Orel ソビエト軍 掃海艇T-407”Мина” & 対潜哨戒艇”СК 065”

相変わらず今日もまぁ、暑いわけで、全国85箇所で猛暑日ですってよ。とはいえ、このブログで暑いと言うことで気温が下がるわけでもないのでこの話題はここで終了だ。
そんなことよりも、ここしばらく黒海艦隊をこっそりと拡充しているウクライナOrel社から、今年春にリリースになっていた新製品をしよう。
本日紹介するのは、ソビエト軍 掃海艇T-407”Мина” と 対潜哨戒艇”СК 065”だ。

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もう、ソビエト海軍というだけで忘れようにも思い出せない感じのマイナージャンルなのに、その上に小艦艇と来ては、どんなアイテムなのか確認するだけでも一苦労。あぁ、義経、義経、といった感じだ(苦労と九郎判官をかけています)。
このキットは表題が 「Т-407 «МИНА» и «МО-4» (СК 065)」 と併記なっているが(ロシア語の文章で単語の間に「и」の一文字が書いてあった場合、「&」の意味と思ってほぼ間違いなし)、別にコンパチキットなわけではなく、掃海艇T-407”Мина” と 対潜哨戒艇”СК 065”の2隻セットとなっている。あまりにもマイナーなので、掃海艇ファンと対潜哨戒艇ファンの双方にアピールしようという安全策なのか。それにしては表紙がT-407МИНАしか描かれていないが、СК 065ファンはどうすればいいのだろうか。ひょっとすると左後方にボンヤリと描かれているのがСК 065なのか?

さて、ちょいちょいとインターネットをウロついて探してきた情報で知ったかぶりをすると、まずT-407「Мина」は戦前に建造された掃海艇である。「掃海艇」というと、どう聞いても機雷を除去する船にしか聞こえないが、どちらかというと赤軍のこの艦種は機雷敷設を主な任務としている。ソビエト海軍にはこの「掃海艇」とは別に、「機雷敷設艦」という艦種もあるが、なにがどう違うのかはさっぱりわからない。
日露戦争で日本軍の戦艦を機雷で沈めたロシア海軍はソビエト時代になっても機雷が大好きで、戦前から多数の掃海/機雷敷設艇をワッショイワッショイと建造しており、T-407は、その中のプロジェクト53シリーズの一隻である。プロジェクト53シリーズはほぼ同型のプロジェクト3、プロジェクト58とまとめて「Фугас」 (Fugas)級と呼称されることもある。ちなみに「Фугас」というのは、地雷のことだ。えっ!? 地雷? 掃海艇の名前が「地雷」!? というのも気になるが、そもそも最初に完成したわけでもないT-204「Фугас」がネームシップになっているのも意味がよくわからない。
T-407「Мина」(Mina)は1937年に進水した船で、艦名の「Мина」は、英語で「Mine」、すなわち機雷を意味しているっ……て、おいおいおい、掃海艇「機雷」って、なんかおかしくないか!? ネームシップT-204が「地雷」、T-407が「機雷」って、あぁた。ちなみにFugas級が全部そんな感じの名前かというと、Т-405は「Взрыватель」(起爆装置/雷管)、Т-7はВеха(測量棒)だったりするので、工兵装備から名前をつけているのかもしれない。それにしても「起爆装置」なんて名前の船、乗るのイヤじゃないんだろうか。
T-407「Мина」は黒海艦隊に所属し、オデッサ撤退戦、セバストポリ脱出戦、ノヴォロシースク防衛戦などに参加。枢軸軍の小艦艇、航空機、潜水艦と戦いながら輸送船を護衛し、多くの兵員や物資の輸送に従事した。 ……ん? 潜水艦?? ボスポラス海峡で地中海と隔てられた黒海に枢軸軍の潜水艦? と、思って調べてみたら、黒海に面したルーマニアが潜水艦3隻、イタリア製の小型潜水艦5隻を保有し、ドイツは6隻のIIB型Uボートを分解陸送、イタリアもルーマニアに供与したのと同じCB型小型潜水艦6隻を派遣しているので、あながちデタラメというわけでもない。
T-407「Мина」は黒海の戦いを生き抜き、1944年7月22日、赤旗勲章を授与されている。

