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Orel ソビエト軍戦闘機 Ла-5

先日、MPModelからリリースされたフランス軍戦闘機 Bloch-MB152を紹介した時に「空冷エンジンなのにカウルを絞ったら冷却が不足してエンジンパワーが低下した」と書いたが、空冷エンジンは一番先頭に大きな円盤型のエンジンがドンと鎮座するので、その空気抵抗をできるだけ減らしたい気持ちはわかる。
今回はMB152と同様に空冷エンジンのカウル先端を絞り、それでいながら駄作にとはならなかった機体の例として、ウクライナOrel社が2010年の秋ごろだったかにリリースしたソビエト軍戦闘機 Ла-5のキットを紹介しよう。

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なんだか、鳥山石燕の描く妖怪画みたいなノーズペイントがされていて、すわ「打ち捨てられЛа-5戦闘機が妖怪と化したのか!?」と思われがちだが、本当にこういうペイントをしたエースがいたらしいんだから仕方ない。
第二次大戦中のソビエト軍戦闘機は主に「Yak系列」と「Ла系列」にわかれるが(緒戦で消えたMiGのことは忘れよう)、双方のシリーズとも、基本的な設計は戦前に終わっており、大戦中はその発展改良型が出続けたに過ぎない。
「Ла系列」の基本となるЛаГГ-1(LaGG-1)は「新型戦闘機を作らなきゃ」ということで1938年から開発の始まった戦闘機だが、1939年のソ・フィン国境紛争でソビエト空軍機の旧式化が明らかとなり(フィンランド空軍だって、それほど新型の機体を持ってはいないと思うが)、「急いで量産して! 急いで急いで!」と言われて1940年に試作、試験をすっ飛ばして100機ほど量産してしまった機体であった。その結果、操縦性は劣悪、機動性も劣悪、着陸は至難、航続距離は不足、というトホホな性能に仕上がり、前線での評価はなんと「ポリカリポフI-16以下」という散々なものだった。
さすがに「交代するはずの旧式機より低性能」ではまずいので、1941年にはいろいろと改修を施したЛаГГ-3が登場する。この改修により機動性が上昇し、格闘戦なら敵機メッサーシュミットBf109F型に匹敵する性能を手に入れたが、それ以外の問題は基本的にそのまま。しかもЛаГГ-1から引き継いだ「機体が全木製」という意表をついた構造が仇となり、経験のない全木製の製作に現場は大混乱、完成した機体は個々の差が非常に激しく、中にはカタログスペックより最高速度が1割近く低い機体もあったとか。
操縦性が悪いだけでなく、速度もションボリしていたЛаГГ-3だが、「新型の航空機用エンジンの生産が軌道に乗るよ!」という連絡を受けラボーチキン設計局はエンジン換装でパワーアップを狙う。ところが、ЛаГГ-1、ЛаГГ-3のクリモフエンジンは液冷だったのに、今度のシュベツォフエンジンは空冷。形状や重量配分が全く違うのにラボーチキン設計局はこの改造をあっという間に終わらせ、新型機「Ла-5」を41年の年末までに完成させる。名前が「ЛаГГ」から「Ла」になったが、これはЛаГГ時代にラボーチキンと一緒に設計をしていたゴルブノフと、グドコフが「私たち、普通の設計者に戻ります」とこのころ独立したからである。
Ла-5は急いで作った割には速度、上昇力に優れ、ЛаГГ-3から良好な機動性も受け継ぎ、多数が実戦投入されたスターリングラード戦ではドイツ空軍機と激しい戦いを繰り広げたのである。ソビエト空軍はЛа系列がものになるまでよく我慢したもんだ。
ちなみにソビエト最大のエースであるイワン・N・コジェドゥプ(62機撃墜)は、Ла-5の発展型であるЛа-7でメッサーシュミット262ジェット戦闘機を撃墜したこともあるという。

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あいにくと完成写真はなかったので、展開図だけで話をなんとかしよう。
テクスチャは汚しのないスッキリとしたタイプ。妖怪みたいな塗装はゲオルギー・D・コスティレフ(Георгий Дмитриевич Костылёв)の機体だが、資料によって1943年~1945と時期がバラバラ。場所はレニングラード方面。コスティレフは撃墜数も「個人での撃墜は20機程度であとは協同撃墜」としている資料や「生涯43機撃墜」としている資料もあったりして、わけわからん(撃墜マーク数は43個)。ちなみにコスティレフはクロンシュタット軍港で戦艦マラートが撃沈された時に上空におり、ドイツの破格の急降下爆撃マスター、ハンス・ウルリッヒ・ルーデル(戦車519輌撃破)と空中で出会っていた可能性もある。
コスティレフの乗機は全体がグリーンに塗られていた、とする資料もあるが今回のキットではブルーグレー。でも腹面の青はさすがにビビッド過ぎではないかい?

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組み立て説明書はCG表現で、ステップ・バイ・ステップ方式とクローズアップ方式の中間型の表現のようだ。それはそれとして、コクピット内部やエンジンのパーツ構成が尋常じゃないぞ。

ソビエト戦闘機という地味なカテゴリー内にありながら妖怪風の派手なマーキングで異彩を放つOrel社のソビエト軍戦闘機 Ла-5はスケールは空戦スケールの33分の1。定価は67ウクライナフリブニャ(約750円)というお手軽設定だが、難易度は3段階評価の「3」(難しい)となっているので安易に手を出すと苦戦は必須だろう。
しかし、なかなかプラモデルでは良キットに恵まれないソビエト戦闘機をじっくりと楽しみたいソビエト空軍ファンのモデラーには、このキットは見逃す事はできない逸品となるだろう。


画像はOrel社サイト公式フォーラムからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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