GPM ドイツ軍試作多砲塔戦車 Neubaufahrzeug

暑い夏が去り、夏休みの間にエネルギーを充電していたポーランドカードモデル業界も後半戦に向け活動を開始た。毎年、各社が大量リリースをうってくる夏休み開けの「秋の新製品ラッシュ」だが、今年はポーランドGPM社が一番乗りとなった。

思えば、今年前半戦ではGPMの存在感は残念ながらあまり大きなものではなかった。今年の前半戦をリードしたアイテムに共通するキーワードは「大物」。Orlikからはドイツ帝国軍重戦車 K-Wagenが、さらにMODELIKからはフランス軍重戦車 FCM 2Cという名前も図体もビッグなアイテムがリリースされ、世界中の巨大兵器を愛するモデラー達の話題を総なめとしたことは改めて述べるまでもないだろう。
この流れに対し、GPMが前半戦でリリースしたのはポーランドのモニター艦アメリカ軍の試作軽戦車、はたまたチュートン騎士団長といった、それはそれでオモシロイんだけど、そもそも存在を誰も知らないアイテムばかりなので登場時のインパクトには乏しかった。

「老舗」GPMはこの「大物」の流れには乗らないのだろうか、かつてK5E28センチ列車砲やB52戦略爆撃機でモデラーの住環境を一気に悪化させた、あの尖った商品ラインナップのころのGPMはもう過去のものなのだろうか。
そんな疑念を吹き飛ばすかのように、この秋、GPMが「大物」戦線にビッグなアイテムを引っさげ堂々参戦した!
秋のGPM「大」攻勢の中から、本日はドイツ軍試作多砲塔戦車 Neubaufahrzeugを紹介しよう。

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キタ! 良く知られたビッグネームであり、無駄に大きいビッグアイテム! 我々はこんなアイテムを待っていた、まさにそう言わざるを得ない絶妙なチョイスと言えるだろう。 

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今回は試作品の完成写真が豊富にあったので、写真を交えながら紹介を続けよう。
とはいえ、この有名な戦車に関しては改めてクドクドと説明するまでもないだろう。ドイツ語で「新型車輌」を意味するNeubaufahrzeug(ノイバウファールツォイク)は、1930年代に世界の軍事大国で大流行していた「多砲塔戦車」のブームに乗って、うっかりドイツ軍が試作してしまった車輌である。
軟鉄製(防弾能力がない)の原型車輌が2輌、防弾鋼板製の正式車輌が3輌作られたが、構造が複雑過ぎる上にその複雑な機構と大柄な車体の重量を現実的なレベルに抑えるためには装甲が薄くならざるを得ず、これからマジメに戦争しようというドイツ陸軍にはこんなウケ狙いの車輌を量産している余裕はなかった。

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でも作っちゃったものは仕方ないし、今も昔もでっかい兵器は強そうなイメージを人に与えるし、多砲塔は見た目にオモロイので防弾鋼板製の3輌はノルウェー戦争に参加。しかし、大事な大事な3輌のうち1輌が擱座の上自爆処分(擱座したまま戦闘を行ったともいわれる)。なお、せっかくのオモシロ兵器の1輌があっさりやられたのがバレるとカッコ悪いので、1輌損失後は軟鉄製の原型車輌を慌てて運んできて「損失なんてしてませんよー」と涼しい顔して3輌揃っているところを見せていた、という説もある。でも原型車輌は形状にけっこう差があるので、見ればわかると思うのだが両者が並んでる写真なんて見たことないなぁ。
生き残った2輌はノルウェーからドイツへ帰還したが、その後の運命ははっきりしない。41年6月のバルバロッサ作戦に参加したようだが、ソビエト侵攻から1週間とたたないうちに2輌とも撃破されたともいう。その後、残骸はどうやら回収されドイツに送り返されたようだが、軟鉄製の原型も含め41年中に全てがスクラップとなったと終戦時に英軍が接収した書類に書かれているそうだ。しかし、一説には42年にNeubaufahrzeugを撮影したとされる写真もあり、実際のスクラップ時期には異論も存在する。
なんにせよ、この車輌は終戦まで残っていなかったことは間違いないようだ。現在、Neubaufahrzeugのものと云われる残骸は、ノルウェーKvamにあるGudbrandsdal 戦争博物館に誘導輪と履帯調整機構の一部、そして数枚の履帯が残るのみである。

