MODELIK プロイセン王国鉄道機関車 G8-1 (Tp4)

先日まで、「こいつ、毎回記事コピペしてんじゃね?」というぐらいに「暑い暑い」と繰り返していた当ブログだが、ここ数日突然に薄ら寒い陽気となり、みなさんお体には十分お気をつけください。
なお、当初は「週末2本、新製品紹介!」と意気込んでいた当コーナーがここのところ毎週1アイテムしか紹介できていないのは、手をつけるアイテム手をつけるアイテム、全てがマイナーなくせに調べてみるとけっこう情報が出てきて、それを読んでいるだけで筆者が幸せになってしまうからだ。すみません。

そんなわけで、今週も一作しか紹介できない新作紹介のコーナーだが、本日紹介するのはポーランドMODELIK社の新製品、プロイセン王国鉄道機関車 G8-1 (Tp4)だ。

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パースも光源も丸無視の合成がなんとも言えず素晴らしい。下手すりゃ「Photoshop Disasters」行きになりかねない勢いだ。
表紙と、エントリ名でキット名が食い違っているが、これは当機関車がもともとはプロイセン王国鉄道の「G8」機関車で、「Tp4」はポーランド国鉄での使用名称だからである。

以前に「T3」機関車を紹介した時にも書いたが、プロイセン王国はドイツ帝国成立前のいわゆるドイツ諸侯のうちの一国で、ドイツ帝国は諸侯が保有していた鉄道の各管轄を残したままとしていた。
ここでプロイセン王国鉄道の機関車命名規則について簡単に説明すると、機関車は主に「S」(急行)、「P」(旅客)、「G」(貨物)、「T」(タンク式)のカテゴリに分かれる(各文字はそれぞれのドイツ語単語の頭文字)。従って、「G8機関車」は「貨物用機関車8型」というわけだ。

プロイセン王国鉄道の貨物機関車ではそれまでの3軸式に対して4軸の重機関車「G7」機関車が1893年に設計され、さらにシュッポシュッポとそのままに使っていた蒸気を、煙突の中に折り込んだ管の中へ通すことでさらに加熱する「過熱管」が1903年に発明されたのに伴い、これを組み込んだ「G8」が開発される。そして、G8-1はさらに牽引力を強めるために、車体重量を故意に10トンも重くすることで車輪とレールの間の摩擦を増やし、ガッシュガッシュンと貨車を引っ張っちゃう「超重機関車」ともいうべき機関車だった。なにしろ5軸式の「G10」機関車よりも牽引力で優っていた、というのだから半端ない。
しかし、重量が大きすぎるために、G8-1は主要路線以外では線路がぶっ壊れるので使用できない、という欠点もあった。

第一次大戦でドイツ帝国が解体されると、五千輌以上が建造されたG8-1(原型のG8も千輌以上建造されている)は、各国に賠償金として分配され、フランスの「040D型」、ベルギーの「81型」、ルクセンブルグの「46型」、ルーマニアの「40.000型」、イタリアの「460型」、そしてポーランドの「Tp4型」となった。さらに、リトアニア、オーストリア、オランダ、チェコスロバキア、ソビエトなどもG8型を持って行ったり、新たに製造されたものを購入したりしているから、もはやG8機関車は「ヨーロッパ標準貨物機関車」といってもいいだろう。

ポーランド国鉄PKPは412輌のG8系機関車を戦後賠償としてドイツから獲得、さらに50輌を購入したが、速度が遅く重量の大きすぎるTp4は次第に国産貨物機関車と置き換わっていった。1939年には数輌のTp4がその牽引力を見こまれグディニアの鉄道基地で応急的に装甲列車化されたと言われている。
ポーランドを占領したドイツ軍は360輌のTp4を鹵獲したが、ドイツ軍の敗退によってポーランドは再びTp4を300輌保有する。取ったり取られたり、なんとも忙しい。
戦後、旧式化したTP4は1972年までにポーランド国鉄から全車輌が引退、工業の構内線などに払い下げられた機関車も1980年初頭に引退した。

