を市場に送り出すが、第一次大戦で大成功したメーカーがはまる穴にFBAは見事にスッポリはまってしまう。つまり、大戦中に調子に乗って大量に作りすぎた機体が戦後余剰となって市場に安価で出回っていて、新しい機体が売れないのだ。
それでもFBA17は300機を生産したが、FBA19、21、23などは10機前後の少数生産に終わった。このころには、すでに小型水上機そのものの需要が減っていたんだな。
結局、1935年にFBAはこれまた聞いたことのない小メーカー「Société des Avions Bernard」(SPAD機のライセンス生産などを行なっていた)に身売りするが、 Bernard自身がパッとしないままその後数年で消滅した。

では、そんな地味な会社の地味な飛行機、SCHRECK FBA17 HMT-2の姿を公式ページの完成見本で見てみよう。

FBA17_2.jpgFBA17_3.jpg

うん。悪くないよ。悪くない飛行艇だと思うよ。でもさ、第一次大戦後の飛行艇には見えないよ、これ。ドイツじゃ全金属製のDo.J「ワール」がそろそろ飛ぼうって時期なのにさ。
むしろ、こんなパッとしない飛行艇をよく平時に300機も売ったな。
ちなみにサブタイプの「HMT-2」は、水上機(Hydravion)の「H」、水陸両用(Mixte)の「M」、輸送機(Transport)の「T」、複座の「2」であり、単座型のHMT-1や爆撃型のHMB-2、カタパルト射出する艦載連絡機仕様のHL-1、HL-2もあった。水陸両用機なので、飛行艇なのに車輪があるわけだ。

FBA17_4.jpgFBA17_5.jpg

さらにクローズアップ。なんとも心細い感じのエンジンは、ヒスパノスイザのV8エンジンで出力たったの180馬力、それもそのはず、1914年に開発されたエンジンだ。
なお、テクスチャはポーランド海軍飛行隊のものとなっている。
FBA17はフランス海軍、ポーランド海軍の他にはブラジル空軍が購入しており、またアメリカのバイキング飛行艇会社がライセンス生産権を購入し、沿岸警備隊に「OO-1」の名で少数が配備されている。
ちなみに、日本人がFBA17と一緒に写っている写真が存在する。詳細はわからないのだが、ひょっとするとFBAから売り込みに訪れた機体と記念写真を撮ったものだろうか。そもそも、大抵の資料でFBA17の初飛行は1923年となっているのに、写真のクレジットは1922年というのはどういうことだ。

そんなわけで、資料を掘り返してもやっぱりどんな飛行機かよくわからなかったGPMのフランス製飛行艇 SCHRECK FBA17 HMT-2は航空機標準スケールの33分の1で完成全長が約27センチ。難易度は3段階評価の「2」(普通)、そして、なぜかレーザーカット済みの厚紙とセットのみの販売で定価55ポーランドズロチ(約1800円)となっている。
当キットは大戦中に3千機も飛行艇を作ったのに、そのまま鳴かず飛ばずで消えてしまったFBAファンのモデラーには見逃せない一品と言えるだろう。

ところでFBA17を改良したFBA19は、大抵の資料では「フランス海軍が少数購入した」としか書かれていないのだが、中国語の資料では『中華民国海軍初の水上機母艦、「鎮海」に2機~3機搭載されていた』と書かれている。「鎮海」は第一次大戦中のドイツ帝国海軍の輸送艦を中華民国が購入、1920年代に日本統治下の旅順で改装し、日本から購入した商船「佳代丸」(資料によっては「嘉代丸」)を改造した輸送艦「威海」と共に軍閥同士の内戦で使用されたという。1937年、日中戦争が勃発し、青島(チンタオ)港に封鎖された鎮海は青島放棄時に自沈した。
と、複数の中国語のサイトに書かれているのだが、「鎮海」は中国語以外の言語ではほとんど資料が存在しない謎の艦である。この辺、掘り下げてみるとまだまだオモシロイ話が埋もれていそうだ。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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