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そんな、デカいだけでパッとしない、派手なんだか地味なんだかよくわかんないNeubaufahrzeugが、ついにGPMから登場だ。フロントの目立つ象のペイントは、ノルウェー戦時のもの。Neubaufahrzeugのキットはながらくインジェクションキットにめぐまれなかった(むかーし、ソフトビニールのNeubaufahrzeugのキットを模型屋で見たことがある)のだが、この春ドラゴン社のインターネット通販専門ブランド、「サイバーホビー」からついにキットがリリースされたそうだ。なんだかタイミングが合致しすぎてる気もするが、きっと偶然だ。

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GPMにしては珍しく、コッテリと塗って滑り止めパターンまで追加した作例。まるでWAKの作例写真のようだ。砲塔後部バスルには”Feldw(曹長). Faulhaber +25.4.40”と書いてあるのは、乗員の戦死者のことではないかと思われるが、どのような状況で戦死したのかは不明。
押し寄せる歩兵をなぎ払う(予定だった)2基の銃塔は機関銃を装備しており、1号戦車の砲塔とよく似ているが細かい点で差異がある。
また、強そうな主砲は75ミリ榴弾砲、さらに横には同軸で37ミリ対戦車砲まで装備しちゃって、対戦車戦も歩兵支援も両方をこなせる(はずだった)構造となっている。

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もう、ディティールアップしまくりで、キットがどんな内容なのかよくわからん。ちなみに履帯はレーザーによる立体彫刻済みのものが50ポーランドズロチ(約1650円)で同時発売となる。ちなみに軟鉄製の原型車輌と鋼鉄製の正式車輌の差で一番わかりやすいのは砲塔で、原型車輌は砲塔が全体的に曲面で構成されており、2門の砲が横ではなく縦にならんでいる。でも、それって砲尾の構造はどうなってんだ?

「大物」ブームに殴りこみをかけるGPMのドイツ軍試作多砲塔戦車 Neubaufahrzeugはスケール25分の1の陸戦スケールで27センチと、大きさ的にはそれほど「巨大」というわけではないが、その存在感は圧倒的だ。難易度は3段階評価の「2」(普通)、定価は65ポーランドズロチ(約2100円)となっており、レーザーカット済みの芯材用厚紙も49ズロチ(約1600円)で同時発売となる。

世界中の多砲塔好きモデラーがこっそりと願っていたNeubaufahrzeugの登場は、カードモデル界の一つの頂点と言えるかも知れない。今後、他に多砲塔戦車を出そうと思えば、後はイギリスの試作重戦車「インディペンデント」あたりに進むしかないだろう。
しかし、だからと言ってGPMのこの秋の暴走気味な快進撃がここで止まってしまうわけではない。次回は、GPMのさらなる「大物」を紹介しよう。



写真はGPM社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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出た!!

やはりというか出てしまいましたね。欲しいヨ~。
>後はイギリスの試作重戦車「インディペンデント」あたりに進むしかないだろう。
いや未だ95式重戦車とか試製ミト車とかが残っている!!
ココは先を越される前に設計をしなくては・・・って、資料ねえです。

Re: 出た!!

ナオさん、今晩は。
いやはや、本当にNbFzの登場は、「まさかこんなものが」と思う反面、「さすがカードモデルらしい」という気も同時にしますね。
ポーランドカードモデル界の、マイナーな所から穴を埋めていく商品展開は油断できません。
それにしても今年は、FCM 2CとかNbFzとか、本当に見逃せない商品リリースが続きます。お小遣い貯めなきゃ…………

日本軍重戦車は、ぜひ立体で見てみたいですねー。資料はなくても、愛があれば!! (無茶振り)

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