Orel ソビエト/ロシア製旅客機「Ту-154Б-2」

今回紹介するのは「新製品」と、言うほど新製品でもないのだが、航空機のキットの中でもあまり数のない旅客機、それも我々には馴染のない旧東側の旅客機キットなので見逃すことはできない。紹介するのは今年3月に発売となった、ウクライナOrel社のキット、ソビエト/ロシア製旅客機「Ту-154Б-2」だ。

240_0_.jpg

いや、なんで、紹介がこんなに遅れたのかと言うと、このキットは今年の三月にリリースされたんですが、さて、紹介文を書こう、とした矢先にポーランド空軍Tu-154墜落事故が起きてしまいまして、ポーランドの大統領夫妻と陸海空3軍の最高指揮官を含めたポーランド政府の中枢96人が亡くなるという大惨事に、なんだか、機体の説明をどうやっていいもんだかわからなくなってしまって、放ったらかしになっておりました。
なお、厳密に言えば墜落したのはエンジンの換装や騒音対策が施された改修型のTu-154Mで、このキットのTu-154B-2とは細部で異なります。

とは言え、もはや事故からも半年。ポーランドの新大統領も決まり、政情も安定してきたようなので気を取り直して機体の説明をしよう。
東側の旅客機というと、「光栄」の「エア・マネージメント」という航空会社運営ゲームで東側の国を選んでプレイを始めると、使える機体がイリューシンとツポレフのショボショボ飛行機しかなくってションボリした覚えがあるが、Ту-154(ツポレフ Tu-154)は同時代の西側旅客機に比べて決して見劣りするものではなかった。

3発エンジンを尾部に集中し、尾翼をT字配置として高い位置に持ち上げたデザインは、西側ではおなじみのボーイング727を連想させるが、初飛行はツポレフが1968年、ボーイングが1963年とほぼ同時期となっており、性能も良く似ている。
この、尾部にエンジンを集中させるレイアウトは主翼下にエンジンを吊り下げる形に比べて地面と胴体の間を狭く、つまり機体の地上姿勢を低くできる利点があった。このため、大型の搭乗設備がない空港でも運用可能であり、着陸脚が短いために比較的荒れた滑走路も使用できた。これは、小さい空港の多い東欧圏などでは重要な要素であっただろう。
ちなみにライバルのボーイング727は、全く搭乗用の設備がない空港でも、空軍の輸送機のようにお尻に格納してあるタラップを降ろして乗降が可能であり、この点ではボーイングの方が一枚上手だった、というべきか。ところがこの構造のせいで、1971年アメリカで、人質の一部解放と引き換えに現金20万ドルとパラシュートを手に入れたハイジャック犯が国立公園上空でまんまと機体から脱出、現在に至るも消息不明という前代未聞の事件「D.B.クーパー事件」に利用されてしまった。通常の胴体側面ドアを開ける方式では、飛行中のジェット旅客機からの脱出不可能だっただろう。それにしても、犯人に渡したパラシュートのうち一つが地上訓練用で空中では展開しない構造だった、というのは「うっかり」ってレベルじゃないと思うがどうなんでしょう。なんでも、史上唯一の、身代金目当てで成功した(犯人が逮捕されていない)ハイジャック事件だそうだ。

いやいや、ボーイング727とD.B.クーパーの話はいいんだ。
Tu-154と、ボーイング727の最大の違いは、なんといってもその寿命だろう。同時期に就航したボーイング727が、すでにほぼ全ての主力航空会社から退役した(地方路線やプライベートジェットとしては残っている)のに対し、Tu-154はなんと現在でも生産中なのである。さすがに1990年代から後継機の生産に序所に切り替わってはいるものの、航法装置やエンジンの強化、改装などを続けながら東欧などでは多数が現役だという。西側の人間から見ると「そんな旧式の設計で危なくないの?」と思うが、東側の人間にしてみれば「これだけ古ければ、もう壊れるところは全部壊れて対策されている」ということか。

そんな東欧圏の代表的旅客機、Orel社のソビエト/ロシア製旅客機「Ту-154Б-2」はスケールは独特なサイズ、100分の1となる。ジェット旅客機をいつもの33分の1で再現されたら日本の小さい家は風が吹いたらキットと一緒に飛んでいってしまうので、これは嬉しい配慮といえるだろう。そして、定価は59ウクライナフリヴニャ(約700円)と、いつものお手ごろプライス。難易度は3段階のうちの「2」(普通)となっているが、コクピットが再現されているということなので、ベテランモデラーにも手ごたえのある内容となっていそうだ。また、ジェット旅客機独特の美しいラインを表現するのには、なかなかのテクニックが必要となるだろう。
旅客機好きのモデラーなら、キャノン クリエイティブパークから西側の旅客機の展開図をダウンロードし、作り比べてみるのもおもしろいのではないだろうか。



画像はOrel社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。


スポンサーサイト

テーマ : 模型・プラモデル・フィギュア製作日記
ジャンル : 趣味・実用

コメントの投稿

非公開コメント

展開図公開中
最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
プロフィール

のとっちょ

Author:のとっちょ
カードモデル初心者が苦闘するさまをご覧あれ。

検索フォーム
リンク(順不同、敬称略)
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード