GPM アメリカ軍軽戦車 T1E1

夏休みを前に、ポーランドカードモデル界で新作ラッシュが続いている事は先日お伝えした通りだ。ポーランドGPM社は、これまでは比較的リリースペースは遅い方であったのだが、今年は夏を前に大量リリースを行った。(でも、そのうち2キットは「ワルシャワ級モニター艦」だ)
本日は、そんなGPMの夏の作品群のなかからもう一つキットを紹介しよう。

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なんじゃこりゃ。
ポーランドの聞いた事もない試作戦車?
と、思ったら、泣く子も黙る米軍様(トモダチ作戦ありがとうございました)の戦車だった。
第二次大戦の米軍軽戦車といえば、M3「スチュワート」が有名だ。その前身、M2軽戦車は一見、良くにているが誘導輪が小径で接地していない、という差異がある。
じゃあ、「M1軽戦車」ってのはどんなのよ? というと、この「T1E1」が嬉し恥ずかし、その幻の「M1軽戦車」の試作型だ。
ただ、「試作型」とはいったものの、1928年1月に制式化されたM1軽戦車はわずか二ヵ月後の3月になぜか制式化が取り消されてしまい、おそらく「量産型M1」という車輌は存在しない。
制式化が取り消された理由ははっきりしないが、二人乗りで武装が37ミリ砲じゃアンタ、ルノーFTよりも速度が速いってことしか利点がないんだから、いくらなんでも量産しても使い道ないでしょう、と担当者がハッと目覚めたのだと思われる。うっかり大量生産しなくて良かった。
なかなか例のない「制式化取り消し」という辱めを受けたT1は数次にわたる改修を受け、車体レイアウトと車体形状と足回りとエンジンが変更され、乗員も4人に増えて機銃も装備したT1E4へと進化する。
1933年、ここまでやったら、もう別の戦車だってことに気づいた米軍は車輌名をT2軽戦車に更新。ビッカース6トンを参考にしていたT1後期の足回りをより単純なコイルスプリング型へと変更したT2E1がM2戦車として制式化される。今度は制式化は取り消されることはなく、改良型のM2A4では、それまでの受けを狙った感じの並列双銃塔が単一砲塔となり、良く知られたM2軽戦車の形となった。だから、このT1E1は全く似ていないがM3スチュワートのはるかご先祖様なのである。納得はいかないかも知れないが。

では、さっそく「元祖米軍軽戦車」T1E1の姿を公式ページの完成見本写真で見てみよう。

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左が車体前方にも見えるが、砲塔前の操縦席バイザーを見ればわかる通り、右が車体前だ。そう、T1E1はフロントエンジン形式だったのである。どことなく、第一次大戦の英軍戦車「ホイペット」を連想させるスタイルだ。でも、このレイアウトじゃ操縦士からは車体前方の地面は全く見えなかっただろう。


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車体前にはエンジンがあるので、乗り降りは車体後方から行う。後方だからって、こんな冷蔵庫みたいなでかい扉つけちゃっていいんだろうか。とってつけたような、車体左右の燃料タンクもなんとも言えない。

なんだか地味というか、たぶん、米軍ももう覚えてなさそうな感じのGPMのアメリカ軍軽戦車、T1E1は陸戦スケールの25分の1でも全長たったの15センチという小柄なキットだ。なにしろ二人乗りだからね。難易度も3段階評価のうちの「2」(普通)、定価は30ポーランドズロチ(約1000円)となっている。

GPMのキットはデザイナーの名前が明記されていないことが多いのだが、今回のキットはデザイナー名がはっきりと書いてあった。このT1E1のデザイナーは、なんとWAKで一式装甲兵車をリリースしたMichał Rafalski氏。マイナーな日本軍車輌をモデル化することで有名な氏としては米軍軽戦車は珍しいような気もするが、この車輌のヘナチョコ具合を見ると、まぁ、これはこれでRafalski氏らしいような気もしてくる。
なお、Rafalski氏はカードモデラーの集まるフォーラムで次回作を聞かれ、「フランス軍のシャールB1か、ソビエト軍のヴォロシロベッツ砲兵トラクターをやろうと思う」と語っている。他にも未確認ながら日本海軍の特四式内火艇、「カツ」をデザインしているとも取れる書き込みもあり、これからも氏の暴走っぷりからは注目に値する。
また、この場を借りて追記させていただくが、今見たら先日紹介したGPMのポーランド軍ワルシャワ級モニター艦のキット紹介にも作者名の記述があった。こちらの作者は、なんとHalinskiのタイガー戦車をデザインしたMarian Sobel氏! もしかしてGPMでは、今後は外部のデザイナーからも積極的にキットの買い入れを行うということなのだろうか。GPMのこの新方針(たぶん)が今後どのように進展していくのか、こちらの動きからも目を離すことはできなさそうだ。



写真はGPM社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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