GPM ドイツ帝国軍中爆撃機 AEG G.IV 、Gotha G.IV

さぁ、長い沈黙を破って新製品紹介のコーナーが帰ってきた。うるさいだけだから帰って来ないでくれ、と言われても帰ってきてしまったものはしょうがない。本日も半端知識でつっかえつっかえ、世界中の最新だったり、最新じゃなかったりするカードモデルキットの情報を紹介していこう。
とは言え、ソビエトのロードローラーとかチェコの農業用トラクターを紹介するのはもう少しペースを掴んでからにし、本日は比較的紹介しやすそうなアイテムとして、ポーランドGPM社から発売された第一次大戦時のドイツ軍爆撃機、AEG G.IV を紹介したい。

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第一次大戦の「G.IV」といえば、ロンドン空襲を行ったゴータG.IVが有名だが、「G」は双発中爆撃機を表すカテゴリー記号で(由来はわからなかった)、各航空会社ごとにこのクラスの機体は順にG.Iから始まって数が増えていくというわかりにくい命名規則だった。そのため、ゴータ、AEGの他にもフリードリヒスハーフェンG.IVとか、アルバトロスG.IVなんてのもあった。
「G」クラスの爆撃機は、第一次大戦勃発直後から設計が始まった。
大戦前に「Flugsport(航空スポーツ)」誌を刊行していたOskar Ursinus(オスカー・ウルジヌス)氏のところに開戦と同時に「双発のパワフルな爆撃をデザインしてみない?」という依頼が軍から舞い込んだのがそもそもの発端で、ウルジヌス氏は早速図面を引いて当時としては非常に珍しい双発爆撃機のデザインをまとめ上げた。この時のデザインは、中翼単葉機の下にもう一枚翼をぶら下げて、その上にエンジンを並べたようなオモシロ系デザインだったが、氏によると「当時の不安定なエンジンが片発死んでも、操縦性への影響を最小限に抑える」という意図があったらしい。しかし、実戦では不整地で雑な着陸をすると、間違いなく足と下翼がぶっ壊れて上の胴体がすっ飛んでいくということで不評だった。
そんな問題もあったものの、軍としてはこの機体の性能に満足し、チューリンゲンにあったゴータ社に量産を命じ、同時に航空各社に同じクラスの航空機開発を指示する。
AEG(Allgemeine Elektricitats - Gesellschaft)社は社名英訳すると「ゼネラル・エレクトロニクス」となることでもわかる通り、電気会社だったが、第一次大戦ではなぜか飛行機も制作しており、軍の指示に従って制作したのが、G.IからG.Vまでの各双発爆撃機である(G.Vは休戦に間に合わず、戦後旅客機に改造された)。
AEGの双発爆撃機は「本家」ゴータ双発爆撃機に比べると航続距離が短かったためにロンドン空襲には使用されず、前線での任務(主に夜間の騒乱爆撃。まだ狙った目標に爆弾を当てられるような照準器はなかった)に使用されている。
しかし、さすが電気屋が作った飛行機だけあって無線が標準装備されており、また初歩的ながらも電熱服が準備され乗員を寒さから守った。長距離性能のためにいろいろ切り詰めたゴータ爆撃機が飛ばすだけで一苦労だったのと比べて操縦は容易で癖がなかったという。
AEG G.IVは320機が生産され、現在はカナダ航空宇宙博物館に一機が現存している。この機体は、同時に第一次大戦ドイツ軍のG級双発爆撃機の唯一の現存機である。

さて、それではそんな戦場の隠れた働き者、AEG G.IVの姿をGPM公式ページの完成見本で見てみよう。

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正面からの姿は表紙写真を見ていただくとして、こちらは斜め後ろからの様子。第一次大戦の飛行機と言えば張り線と支柱で大変なことになってるのが定番だが、この機体もなかなか複雑な構造。ナセル内側の内翼部分は飛行中にエンジン整備ができるように補強されているのかもしれない。
目を引く幾何学的な模様は「ローゼンジパターン」という、第一大戦でのドイツ、オーストリア=ハンガリー軍特有の塗装。これは、ドイツ領中国のチンタオ(青島)で日本軍の捕虜になったドイツ兵が、収容された徳島県の霊山寺(りょうぜんじ)で見たマンダラに刺激を受け、帰国してから迷彩に取り入れたものである。と、いうのは今思いついた全くの嘘なので信じてはいけない。
本当は「菱形」を意味する「ローゼンジ」の塗り分け迷彩のことで、派手な色を細かく並べることで、機体の形状、向きをわからなくすることを狙ったものであり、決して、オカンのパッチワークの上に模型を置いておいたら見えなくて踏んづけてしまうことを狙ったものではない。
ドイツ軍の第一次大戦機の模型を作る時の最大の障害がこのローゼンジパターンで、一つ一つ書いているとそれこそ悟りが開けそうになるものだが、カードモデルなら印刷済みなのでスキンを貼るだけで再現完了だ(実機も帆布部分はパターンが印刷済みの布を貼っていた)。

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こちらは腹側。ご丁寧に車輪のハブカバーまでローゼンジパターンに塗ってあるのがドイツ人らしい生真面目さだ。写真右下には、野球盤の「消える魔球」のようなギミックが見えるが、これは自分の尾翼の影が後部銃座に死角を作っており、真後ろから接近される敵機に対応できない欠点をなくすためにG.IVからつけられたもので、後ろから敵が迫ったら後部銃座射手はこれをパカっと開けて、腹ばいになって後ろの敵機に機銃弾をバリバリ浴びせてしまおう、というもの。この仕掛けはゴータ機でも採用されている。

さて、何度かG級中爆撃機の「定番」として名前の出たゴータ爆撃機だが、GPMからは2006年にゴータG.IVがすでに発売となっている。ついでなので、そちらもちょっと見てみよう。

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でも表紙写真がやたらと小さい。

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ゴータ爆撃機はエンジンが推進式なのが特徴。長距離性能のために翼がやたらと長く、AEGが18メートルなのに対し、ゴータは24メートル近くもあった。そんなに翼が長けりゃ丁寧に扱わないとぶっ壊れるわ。ちなみに上翼に胴体がついてる変なレイアウトはG.IIからやめた。

GPM ドイツ帝国軍中爆撃機 AEG G.IVは複葉機ながら航空機スケール33分の1で翼幅約55センチという迫力のあるキット。難易度は3段階評価の「2」(普通)、定価は50ポーランドズロチ(約1650円)となっている。また、Gotha G.IVなんと翼幅72センチ! 難易度も「3」(難しい)、定価は52ズロチ(約1700円)だ。

プラモデルではなかなかキットに恵まれず、やっとRODENからキットが発売されたものの、ローゼンジパターンを書くのかと思うと箱のまま棚でホコリを被ってしまいがちなドイツ帝国軍G級中爆撃機。複葉爆撃機ファンなら、AEG、ゴータ、両方のG.IVを揃えておきたい。
また、勢い良く両機を買うことでうっかりGPMに「今、複葉爆撃機が熱い!」と勘違いさせて翼幅40メートルのドイツ帝国軍R級重爆撃をリリースさせてしまうのもおもしろいだろう。



画像はGPM社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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