Orel スイス空軍 Bf109E-3

昨日は町内会の夏祭りで、「お楽しみ抽選の景品、『缶ビール一箱』が当たったらどしよう! 下戸だから、物々交換でおいしいものに交換しようかしらん!」とかワクワクしていたが、まぁごく普通になに一つ当たらなかった筆者が送る「週刊カードモデル新製品情報(仮)」、本日紹介するのはウクライナOrel社の新製品、スイス空軍 Bf109E-3だ。

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おお! 久々にメジャーな機体!
…………でもスイス空軍って、なに!? そんな、自分含め大勢の疑問にWikipediaの力で答えてしまおう。
永世中立国スイスが戦記に登場することは少ないが、立地的には北にドイツ、南にイタリア、東にオーストリア、そして西にフランスに接しており、場所的にはかなり重要な場所を占めている。そのため「国民全員が兵士としての訓練を受け、各家庭に銃が置いてある」という重武装で国土の中立を守っているのは有名な話だ(以前は弾薬も各家庭で保存されていたが、さすがにやめた)。
その国民の覚悟以上に、スイスは全方位を峻険な山に囲まれたその地形により守られていたが、軍用機の台頭によりこの優位は危うくなる。空から来て爆撃されちゃ、ヤマ関係ないもの。そこで、スイスは1914年には早くも航空部隊を創設(それ以前にも、気球で偵察や観測を行う「スイス風船軍」というやたらと楽しそうな部隊があった)、さらに1936年に航空隊は「スイス空軍」として独立する。
第二次大戦時のスイス空軍の装備機は、フランスのモラン・ソルニエ405(バトル・オブ・フランスの「ヤラレ役」MS406の原型機)のライセンス生産であるD-3800(終戦までに82機生産)、D-3800にMS406と同等の改良を加えたD-3801(207機生産)、さらにはイスパノ・スイザ系エンジンを搭載し、イリューシン2とBf110を足して2で割ったようなC-36攻撃機を国内で開発(152機生産)、そしてドイツから購入したBf-109であった(他にビュッカー・ユングマンなど練習機多数)。つまり、大戦中のスイスではフランスのモラン・ソルニエとドイツのBf109が仲良く翼を並べて飛んでいたわけだ。

スイス空軍のBf109は、まず1938年にD型を10機購入。当時最新式の戦闘機を売っちゃうなんて、ドイツ軍もなかなか太っ腹ねー。もちろん、フランスのMs405/406だって、結果的には性能がちょっと残念だったものの、当時はまだ新鋭機だ。スイスをどちらの陣営に引きこむか、あるいは敵側から引き離すか、各国が苦心していた様が読み取れる。
しかし、ドイツの対仏作戦が始まり、フランスが敗退し戦場が南フランスへと移動すると、このなごやかな「飛行機売ってください→どうぞどうぞ」モードは一変する。
1940年の対仏作戦が始まるまでにスイスはさらにBf109E型80機を購入していたが、1940年6月1日、リヨン-マルセイユ間の鉄道を攻撃するために飛行していた第53航空隊のHe111爆撃機36機がスイス領空を侵犯したのに対し、スイス空軍のBf109E型12機が迎撃に上がった。すでにフランス空軍は壊滅しており、護衛なしで飛んでいたドイツ爆撃隊はスイス空軍の迎撃を受け、6機のHe111が撃墜される。なお、この時He111の防御銃火でBf109の燃料タンクが爆発して戦死したRudolf Rickenbacher少尉はスイス空軍初の戦死者である。
さらに6月8日、今度はHe111を護衛していたBf110隊と15機のスイス空軍Bf109が交戦、スイス空軍は5機のBf110を撃墜し、1機のBf109を失った。
これに先立つ6月6日、ドイツ空軍元帥、デブ将ヘルマン・ゲーリングは「ドイツ軍航空機は、全てフランス領空にいたブー! ちょっと間違ってスイス領空に入ったかもしれないけど、故意じゃないブー!」と声明を発し、スイス側に「誠意ある対応」を求めていた。
6月19日には、警告はさらに緊迫度を増し「スイス空軍の戦闘行動を侵略行為とみなすブー。これが継続されるなら、スイスは制裁と報復を受けることになるだろうブー」という事実上の最後通告が突きつけられる。スイスは中立を標榜していたものの、東のオーストリアがドイツに併合され、南のイタリアはドイツの同盟国となり、さらに西のフランスまで敗退した以上、単独で全方位を包囲されたままいたずらに権利を振りかざすことはできなくなっていた。
やむを得ず、スイス軍最高司令官Henri Guisan(アンリ・ギザン)は全部隊に迎撃発進を禁じ、7月1日にスイス政府は迎撃を正式に謝罪。これに気をよくしたドイツ政府は7月16日に「問題は解消された」と宣言した。
「バトル・オブ・スイス」は終わったのだ。

なお、スイス空軍は戦前に正式に購入した90機のBf109D型、E型の他にE型のアフターサービスで手に入れた予備パーツからE型8機を組み立てている。また、戦時中に不時着したドイツ軍のF型2機、G型2機を自国空軍に編入、さらに不時着した夜戦型Bf110を機密保持のために焼き捨てるのと引換にBf109G型12機を手に入れている。

さて、そんな短くも激しい「バトル・オブ・スイス」の主役、スイス空軍のBf109E-3だが、完成写真がなかった。しょんぼり。
でもまぁ、みんなBf109のカタチなんて知ってるからいいか。

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テクスチャは汚しのないスッキリとしたタイプ。もしドイツと全面戦争になれば「Bf109対Bf109」の戦いとなるために、なにがなんだか分からなくならないよう、識別のために派手派手な紅白塗装がされているのがオメデタイ。なお、この紅白模様は戦争終盤で識別のために付け足されたもので、戦争序盤にはもっと地味なグリーン単色塗装の上に赤丸の中に白十字を書いた識別マークのみだったらしい(こんな感じ)。

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組み立て説明書はグラデーションの美しいCGタイプ。ステップ・バイ・ステップに近いクローズアップ方式、といったところだろうか。ご覧いただくとわかる通り、かなり細かいパーツ構成で、これだけ見ていると間違えてHalinskiのBf109の組み立て説明書を持ってきてしまったのかと心配になる。

メジャーなのにマイナー、という盲点を見事に突いてきた感のあるOrel社のスイス空軍 Bf109E-3。スケールはもちろん航空標準スケールの33分の1。難易度は3段階評価の「3」(難しい)、そして定価は60ウクライナフリブニャ(約700円)となっている。
Orelと流通が同じウクライナの”Три крапки"ブランドからはスイス軍塗装のMs406(D-3800)も発売されており、スイス軍ファンのモデラーなら、机上に栄光のスイス空軍を再現できるこの機会を見逃すべきではないだろう。


キット画像はOrel社サイト公式フォーラムからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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