WAK ソビエト軍戦車T-34"Rudy"、ドイツ軍重戦車 Tiger 2輌セット

梅雨が明けてからの連日の猛暑に、模型製作意欲も減退してしまう―― そんなモデラーも多いことだろう。本日はいつもと趣向を変えて、そういった「疲れたモデラー」のための一服の清涼剤、簡易モデルを紹介しよう。
今回紹介するのはポーランドのWAK社の新製品、ソビエト軍戦車T-34"Rudy"と、ドイツ軍重戦車 Tigerの2輌セットだ。

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いきなりの完成見本写真だが、なにしろ戦車1輌がA4で2枚、それが2輌ぶんでA3の用紙二枚を半分に折っただけのキットなので表紙のようなものはない。
車両そのものは超メジャーなものなので今更書くこともないのだが、このT-34/85、102号車”Rudy”についてちょっと補足しておこう。
この車両はポーランドで1966年から1970年にかけて放映されたテレビシリーズ「Czterej pancerni i pies」(犬と四人の戦車兵)に登場する戦車である。このシリーズはいわば「東欧版コンバット」ともいうべきもので、犬を連れたポーランド人の若者がソビエト軍指揮下のポーランド第1軍に合流し、戦車”Rudy”に乗ってドイツ兵を蹴散らしポーランドを解放するという連続戦争活劇だ。1エピソードは55分で、21エピソードが3シーズンに分けて製作された。
もちろん、この時期のドラマなので、ソビエトはあくまでも「ポーランドの解放を手伝ってくれる心優しい大国」として描かれているが、基本的に娯楽作品なのであまりうるさく言うのはやめておこう。
ポーランドではかなりメジャーな作品で、知り合いのポーランド人モデラーは「ポーランド人なら、誰もが登場人物にあこがれて『ごっこ遊び』をしたものだ。女の子だって、登場ヒロインの無線オペレーターかソビエト軍女性看護兵の役をやりたがった」と語っていた。

カンの鋭い読者なら、「T-34/85の定員は5人なのに、なんで戦車兵が四人なんだ?」と思ったかもしれないが、実は原作の小説では乗車は4人乗りのT-34/76だったそうだ。撮影用に状態のいい76が見つからず、85にしたために一人足りないというわけ。ちなみに編成は主人公にして、もと猟師で猟犬「Szarik」の飼い主であるJanek Kos(前方機銃手・兼無線手)、長身、怪力の装填手Gustlik、それからグルジア出身の戦車操縦の名手Grigorij、そして気象学者のインテリ車長Olgierd Jaroszだ(原作では、彼はロシア人だった)。すなわち、車長が砲手を兼ねている。決して犬のSzarikが砲手を務めるわけではない。
なお、車長のOlgierd Jaroszは物語の途中で戦死し(戦死のシーンは描かれていない)、なぜか(あるいは「当然に」)主人公Janekが車長に大抜擢され、新たに陽気なTomekがメンバーに加わるが、この交代劇はどうやらOlgierdを演じる役者のスケジュールの問題と、Janek人気によるテレビ的な都合だったらしい。

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まぁ、キットの方はビギナー向けのごらんのような内容なので、ドラマの話を続けよう。
ドラマの撮影には車外からの撮影の他に、車内のシーンを撮影するために装甲板を一部切断したT-34が準備され、この車両はポズナニの装甲兵器博物館に現存する
なお、”Rudy”はシリーズ中に2回撃破されている。1度目はドイツ軍を追撃中に待ち伏せを受けて足回りを破壊され、車長を除く乗員は一時病院送りとなってしまう(この間に初代車長が戦死している)。2度目はドイツ軍に戦車ごと捕虜になってしまったメンバーが、悪のドイツ軍の射撃訓練の的として射撃実験場に送られるも、大暴走して逃げ出す途中で85ミリ高射砲で砲塔を吹っ飛ばされてしまう。砲塔が吹っ飛んでも、乗員は全員車体の中にいたから怪我ひとつなかったよ! とか、その後でそ知らぬ顔してRudyが復活してるよ! とか、1964年のソビエト映画「鬼戦車T-34」とプロットが途中まで丸かぶりだよ! とか、まぁ、いろいろ突っ込みどころはあると思うが、まぁいいじゃない。

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キットはホンモノのタイガー戦車だが、ドラマではT-34を改造した偽タイガー戦車が序盤の悪役として登場している。1960年代中盤、すでに東欧でも「ドイツ戦車といえばタイガー」というイメージがあった、というのは注目に値するだろう。なお、後半ではT-34を改造したパンターみたいな戦車や、どう見てもJS-2に鉄十字を書いただけのドイツ軍が押し寄せてくる。でも、
「戦車対戦車」の戦闘はあまりなく、Rudyが活躍するのは敗走するドイツ軍を追い掛け回すシーンが多いのは、リアルと言えばリアルだ。

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キットはあくまでも雰囲気を楽しむものなのでパーツは少なめ。ディティールのほとんどはテクスチャ表現となっている。
ドラマの舞台は1944年のバグラチオン作戦以降なのに、タイガーが初期型、しかもジャーマングレーなのはどうなのよ、ってのもこの際言いっこなしだ。
WAK ソビエト軍戦車T-34"Rudy"、ドイツ軍重戦車 Tiger 2輌セットはスケールはお手軽な50分の1。難易度はもちろん5段階評価の「1」(とても易しい)となっており、定価もなんともぶったまげの6ポーランドズロチ(200円)となっている。一輌あたり100円換算だ。

このキットで、それなんてラノベ? って感じの設定の「Rudy」に興味を持ったモデラーは、2005年にMały Modelarzから発売された25分の1Rudyを各地のショップで探すのもいいだろう。なお、Mały Modelarzは定期的にRudyのキットをリリースしているが、96年以前のキットは60年代にデザインされたヘンニョリした展開図なのでその手のマニア以外は注意が必要だ。
あと、どこか「犬と四人の戦車兵」を日本語字幕つきDVDBOXで出してください。お願いします。




写真はWAK社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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