MODELIK フランス軍重戦車 FCM 2C

もうすぐ四月だというのに、ポーランドからなかなか新製品情報が出てこず、「2011年はカードモデル不作の年か……?」と心配していたカードモデラーも多いことだろう。しかし、先日ついにポーランドMODELIK社から春の新作9連発という大量リリースの報せが届いた。半分ぐらいで一旦出せば良さそうなものなのに、会社の決算の関係でもあるのだろうか。
今回は、その9連発の中から衝撃的なこの一品を急ぎ取り上げたい。

FCM2C okladka

キタ!
ついにキタ!
東の怪物「T-35重戦車」に対する西の怪物、2C重戦車!!
Orlikからトゥラーン、ズリーニィがリリースされた時も「まさかこんなものが」と思ったものだが、ついに幻のフランス軍重戦車FCM 2C、カードモデル界に堂々の登場だ! なんか表紙の絵が妙に寂しい、とか細かい事はもはや言うまい。
FCM 2C(「シャール2C」とも言われる)は、第一次大戦末期に開発された戦車で、装甲は当時としては重装甲の正面45ミリ、これまた当時としては「巨砲」ともいうべき75ミリ砲を搭載、そして後にも先にもその大きさに匹敵する車輌はほぼ存在しないといっても過言ではない長さ10メートルの巨躯が特徴の重戦車である。車重68トンという車重は、なんとキングタイガーとほぼ同じというのだから名実共に「重戦車」だ。あまりに重いために当時のエンジンでは馬力が足りずにエンジンを2基搭載、さらにそのパワーに耐えられるトランスミッションが製作できなかったためにエンジンで発電してモーターを回すというハイブリッド方式を採用など、なにからなにまで空前絶後な車輌だった。
しかし、完成前に第一次大戦は終結、300輌の生産予定は破棄された。完成した10輌は第二次大戦に参加した(稼動車輌は故障などで6輌に減少、のちに破損車輌から使えるパーツを集めてもう一輌が再生されている)が、最高時速12キロではさすがに使い道がなく、鹵獲を避けるために後方へ退避しようと鉄道で輸送中に空襲等で身動きが取れなくなり自爆処分されている(前線への輸送中にドイツ軍の急降下爆撃で破壊されたとする資料もある)。
なお、1輌がドイツ軍に鹵獲されベルリンへ輸送されたようだが、戦後すぐに行方不明となった。おそらく、屑鉄として処分されてしまったのだろう。

FCM2C Foto

そして今、この凄いんだけどションボリな重戦車がカードモデルになって甦った!
作例がガッチリ塗ってあるけど、もうどうでもいいや!
FCM 2Cはその大きさからくるインパクトは抜群であるのに自分が知る限りインジェクションキットで発売された事はなく、モデラーの間では長らく「幻のアイテム」であった。
往年のモデラーなら、フジミ模型の「ワールドアーマーシリーズ」の「プラガ戦車」の箱絵の背景で2Cが撃破されていたのを覚えている事だろう(最近の箱絵は背景が白ヌキになっている)。あのころのプラモデルの箱絵はストーリー性のあるものが多かった。

FCM2C rys. kolor

キットのマーキングは97号車「ノルマンディー」となっており、砲塔にノルマンディー地方の紋章が入る。フジミの箱絵で撃破されているのもこの97号車だった。しかし、97号車は39年末に45ミリの増加装甲を増設する改造を受け、「ロレーヌ」(独仏国境地帯のアルザス・ロレーヌ地方の「ロレーヌ」)に名前が変更されていたらしいので、フジミの箱で「ノルマンディー」が撃破されているのはファンタジーだった、ということになる。そもそも2Cは戦闘に参加していないのだから撃破されようがない。
なお、この側面図の右上のノルマンディーの紋章は良く見ると部品番号がついており、砲塔に貼るパーツである。これがわざわざ別パーツになっているのは、たぶん、この側面図がピカピカのグロスのアート紙で、この紋章もピカピカの塗装を再現なのよ! ということだろう。