さて、キットの方はもう一隻СК 065が残っているが、あんまり文章が長いと読んでる方もウンザリするだろうからここで一旦、Orel公式サイトの完成見本写真を見てみよう。

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なんか写真がブツ切りで、「それなんて合体掃海艇?」状態なのだが、公式フォーラムでの写真がこれしかなかったんだから仕方ない。
ここでは、艦尾から落として敷設する機雷が自分の尻に当たらないように、デッキが大きく後ろに飛び出していることに要注目だ。意外と細かい火砲のディティールもよく見ておきたい。

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ブツ切り写真じゃわけがわからんので、全体像を見るためにも組み立て説明図を引用しておこう。グレースケールの美しいCG表現で、クローズアップ方式となっているようだ。各部のディティールがかなり細かいこともよくわかる。

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さて、一方こちらはもう一隻の 対潜哨戒艇”СК 065”の全体像。なぜかこちらは完成写真がないので、この画像で雰囲気をつかんでもらいたい。
СК 065 は Т-407よりもさらに小柄な船で、MO-4型対潜哨戒艇の1隻である。この「MO」は「MалыйОхотник」すなわち、小型哨戒艇の頭文字で、諸外国の「高速魚雷艇」と似たような大きさ、性能を持っている。高速魚雷艇とMO艇の違いは装備と任務にあり、MO艇は魚雷を積まず、代わりに対潜水艦用に爆雷を装備していた。高速で爆雷を落としてどうするつもりなのかよくわからないが、ソビエト海軍はうっかりとMO艇を350隻も作ってしまい、そのうち250隻がMO-4型であった。なお、MO艇は木造の非装甲艇だったが、後に装甲を付与した「БМО」艇が開発されている。
MO艇はバルト海では数隻のドイツ軍Uボートを沈めており、そのうちの一隻、U-250からはドイツ軍の秘密兵器、音響探知魚雷が無傷で回収されている。
枢軸軍潜水艦の少ない黒海ではこのような派手な戦果はないが、その高速を生かして枢軸軍小艦艇の妨害や上陸部隊の支援、物資の補給などに活躍した。MO艇は静音性に優れ、特に夜間の隠密行動を得意としたようだ。
このMO艇の中で最も有名なのが、今回キット化された黒海艦隊所属のСК 065で、1943年7月にこのクラスの艦艇としては最初で最後の「親衛」(Гвардейский)の称号を受けている。受けているけれども、どうして受けたのはどこにも書いてないからわからない。

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こちらはСК 065の細部の組み立て説明。MO艇の特徴である爆雷が剥き出しで甲板に載せてあり、小柄ながらもなかなか制作は手ごわそうだ。

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テクスチャは汚しのないスッキリとした印刷。縮小しすぎてわけわからんくなってしまったが、画像は「407」の番号でわかる通り、掃海艇T-407”Мина”の一部。細かいパーツがぎっしりと並んださまは、なかなか壮観だ。

Orelのソビエト軍 掃海艇T-407”Мина” & 対潜哨戒艇”СК 065”2隻セットはスケールは200分の1の艦船統一スケール。小艦艇でこのスケールはちょっと珍しい。小柄な艦のために2隻セットといえども定価は63ウクライナフリブニャ(約700円)とお手軽設定。しかし、細部までこだわったパーツ構成のために難易度は3段階評価の「3」(難しい)となっているので油断は禁物だ。

ウクライナ人の黒海艦隊大好きっぷりが勢い余って車輌止めを超えてしまった感じのあるこのキットは小艦艇好きならもちろん、黒海艦隊コンプリートを考えているモデラーにとっても見逃せない一品となることは間違いないだろう。
開戦時、戦艦1隻、巡洋艦5隻、駆逐艦18隻、潜水艦44隻、砲艦2隻、掃海/機雷敷設艇18隻、魚雷艇84隻を保有していたソビエト黒海艦隊。Orelが次に黒海艦隊のどんなマイナー艦を模型化するのか、しばらく目を離すことは出来なさそうだ。


キット画像はOrel社サイト公式フォーラムからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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