GPM チェコ製軽飛行機 Zlín Z 50L / LS

外部デザイナーの参加により、活気の増したポーランドGPM社。果たしてこの動きはポーランドカードモデル界再編のきっかけとなるのか、その動きから目の話せない日々が続いている。
本日は、そんな「カードモデル再編成」の中心軸、GPMの新作からチェコ製軽飛行機 Zlín Z 50L / LS を紹介しよう。

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冗談みたいな着陸脚がなんともカワイイ。
機体名は一見、「ズリン」のようだが、三番目の「i」には「チャールカ」というチェコアルファベットのアクセント記号がついており、この場合は母音を伸ばすので「ズリーン」という表記がチェコ語の発音に近いようだ。ずり~ん。

全く全然関係ないのだが、この機会を逃すと二度と書く機会がないだろうから書いておこう。英国王ヘンリー八世の2番目のお妃に「アン・ブーリン(Anne Boleyn)」という人がいる。資料によっては表記が「ブーリン」ではなく、「ブリーン」となっており、発音的にはどっちが近いのか気になるところだが、このアン・ブーリン、なぜかエアフィックスからプラスチックモデルのキットが出ている。

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今回は珍しく棚の手が届くところに現物があったので写真つきだ。
それにしてもエアフィックスは、なぜアン・ブーリンのキットなんて出したんだろうか。そして、なぜわしはこんなものを持っているのだろうか。とんでぶ~りん。

そんな、誰も得しない戸棚自慢はここまでにして、キットと機体の説明に戻ろう。
「ズリーン」というのは聞かない名前だが、チェコの軽飛行機メーカー、「Moravan Otrokovice」のブランドで、会社のある「ズリーン州」に由来する。と、思うのだが会社の公式サイトでは社名が「zlin aircraft」となっているので、最近メーカー名を変更したのかもしれない。1934年創業の会社だが、スポーツ機や練習機などの軽飛行機専門のメーカーで派手に活躍する戦闘機などは制作していないので、西側では名前を聞くことは少ないだろう。
Z50は同社が1975年に完成させたスポーツ機で、デザインには初期のコンピューターが用いられたという。1976年のFAI(国際航空連盟)主催の「世界アクロバット選手権(World Aerobatic Championships)」ではヤコブレフYak50に次ぐ性能を発揮、1978年大会ではチェコにチーム優勝をもたらしている。
Z50Lはアメリカライカミング社製260馬力エンジンを搭載した初期型(25機生産)で、Z50LSはエンジンを同社製300馬力のものに換装したパワーアップ版である(34機生産。Z50Lのうち18機はZ50LSに改造されている)。
また、1991年には小改造を加えたL50LX9機が調達され(一部はLSからの改造)、健康飲料とエクストリームゲームで有名なレッドブルのアクロバットチーム、「フライング・ブルズ」で使用されている。

では、あまり派手な活躍はないものの、エアショーでは花形を務めるズリーンZ50の姿をGPM公式ページの完成見本写真で見てみよう。

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ほほう、これはなかなか派手な塗装。プラモデルではあまり見かけないレーサー機、アクロバット機だが、カードモデルでは意外とキットが多数出ている。
この手の機体の実物はピッカピカのツヤツヤな機体だが、カードモデルでは紙はつや消し。これを「地味」と捉えるモデラーもいるだろうが、個人的には実物がペカペカでも、縮小モデルの場合にはヨーロッパの紙特有の微妙な半ツヤぐらいの方が、むしろリアルな気もするのだがどうだろう。そんな個人的な意見を「どうだろう」って問いかけられても困るか。

機体の塗装はポーランドのアクロバットチーム、「ŻELAZNY」の機体塗装となっている。
ŻELAZNYはZ50の一世代前、Z526も長く使用していた。公式ページではギャラリーで美しい写真を多数見ることができるが、おどろくべきことにŻELAZNYはZ50とZ526の混成編隊でアクロバット飛行を行っていたようだ。飛行特性が違って危なかったりしないのだろうか?(ちなみにŻELAZNY塗装のZ526は「Quest」ブランドでカードモデルキットが出ている)
なお、現在ではZ526はアクロバットチームから外され、Z50L1機、Z50LS2機、そしてドイツのExtra Flugzeugbau社製のExtra-330 LC1機という編成になっている。さらに混成になってるぞ。
なお、キットはŻELAZNY塗装の他に、ŻELAZNYの母体であるZiemi Lubuski航空クラブに所属する通常塗装のテクスチャが選べるコンパチキットとなっているようだ。

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第二次大戦後期以降の航空機を作る際には、この「バブルキャノピー」をどうするのかは非常に大きな問題だ。P-61ブラックウィドゥ夜間戦闘機の尻なんて、正直、もうどうしようもない。Z50のバブルキャノピーぐらいなら、透明フィルム用の展開図が添付されているはずなので、やや多角形となるのは我慢して透明フィルムで組み立てることもできるが、ベテランモデラーなら是非とも展開図を元にカタを起こし、塩ビ板のヒートプレスに挑戦したいものだ。

*9月7日追記 コメント欄で あっさいさん より情報をいただいました。このキットにはキャノピーの展開図は入っておらず、断面図が入っているそうです。 えええぇぇぇっ!! 断面図!? そこからカタを削ってヒートプレスで搾り出せと! このキット難易度「普通」なのに………… ポーランドでは、ヒートプレスはするのが「普通」なんでしょうか??  あっさいさん、情報ありがとうございました!


なお、今回のキットのデザインはRoman Cholewiak氏。Cholewiak氏はWAKでT-28戦車やM24チャフィー軽戦車、そしてカナダ空軍練習機「チップマンク」などをデザインしているデザイナーだ。

夏休み明けにどのような動きが注目されるポーランドカードモデル界。その中心に位置するGPM チェコ製軽飛行機 Zlín Z 50L / LSは航空機スケールの33分の1で全長20センチしかない小柄な機体。難易度も3段階評価の「2」(普通)、定価は30ポーランドズロチ(約1000円)となっている。また、レーザーカット済みの芯材用厚紙も同額30ズロチでの同時発売だ。

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ポーランドのアクロバットチームといえば、ポーランド空軍の曲技飛行チーム「Bialo-Czerwone Iskry」(赤白の閃光)が有名だが、こちらのチームのTS-11ジェット練習機の素晴らしいキットがOrlikから発売されている(作例は「紙模型.com」さんのギャラリーページで見ることができる)。
ポーランドを代表する民間と空軍のアクロバッチチームの機体を並べ、夢の競演に思いを馳せるのも楽しそうだ。



写真はGPM社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。

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はじめまして

このキット、キャノピーの展開図はないそうです。
かわりにキャノピーの断面図が入っているそうですが。
問答無用で絞れってことでしょうw

Re: はじめまして

あっさいさん、はじめまして!
返信遅れて申し訳ございません。

な、な、なんとっ! 展開図ではなくて断面図!!
それはまた、ハードルの高い…………
ポーランドのモデラーっていうのは、ヒートプレス標準装備なんでしょうか!?
情報いただき、ありがとうございました!
展開図公開中
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