MODELIK ソビエト軍汎用車輌 GAZ-69M

7月に入り、いよいよ猛暑の季節が到来した。日本の夏はヨーロッパの基準としてみれば「雨季」といっても良い湿度の高さで、カードモデルにはあまり適していない。特に今年は一般家庭にも節電が求められており、カードモデルをやろうと思ってエアコンの効いた部屋で手元のライトをつけた瞬間に全東京がブラックアウトする超大規模停電になったりした日には悔やんでも悔やみきれないだろう。
この、猛暑の夏、湿気の夏、そしてポーランドの夏休みに伴うネタ切れの夏をどう乗り切るのか。これは我々日本人カードモデラー全体の問題であると言っても過言ではないだろう。ネタ切れをどう乗り切るのかはモデラー関係ないか。
そんな、海の向こうでヤキモキしている個人ブロガーの事なんかは当然意に介さず、独自のペースでリリースを続けるポーランドMODELIK社の新製品から、今回はソビエト軍汎用車輌 GAZ-69Mを紹介しよう。

GAZ-69 okladka

これ、人乗ってるの? なんか、いつも寂しい感じの表紙でおなじみのMODELIKだが、今回は特に寂しい。なんだか燃料切れで乗り捨てられてしまった感じの情景だ(しかも、火星に)。
GAZ-69は、その名前でわかる通り、「ロシアン・フィールドカー」GAZ-67とレンドリースで大量に借りっぱなしになっていたウィリス「JEEP」が旧式化してきたので更新しましょ、JEEPそっくりなのも、なんだか世間の風当たりが辛いし、ということで1950年代から生産が開始された汎用車輌である。でも、戦後10年を待たずにGAZ-67とジープから更新されたGAZ-69は、どういうわけかUAZ(”Ульяновский Автомобильный Завод”、「ウリャーノフスキー自動車工場」)に生産拠点を変更しながら1972年まで20年も生産が続けられている。そんなに使い勝手が良かったんだろうか。なお、GAZ-69はルーマニアのARO(”Auto Romania”)でもライセンス生産されている。
GAZ-69は約60万輌が生産されたが基本バリーションは少なく(勝手に改造された車輌はとってもたくさんある)、基本タイプの「GAZ-69」、そしてキャビン部分が延長されて4ドアになった「GAZ-69A」しかない。(ハードトップを載せた車輌を「GAZ-69B」としている資料もあるが、どうも改造車輌っぽい)。
じゃあ、タイトルの「GAZ-69M」ってのはなんなのよ? となると、これが実はわからんくて、どうも共産圏各国へ輸出するためにそれぞれの国の事情に合わせて小改造をくわえたのが「GAZ-69M」なのかしらん?
ちなみにGAZ-69は、映画「硫黄島からの手紙」で日本軍車輌としてほぼ無改造で出演している。へー。
なお、基本バリエーションの少ないGAZ-69だが、水陸両用ボディを乗せたGAZ-46MAVという発展版車輌がある。この車輌はなんだか気まずいぐらいにフォードGPA「SEEP」にそっくりだが、これは戦時中にボディデザインのライセンスと工具一式をフォードからちゃんと買ってるのでパクりじゃないぞ。また、3М6”Шмель”(NATO名称「AT-1”Snapper”」対戦車ミサイルを4基搭載した2P26という、なんともヤケクソ感漂う「対戦車車輌」のベースともなった。

さて、そんなどうにも地味な車輌、GAZ-69の完成見本写真をさっそく見てみよう。

GAZ-69 foto.1

うーん、地味だ。なんとも地味だ。そして、毎度のごとく塗られている。JEEPなんかだと、尻についている予備タイヤが車体側面に装備されているが、これには何か理由があるのだろうか。どう見ても「不整地ではこのタイヤが地面について車体底を擦るのを防ぐんだ!」って機能があるようには見えないし。少しでもJEEPと差をつけたかったんだろうか。

GAZ-69 foto.3

お尻。4輪オフロード車輌として車体クリアランスが広く取ってあるのはいいのだが、ギヤハウジングケースが普通の位置にあったら、ここがぶつかって車体が高くなった意味があんまりないような気もするのだが、いいのだろうか。60万輌も作ったんだから、いいんだろうな。あと、この車バックミラーがないけど?

GAZ-69 foto.4

なんか横転事故を起こしたようにしか見えないが、車体下部ディティールの参考写真だ。ソフトスキン車輌の「見所」であるエンジン、シャーシがほどよい省略をされながらも雰囲気のある再現をされていることがわかる。あと、排気管の終わりがやたら中途半端だ。

GAZ-69 ark.1GAZ-69 ark.2

テクスチャーは汚しのないスッキリとしたタイプ。ここではノリシロ部分が淡い部品色で塗られている点に要注目だ。ノリシロの白はうっかり接着がずれて見えてしまうとやたらと目だってしまうので、この気遣いは嬉しい。
なお、このキットは1998年に手書きでリリースされたキットの「デジタルリマスター」版なので、部品の合いには十分な注意が必要だろう。

GAZ-69 - rys.1

組み立て説明書はグレーで面を塗った、なんだかパースの怪しいライン表現となっている。立体にほとんどパースがついていないんで、しばらく眺めていると騙し絵みたいに凹凸が逆転して頭がクラクラしてくるぞ。

MODELIKのソビエト軍汎用車輌 GAZ-69Mは陸戦スケールの25分の1で完成全長約15センチという小柄なキット。難易度表示が5段階の「4」(難しい)なのは、手書き展開図のリマスターであることを考慮しての評価だろうか。しかし、定価は20ポーランドズロチ(約700円)と、お手軽な価格設定となっている。また、レーザーカット済みの芯材用厚紙(手で切り取るのはとっても面倒なタイヤのトレッドパターン入り)は15.01ズロチ(約500円)での同時発売だ。

50年代から60年代といえば、この時代のアイテムはなかなかキット化されない「ミリタリーアイテム不遇の年代」と言えるだろう。そんな中でも、ソフトスキンというさらにどうでもいい感じのキットがリリースされる機会はなかなかない。そういう意味では、ソフトスキン好きならこのキットを見逃すことはできないはずだ。MODELIKのGAZ-67やJEEPと並べて、その違いを確認するのもおもしろいだろう。
どうせなら水陸両用車GAZ-46MAVとか「対戦車車輌」2P26なんかも悪乗りしてリリースして欲しかったが、このキットのデザイナー、Adam Kolczarek氏は2000年前後にドイツ軍の「シュヴィム・ワーゲン」など、ちょっと変わったソフトスキン軽車輌をいくつかデザインした後は名前を見かけなくなってしまったので、引退してしまったのかもしれない。従って、そういったどっちかというと彼岸に行ってしまった感じの車輌のリリースは、氏の意志を次ぐ後継者の登場を待たなければならないようだ。
なお、Kolczarek氏は以前にMały Modelarzでもまさかの別設計のGAZ-69Mをリリースしたことがあるという。どんだけGAZ-69が好きなんだ。



画像はMODELIK社サイトからの引用。


*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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