Orel ウクライナ「燕巣館」

ここしばらく当コーナーでは最新作のショッキングかつホットな話題が続いたので、少し古めの新作でCOOLダウンを図りたい。
本日紹介するのはウクライナOrel社の新製品、ウクライナの「燕巣館」だ。

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「燕巣館」なんて聞いたこともない言葉かも知れないが、ついさっき筆者が考え出した名前なので仕方がない。もとの名前は「Ластівчине гніздо」といい、直訳すると「燕の巣」となるが、それでは中華料理の高級食材みたいなので勝手に命名したというわけだ。せっかく考えたので、せめて本エントリ内ぐらいでは「燕巣館」表記を使わせていただきたい。
ウクライナはクリミア半島のオーロラ岬に建つこの「燕巣館」、見た目は古風だがこの形で建設されたのは1911年のことだった。もともと、ここには1895年にロシア軍の将官が建てた木造の館が建っていたが、バクー油田の採掘で一山当てたドイツ系のバルト貴族、von Steingel男爵がこれを買い取って全面的に建てなおし、館の名前も「愛の城」というめっちゃくちゃ恥ずかしい名前から「燕巣館」に改めた。
しかし、男爵は飽きちゃったのか館を1914年に早くも手放し、燕巣館はレストランへと改装されている。
1927年、クリミア半島はマグニチュード6~7という大地震に襲われる。幸い、燕巣館は即座の倒壊・崩落を免れたものの、崖には大きな亀裂が生じたために危険となりその後40年立ち入り禁止となってしまう。
1968から大規模な修復、補強が施され、燕巣館は75年からはイタリアン・レストランとして営業している。また、2011年には120万ウクライナフリブニャ(約1350万円)をかけた大規模な修復が行われた。

では、さっそくクリミア半島の観光名所「燕巣館」の姿を公式ページの完成見本で見てみよう。

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うん……まぁ、難易度「1」(易しい)のイージーキットだから、こんなもんでしょ……
なんか、実物の写真で見るのと各部のボリュームが違うような気もするが、当のウクライナ人がこれでいいというんだから、これでいいに違いない。せめて崖の上部ぐらいはキットに含んでほしかったねぇ……

さて、写真がこれ一枚しかないのでキットの紹介はこれでおしまいなのだが、せっかくなのでこの建物について情報を集めていた時に出てきた話をついでに書いておこう。
燕巣館はそのユニークな立地、美しい姿ゆえにいくつかのソビエト映画に登場しているが、中でも(ソビエトで)有名だったのが、1987年公開となったアガサ・クリスティ原作のミステリー映画「Десять негритят」(10人の小さな黒人)、すなわち「そして誰もいなくなった」である。
え? ソビエトでアガサ・クリスティ?? しかも、『そして誰もいなくなった』 ??? と聞くと、なんだか「10人の資本主義に取り憑かれた反革命主義者が次々に殺されていくが、最後には偉大な書記長の知恵で事件は解決する。インターナショナル万歳」みたいなストーリーを想像してしまうが、この映画は設定、キャラクター、ストーリー、全てが原作小説に忠実な映画であった(タイトルの「10人の小さな黒人」も当初の原題。アメリカ版で「黒人はまずいでしょう」と「そして誰もいなくなった」に改題され、作中の童謡も「10人の小さなインディアン」に変更となった)。
「そして誰もいなくなった」は何度か映画化されているが、西側でよく見るのは1975年のイギリス映画版で、ラストは男女二人が生き残るが、原作に忠実なソビエト版では文字通り全員が死んでしまう(クリスティ自身の手による戯曲版では二人が生き残るので、映画独自の「ハッピーエンド」ではない)。一説には、オリジナルのストーリー、キャラクターを一切改変していないのはこのソビエト版のみであるというから、おもしろい。
「燕巣館」は舞台となる孤島の屋敷の外見として登場し、カット割りとミニチュアの妙で孤島に建つ館を演じた(内部はクリミアにある別の邸宅が使われている)。そんなわけで、当コーナーでもこの建物に「燕巣館」と、本格ミステリー風の名前をあてがってみた、という次第。
ついでに、下は公開時のポスター。

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怖いよ! これじゃミステリーって言うよりホラーだよ!!
ちなみに高解像度版はこちら

Orelよりリリースされた、ソビエト版「そして誰もいなくなった」の舞台にもなったクリミア半島の観光名所、「燕巣館」はスケールは150分の1。難易度は三段階評価の「1」(易しい)、定価は33ウクライナフリブニャ(約400円)とお手軽な設定となっている。
ウクライナファン、クリミアファンのみならず、ミステリーファンも傑作の舞台としてこのキットは見逃すべきではないだろう。



キット画像はOrel社サイト公式フォーラムからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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