MODELIK イギリス連邦軍輸送車 CHEVROLET 15 CWT

速度が重視される現代戦では、戦場で派手に殴りあう戦車だけではなく、後方で兵士を輸送する非装甲輸送車の数も勝敗には大きく影響する。第二次大戦でのドイツ軍の輸送車輌と言えば、オペルブリッツが有名だ。模型マニアなら、ホルヒ、クルップ”ボクサー”、シュタイヤーなどの名前がスラスラと出てくることだろう。今回は、ホルヒやクルップを過去にリリースしており、輸送車輌キットも充実しているポーランドMODELIK社の新製品の中から、イギリス連邦軍輸送車 CHEVROLET 15 CWTを紹介しよう。

Chevrolet okladka

ドイツ軍ならオペルブリッツ、アメリカ軍ならGMCトラック、ソビエト軍ならZiS-5トラックが各軍「定番」の非装甲輸送車だが、ではイギリス軍の「定番」といえば? といわれてもなかなかピンと来ないものだ。ここで「AEC マタドール!」と即答できる読者はアドバンスド大戦略の相当なファンだろう。だが、AECマタドールはもともは民生用で、英軍には少数しか納められていない(シャーシを流用したドチェスター装甲指揮車は有名だが)。
そんな、言われないと思い出せない英軍の「定番」トラックが、この「CHEVROLET(シボレー)15CWT」トラックだ。
イギリスにも、モーリスとかベドフォードとかAECとか良く知らないのとか全然知らないのとか、色々と自動車メーカーはあるのだが、このような非装甲車輌のほとんどを生産したのは同じ英連邦の国、カナダであった。1930年代、カナダは来たる次の大戦でもイギリスと足並みを揃えることはすでに覚悟を決めていたが、さて、そんじゃどうやって英連邦に貢献するのよ? となった時にカナダ戦争省とカナダ軍は「自動車をいっぱい作りましょう」という結論に達した、というから随分先進的だ(イギリス側から「カナダ君とこは自動車を4649!」と依頼があった、とする資料もある)。
そこで、カナダ・フォードとカナダ・GMCは「戦時標準車輌」ともいうべき仕様を提出、これが採用され「CMP(Canadian Military Pattern)トラック」として採用される。ここにカナダ・シボレーも加わった、いわば「カナダのBIG3」は凄い勢いで各サイズのCMPトラックを生産、その数は実に40万輌を超え(そのうち半分の約20万輌は、15CWTよりも大きい60CWT。「CWT」は「ハンドレッドウェイト」の略で112ポンド、約50.8キロ)、この数はドイツ軍が生産した全トラックの数を超えているというから、カナダが戦争に果たした役割というのはなかなか侮れない。
CMPトラックはレンドリースでソビエトにも渡っているらしいが、ソビエト兵がこれに乗ってる姿ってのはちょっと想像できないぞ。戦後も各地に余剰車輌が放出され、日本警察でも一時期使用されていたと云われている(映画「カリオストロの城」で銭型警部率いる突入部隊が乗ってくるのがCMPトラックだ)。

そんな、イギリス軍の影の主役、シボレー15CWTをさっそくMODELIK新作キットの完成見本写真で見てみることにしよう。

Chevrolet foto

いやいやいやいや、あのさ、「完成品が塗られてる」とか、「幌が明らかにキットのものではない」とかは、もう毎度の事だからいいけどさ、その「塗り」がキットと全然違う塗装ってのはアリなの?
だいたい、シボレー15CWTって米軍に供与されてたのかな。イギリス向けに右ハンドルになってるから米兵には扱いにくいんじゃ……あっ、もしかすると英国本土に展開していた米軍後方部隊ではイギリス車を使ってたのかな? バンド・オブ・ブラザースではアメリカ製のダッジだった気がするけど。
まぁ、いいや。CMPトラックは、この前傾した「デコっぱち」なフロントガラスがユニークだが、これはフロントガラスの反射が上空から発見され、航空攻撃を被るのを防ぐためだという。なお、CMPトラックのキャビンは時期によってNo11、No12、No13の3種類があるが、フロントガラスが前傾しているのはNo13キャビンの特徴だ。

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テクスチャは汚しのないスッキリとしたタイプ。そして、完成見本とは全然違う英軍の2色雲形塗り分け迷彩だ。
なお、このキットは1998年にリリースされたキットの「デジタルリマスター」版で、もともとは手書きの展開図をデジタル化したもの。内容にはほとんど変化はない、というのでパーツの合いは手書き時代のままだと思われることに注意されたい。

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組み立て説明書はグレーで面を塗ったライン表現でクローズアップ方式。シャーシの構造から、この車輌が4輪駆動のシボレーC15Aであることがわかる(2輪駆動は「C15」)。組み立て説明書から読み取る限りでは、シャーシは再現されているがエンジンはないようだ。
ちなみに、CMPトラックは共通仕様で生産されているが駆動系やエンジンはそれぞれのメーカーで差異があり、例えばエンジンはカナダ・フォード製なら3.9リットルV8エンジン、カナダ・シボレー製なら直列6気筒3.5リットルエンジンであった。この2社はキャビンは共用だったが、V8と直6って同じキャビンに収まるのかい? なお、カナダ・GMCはアメリカ製の直列6気筒4.4リットルエンジンを搭載したが、さすがにこれは共用キャビンに入らなくってボンネットが飛び出した。

地味だが、イギリス連邦軍には欠かせない重要な車輌、CHEVROLET 15 CWTは陸戦スケール25分の1で完成すると全長約18センチというなかなか可愛らしいサイズ。しかし、ソフトスキン特有のシャーシの工作と基本的には手書き時代の展開図であることを考慮して難易度は5段階評価の「4」(難しい)となっている。定価は29ポーランドズロチ(約950円)、またレーザーカット済み心材用厚紙は15.01ズロチ(約500円)での同時発売だ。
ソフトスキンファンなら同社のホルヒ、クルップトラックと並べてみるのもいいだろう。また、カナダ軍ファンとしても見逃せない一品となっている。
なお、どうしてもっと大量に生産された60CWTじゃなくて15CWTなんだろう、という疑問を抱く読者もいるかもしれないが、ベテランモデラーならこの疑問には即答できるだろう。そう、60CWTは模型化されたことがないが、15CWTは昔、イタレリが35分の1で出したことがあるのじゃよ。きっと、それを、アレして、ナニしたんだろうね……



画像はMODELIK社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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