GPM ドイツ軍自走砲 60cm Karl-Gerät

先日お伝えしたNeubaufahrzeug登場のニュースで、筆者の脳内日本カードモデル界は早くも騒然となっていいるが、ポーランドGPM社の秋の大物祭りはまだ始まったばかりだ。
本日は引き続きGPMの秋の新作から次の「大物」、ドイツ軍自走砲 60cm Karl-Gerätを紹介しよう。

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多砲塔戦車Neubaufahrzeugに続いて60cm自走砲Karl! なんというオレ得な展開!
Karlのキットと言えば、ハセガワ模型のキットを思い出す読者も多いだろう。72分の1とは思えないその大きな箱は同シリーズでリリースされていた「K5E28列車砲(レオポルド)」と共に模型店の棚の上の方で異彩を放っていたものだ。
ハセガワの商品でその存在を知った我々オールドモデラーとしては、GPMがK5E28をリリースしておきながら、(キット的に)「兄弟分」であるKarlをリリースしないのには何か釈然としない思いがあった。だが、その長年の違和感もこれでついに払拭されることとなる。

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今回も豊富な完成写真を交えながら紹介を続けよう。
もともとはフランス軍の要塞、マジノ線を粉砕するために開発された60センチ自走臼砲Gerät40(機材40号)は、開発に関わった砲兵大将カール・ベッカーの名前を取り「Karl」と呼ばれた。一説には、極端に短砲身のずんぐりしたスタイルを将軍のビールっ腹にかけたものだとも言われている。カールは全部で7輌が生産され、当初の目的のマジノ線突破にこそ参加しなかったものの、対ソ戦ではブレスト・リトフスク、セヴァストポリなどの名だたる要塞攻略に投入されている。
7輌生産されたうちの6輌にはそれぞれが神話にちなみ1号から順に「アダム」「エーファ(英語読みでイブ)」「トール」「オーディン」「ロキ」「ツィウ」の愛称がつけられていた、とされているが一部の車輌以外には愛称がペイントされた写真が現存せず、確証に乏しいとも云われる。

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カールの足回りには、長い支持架のついた8転輪タイプと11転輪タイプがあるが、今回のキットは8転輪タイプとなる。この8転輪型は一部の資料では「試作型」とされ、これを上記の愛称がついた6輌とは別のいわば「0号車」とする資料もあるが、最近の研究では8転輪型は1号車と2号車であり、7号車は戦況の変化により未完成で放棄されたと考えられているようだ(なお、7号車の愛称を「フェンリル」としている資料もある)。

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前回のNeubaufahrzeugの試作写真はコッテリ塗ってあったが、今回は紙のままとなっている(砲弾は、どういう素材なんだろね?)。
左の写真で円筒形のルーバーの影にチラリと見えているのは運転席。カールは短い距離ならここから操縦し、時速10キロ(足回りの変化した3号車以降は時速6キロ)でコロコロと陣地転換ができる。なお、操縦席がこの位置にあるということは(椅子の向きを見るとわかるが)、一見、尻に見えるこっちの方が走る時には前になる。つまり、自走砲としてのカールの砲は車体後方を向いているわけだ。

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キットのマーキングは2号車「エーファ」のもの。なお、カールは1輌がソビエトのクビンカ博物館に現存しており、1号車「アダム」のマーキングがされているが、足回りはより後期の11転輪のものとなっている。どうやら、ドイツ軍が足回りが壊れた「アダム」の砲(クビンカの車輌には砲側面にオリジナルの「アダム」のマーキングの痕跡が残っている)と砲の破損した6号車「ツィウ」の車体を合わせて一輌としたものらしい。
2号車「エーファ」、5号車「ロキ」、そして7号車「フェンリル(仮)」はそれぞれが終戦間際に米軍に鹵獲されたようだが、全て現存していない。4号車「オーディン」は赤軍に鹵獲され、その後行方不明。1号車「アダム」の車体と3号車「トール」がどうなったのかはわかっていない。

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写真では今にも砲弾が装填されそうになっているが、実際には60センチ砲の強烈な反動を受け止めるために発砲時にはサスペンションを下げた状態でロックし、「へたりこんだ」格好で射撃を行う。だからこのまま発射するとサスペンションが壊れちゃうぞ。
あと、起動輪だけ塗ってあるのはなぜ?

世界中の大物ファンが待ちに待っていたGPMのドイツ軍自走砲、60cm Karl-Gerätは陸戦スケール25分の1で全長約45センチというビッグキット。難易度も堂々3段階評価の「3」(難しい)となっており、定価も135ポーランドズロチ(約4500円)と老舗GPMの「本気」を感じさせる設定だ。また、レーザーカット済みの芯材用厚紙が79ズロチ(約2600円)、レーザーによる立体彫刻済み厚紙製履帯が50ズロチ(約1650円)で同時リリースとなる。
ハセガワのあの大きな箱には、子供のお小遣いでは手が届かなかったかつての模型少年達は、今こそ大人の経済力を発揮してGPMの挑戦を受けて立つのもいいだろう。さらに余裕があればK5E28と完成品を並べ、そのあまりの大きさに途方にくれるのも面白そうだ。

*今回の記事はカール研究の国内最高峰とも言うべき、「Karl-Geraetに関するページ」様を参考とさせていただきました。カールにつて興味のある方は必見のページです!
なお、カールに関する事実誤認があった場合、その原因は全て当ブログ管理者の勘違いにあり、「Karl-Geraetに関するページ」には一切の責任はございません。



写真はGPM社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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引き続き良いですな!!

これまた通好みな逸品を!
流石予備役工兵のおっちゃん2人でやってる会社は違いますな!!
って最近YG Modelの取り扱いしてるみたいですが、Me109Kを生で見たら色んな意味で凄かった・・・。A3を普通にホッチキス止めして表紙を貼ってあるどこぞの同人紙ですか?な感じがGoodでございました。

Re: 引き続き良いですな!!

ナオさん、今晩は。
夏休み明け早々に、NbFzとカールという、あまりにも強烈な2連コンボを喰らって早くもグロッキーです(笑)
東欧のカードモデルキットは日本でいう同人誌ぐらいしか刷らない、とは良く言われることですが、それを思うとGPMやOrel、Halinskiなんかが、むしろ豪華すぎるような気もしてきました。チェコのキットなんて買うと、レーザープリンタで刷りだした紙がホチキス止めもされずにバラバラのまま表紙の紙に挟まれて届いたりしますもんね。
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