FCM2C Ark.2FCM2C Ark.4

今回の展開図はなぜかデジタルデータではなく写真で提供されている。
キットの版型はA3版だが、その長辺を使ってドーンと車体パーツが印刷されているのが目を引く。さすが長さ10メートル、普通の戦車の倍の長さの車体だ。
テクスチャは汚しのないスッキリしたタイプ。塗装はなんというか、いつもの「MODELIKグリーン」だが、「ノルマンディー」は微妙に2色迷彩されているように見えないこともない写真もある。

FCM2C rys.1FCM2C rys.2

組み立て説明書は面をグレーで表現したライン方式。基本的にはステップバイステップ方式となっているようだ。
なお、設計者は”Mieczysław Moczuk & Jan Kołodziej”となっているが、”Jan Kołodziej”氏はMODELIKでは機関車の設計を多数手がけているデザイナー。そして、”Mieczysław Moczuk”氏はこれまで全く名前の登場しなかった人物である。ひょっとすると新人Moczuk氏の設計をベテランKołodziej氏がサポートしたのかもしれない。だとすれば、第一作がFCM 2CというMoczuk氏の今後には期待せざるを得まい。

MODELIK社の超ド級の新製品、フランス軍重戦車 FCM 2Cはスケール25分の1でなんと全長41センチという「大物」キット。しかし、組み立て説明書を見てもわかる通り、極端に複雑な構造ではなく、難易度も5段階評価の「4」(難しい)に留まっている。
定価は56.7ポーランドズロチ(約1900円)、レーザーカット済みの芯材用厚紙が60ズロチ(約2000円)で同時発売となる。
タミヤからのルノーB1の発売でややメジャーとなった感はあるものの、まだまだ、まぁどうでもいい感じのフランス戦車。その中でもFCM 2Cという「超」の付くマイナーアイテムをいきなり年の最初にリリースするとは、今年もMODELIKの暴走っぷりから目を放すことはできないだろう。




画像はMODELIK社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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遂に!

とうとう出てしましましたね・・・。
これは是非ゲットせねばな逸品ですね。やるなあ~MODELIK!!
そう言えば設計途中でほったらかしになってるB1bisが有ったっけ・・・。(汗)FCM 2C発売記念で、復活かな?

Re: 遂に!

ナオさんこんばんは!
この喜び、驚きをナオさんならわかっていただけると信じておりました(笑)
文字通り「見逃せない」アイテムですね。
T-35、FCM 2Cと来ましたから、これはノイバウフォールツォイクの登場も夢ではないかも……あるいはインディペンデントも!←夢見すぎ。
シャールB1bisも、のんびりお待ちしています。是非とも恵まれないフランス戦車に愛の手を!

初めまして

のとっちょ様、初めましてこんにちは。リベットと申します。
FCM 2Cのネタでナオさんの所から辿ってきました。私は現在1/35でFCM 2Cを制作しており、是非購入して参考にしたいと思います。パッケージのダークイエロー系の塗装は初めて見ました。結構、新鮮です。カードモデルの世界って深いですねー。またお邪魔させていただきます。

Re: 初めまして

リベットさん、初めまして。
ブログ拝見させていただきました! 個人的に「ツボ」な車輌ばかりで、「自分は一人ぼっちじゃなかったんだ!」と嬉しくなってしまいました(笑)
複合曲面の苦手なカードモデルは、リベット構造、溶接構造と相性がいいので、トンデモ車輌が兵器でキット化される、という醍醐味もありますね。ちょっと情報を集めきれていないのでまだ記事を書いていないのですが、ポーランドのOrlikというメーカーからは今度K-Wagenがリリースされるそうです(25分の1で全長50センチ!)。
フラフラと迷走ぎみな拙ブログですが、今後ともよろしくお願いいたします。
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