ヨーロッパの鉄道マニアの間では、代表的貨物機関車として日本で言う「D51」のようにメジャーなんじゃない? たぶん、という感じのG8/Tp4機関車を、さっそくModelik公式ページの完成見本写真で見てみよう。

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表紙がやや前からなので、今度は後ろから。リベットを打ち直すなど、かなりのディティールアップがされていると思うのだが、表面の質感が「塗ってます!」という感じではなく、紙っぽいのはちょっと珍しいタッチだ。

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さらに配管やロッドといった、機関車の魅力であるメカ部分をクローズアップ! おおっ……これはなかなか、手ごわそうだ。
ちなみに、4軸になって車体長の延びたG8機関車は急なRのカーブを曲がりきれるよう、最後の第4軸の動輪に左右に数ミリ動く「遊び」が設けてあり、さらに第2、第3軸の動輪の「フランジ」(脱線しないようについてるフチの『鍔』)が15ミリ、内側にずらしてあったそうだ。おかげでカーブはキュルンと曲がれるようになったが、走行中の動揺は激しくなった。でも貨物列車用だから気にしないもん。

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今回は公式ページの画像が多めだったので、紹介も画像多めだ。
側面図で見ると、ボイラーの下に隙間があって向こうまで筒抜けなのがよくわかる。第一次大戦前のヨーロッパ機関車特有の、カッチリとした形状が魅力的だ。車輪配置が0-8-0だと、運転台の下になにもないんでお尻がレールに触りそうね。

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テクスチャは汚しのないスッキリとしたタイプ。A3の版型だという事を考えれば、迫力の大パーツが並んでいることがよくわかる。
なお、ナンバープレートなどはポーランド国鉄のものしかキットには含まれておらず、他国のG8として組むことはできないようだ。

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組み立て説明図は面をグレーで塗ったラインタイプで、ステップ・バイ・ステップとクローズアップの中間的な表現となっているようだ。1930年代、1940年代の機関車を見慣れている感覚からすると、車体に「釣鐘型」の構造が意外なほど少ないことも、この図からよくわかる。

Tp4 laser

さらに、今回はキット本体と同じ価格のレーザーカット済厚紙セットも詳しく紹介しよう。だって、たくさん写真が載ってたんだもん。
「本体とディティールアップが同じ値段!?」と、驚いてしまうが、ディティールアップパーツも、たぶん本体と同じA3の版型。それでこの写真の枚数があるのだから、それだけの値段がするのも納得だ。

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内容も、細かいパーツ、正確さが要求されるパーツがレーザーの素晴らしい精度で切りだされている。特に、車輪の形状は機関車の出来を大きく左右するポイント。ここがキッチリと切り抜き済み、というのは心強い。

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さらに今回は、これ材質はなんなんだろう? エッチング? 厚紙? フィルム? なんかわかんないけど、写真のような「浮き彫り」パーツがセットとなっている。ナンバープレートや、滑り止めの立体表現にこれは欠かせないディティールアップパーツと言えるだろう。

MODELIKの機関車にかける情熱が形となったようなプロイセン王国鉄道機関車 G8-1 (Tp4)は、スケールは陸戦スケールの25分の1で完成サイズ全長73センチという堂々のビッグモデル。でも、難易度はなぜか5段階評価の4(難しい)だ。
そして、価格は80ポーランドズロチ(約2600円)、レーザーカット済み厚紙セットも同じく80ズロチ(約2600円)となっている。
日本ではなかなかキットの手に入らないヨーロッパの蒸気機関車。しかも、1910年代の車輌となれば入手の困難さはなおさらだ。蒸気機関車ファン、プロイセン王国鉄道ファン、そしてポーランド国鉄ファンはこのキットを見逃すべきではないだろう。



キット画像はMODELIK社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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