MODELIK ソビエト軍汎用トラック GAZ-AAA

プラモデルの世界でも、最近はソフトスキンの軍用トラックがリリースされるようになってきたが、カードモデル界ではかなり古くから各種の軍用トラックや、なんか良く知らん重機などのキットが盛んにリリースされていた。
今回は、そんな東欧モデラーの「トラック好き」がうかがえるキットをピックアップしよう。
本日紹介するのはポーランドMODELIK社の新製品、ソビエト軍汎用トラック GAZ-AAAだ。

GAZ-AAA okladka

今回も、表紙はいつもの「MODELIKタッチ」ではなく、CGとなる。微妙にうすら寂しい表紙だが、背景の建物の窓から見える(あるいは窓ガラスに写りこんでいる)レンガパターンのテクスチャがスケールを全く無視しているのは、この際黙っておこう。あと、屋根部分のレンガの積み方も変だと思う。

以前、ソビエト陸軍装甲車 BA-27Mを紹介した時に「ソビエトはアメリカからフォードAAを輸入していた」と書いたが、これまた正確ではなくて、正しくはフォードとソビエト連邦という資本主義の巨人と共産国家のまさかのタッグで生み出された「ニジノ・ノブゴロド自動車工場」(Нижнем Новгороде Автомобильный Завод、ННАЗ)というところでソビエトはフォードAAトラックのライセンス生産を行っていた。しかし、ソビエト人はこの(ライセンス生産とはいえ)せっかくの国産トラックを「フォード」と呼んでいた、というから勘違いするのだ。すまん。
フォードは本国アメリカではしょっちゅうモデルチェンジを行い、ユーザーの購買欲をビリビリと刺激していたのだが、そうすると古い工作機械(特に、ボディをプレスするための機具)が余剰となる。それをソビエトに売りつけていた。さすが「合理化の鬼」、ヘンリー・フォードだ。
さて、1932年、ННАЗ工場のあったニジノ・ノブゴロドはこの町が生んだ偉大な革命的作家「マクシム・ゴーリキー」(「どん底」を書いた人)にちなんで「ゴーリキー」(Горький)に名前が改められる。それに伴い、「ニジノ・ノブゴロド自動車工場」も「ゴーリキー自動車工場」、すなわち「ГАЗ」(GAZ)となった。
ГАЗではフォードAAの国産型、GAZ-AAの1軸リアアクセルをTIMKENの2軸に変更したGAZ-AAAを開発する。なんだか企業の格付けみたいな名前だが前後輪2軸がGAZ-AA、前1+後2の3軸がGAZ-AAAと「Aの数が軸の数」と覚えるといいだろう。なお、資料の読み方によっては「フォード・ティムケン」というのはGAZ-AAにティムケンのアクセルを後付けした改造車輌とも、GAZ-AAAの別名とも解釈でき、どちらが正しいのかはわからなかった。まぁ、所詮は正式名じゃなくて「愛称」だ。たぶん、テケトーだったのだろう。

では、さっそく完成見本写真を見てみよう。

GAZ-AAA Foto

せっかくの完成見本写真なので、画像は大きめにしてみた。
GAZ-AAAは戦時中にはフェンダーがただの板になり、ヘッドライトは片方、ダブルになっている後輪もそれぞれシングルとし、バンパーもない上にフロントブレーキまで省略したなんとも危なっかしい「簡易生産型」が登場するが、このキットは戦前の余裕のあった時期のタイプとなる。
それでも、ヘンリー・フォードとロシア人気質という「いらないものはトコトンいらない」コンビが作り出したキャビンはかなり簡単な構造となっており、キットでもあっさりと(しかし雰囲気は十分に)再現されていることがわかる。それに対し、後輪のティムケン2軸リアアクセルの細かいディティールには要注目だ。

GAZ-AAA Ark.2GAZ-AAA Ark.3

テクスチャはいつものMODELIKスタンダード、汚しのないスッキリしたタイプだが、左画像を見るとわかる通り木製の荷台には木目テクスチャが印刷されており、質感を高めている。この表現はプラモデルでは難しいのでなかなか嬉しい。

GAZ-AAA rys.3GAZ-AAA rys.4

組み立て説明はグレーで面を塗った表現で、ステップ・バイ・ステップ方式となっている。右画像右上の方の、ボンネットの芯材組み立て図を見ると、どうやらエンジンは再現されていないようだ。

勘のいい読者はすでに気づいていると思うが、今回のキットの設計者は同じシャーシを使っているBA-27Mのキットと同じ”Jerzy Janukowicz”氏だ。そして、せっかくなので今回は燃料補給車のサブタイプ、BZ-38も同時リリースとなる。これぞ「東欧的合理化精神」の見事な発露と言えるだろう。

GAZ-AAA BZ-38 okladka

CGなのに微妙にパースが怪しい気もする表紙だが、後ろの飛行機の周りにいる連中はいろんな意味でヤル気が感じられない。真ん中のヤツの体、四角いし。まさか、こいつらガス欠で不時着したんじゃないだろうな。

GAZ-AAA BZ-38 Foto.1GAZ-AAA BZ-38 Foto.2GAZ-AAA BZ-38 Foto.3

なぜかこっちのキットの完成見本写真は一枚づつバラバラだ。燃料タンクを積んだせいで、荷台の下に入れていた予備タイヤはボンネットの脇へと移動したが、フェンダーと干渉するためにフェンダーにヘコミが作ってあったりするのが、なんとも無理やりで楽しい。これ、サスペンションが縮んだら前輪ぶつかっちゃうんじゃない? 後輪フェンダーの上に載せてある魚の骨みたいなものは軟弱地を走るときに後輪に巻く履帯である。後ろ向きのライトは、いったい何がしたいんだろう? 補給作業用照明灯なんだろうか。ちなみに車体後部は全部が丸々燃料タンクなわけではなく、タンク後部の扉を開けるとポンプ操作用のパネルが入っていたり(キットでは再現されていない)、ツール類の小ハッチもついている。

GAZ-AAA BZ-38 Ark.2GAZ-AAA BZ-38 Ark.3

表紙では後部のみ迷彩がしてあるというヤル気の感じられない塗装だが、実際のキットではどうやらキャビン部分にも迷彩が施されているようだ。

ソビエト機械化部隊を支えた重要な脇役、GAZ-AAAと燃料補給車BZ-38はスケールは陸戦スケールの25分の1で約22センチと、それほど大きな車輌ではない。難易度は5段階評価の「4」(難しい)、定価はGAZ-AAA、BZ-38とも28.35ポーランドズロチ(約900円)とお手軽価格になっているので2輌一気に買ってしまってもいいだろう。
また、レーザーカット済みの心材用厚紙はGAZ-AAA用が15.01ズロチ(約500円)、BZ-38用が18.01ズロチ(約600円)という微妙な端数付きお値段で同時発売となる。

ソビエトの汎用ソフトスキン車輌といえば、ZiS-5トラックが有名だが、ZiS-5のキットはOrlik社からリリースされている。Orlikからは、Zis-5の燃料補給車タイプも発売されており、今回のGAZ-AAA、BZ-38とそれぞれ作り比べてみるのも面白そうだ。また、2軸のGAZ-AAは過去にAnswe-Angrafからリリースされており、ソビエト軍ソフトスキンファンのモデラーならこれも並べて置きたい。
もちろん、BA-27Mと3輌まとめて購入し、GAZファミリーを一気に楽しむというのも、ソビエト軍のトラック、燃料補給車、ケツのカタチが変な装甲車といった微妙な車輌に恵まれている、カードモデル界ならではの楽しみ方といえるだろう。



画像はMODELIK社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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