マイナーアイテム列伝 ポーランド軍装甲軌道車輌 「Tatra」

本日は、相互リンクをしていただいている紙模型静岡工場さんが製作中のソコシャコフ装甲車を見ていて突如思い出した車輌があったので、それについてチマチマと。紙模型静岡工場管理人のナオさんは、くれぐれもお体にはお気をつけください。

このブログでは何度も繰り返されたフレーズですが、平原の国ポーランドは戦前から多数の機関車を保有する鉄道王国でした。
1939年の開戦時に10編成という多数の装甲列車を持っていたことでもわかる通り、軍も鉄道を利用した機動戦力とそれ自身の警備に大きな興味を示していたようです。

そんなわけで1926年、ポーランド軍はチェコのタトラ社に装甲軌道車を発注します。「軌道車」というのは、原語の「ドライジーネ」に適当な訳語がないために、たったいま勝手にでっち上げた用語です。連結して走るわけじゃないから「装甲列車」じゃないし、「自走装甲トロッコ」じゃ弱そうだし。
「ドライジーネ」と言えば、ドイツの重装甲ドライジーネが有名ですね。
こんなの。

479_2.jpg

写真はGPMのキットの完成品。GPMはこんなもんまでキット化してるんですな。もっと、他にやるべき事があるだろう、という気もしますが。

で、ポーランドからの注文に応えて、タトラ社が開発したのが、今回のネタである「Drezina Pancerna Tatra(装甲軌道車タトラ)」です。
これは、もちろんポーランド軍での呼称で、タトラ社での形式番号は「Tatra Typ 18」となります。
ポーランド軍はまず完成品として6輌のタトラを受領、チェコスロバキア陸軍も1輌を購入し、さらに車台のみの状態で9輌分がポーランド軍に納入されました。ポーランドは自前でほぼ同型の装甲ボディを載せ、合計15輌を配備しています。

そして、チェコ製ポーランド装甲軌道車なんていう、どうでもいい感じの車輌をわざわざキット化しているのは、もちろん、ポーランド軍マイナー車輌の強い味方、ポーランドGPM社です。
では、さっそくGPMのキットの表紙をどーん。

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ぶわっはっはっはっは!
かっこワルい!
これはかっこワルいぞ!
デザインしたヤツは、なんか悪いもんでも食ったのか? というかっこワルさだ!

ちっちゃいけど、完成品写真も。

2721_3.jpg

うーん、銃塔のハッチが開いているのも、なんだか「アメリカ横断ウルトラクイズ」で回答者が被ってる帽子みたいでキュート。
ちなみにこのキットは、手書き時代のものをデジタルでリペイントした再版版となっています。

2721_2.jpg

再版版では、さらにチェコスロバキア軍の幾何学迷彩版と、ドイツ軍接収後に鹵獲仕様版のテクスチャ、小改造パーツも入った(車内や足回りなどは1輌分)、3バージョンのコンパチキットとなっています。

武装の強化プランなどもあったようですが、タトラはエンジンが12馬力(18馬力説あり)と非力だったために加速が極端に遅く(最高速度は時速45キロ)、また、「よく考えたら、この程度の車輌のためにわざわざ新しく開発をしなくても、既存の戦車を改造すればいいんじゃね?」と気づいたためにタトラはそのまま放っておかれることとなります。
その代わりにポーランド軍が開発したのはルノーFT17軽戦車とTKS豆戦車を乗せる台車で、台車はそれぞれ、搭載した戦車の車軸にシャフトをつなげる事で、戦車のエンジンで自走できるというトンチの利いたしろものでした。
しかも、レールの上しか走れないタトラと違い、これらの戦車搭載台車はいざとなれば台車を切り離して戦車としても使えるという優れものだったので、タトラのパワーアップ計画はなかったことになりました。
なお、この2種類の戦車搭載台車のうち、ルノーFT-17を搭載するタイプは、以前にGPMからキットがリリースされていました(現在はカタログ落ち)。どこまでマイナーアイテムが好きなんだか。

1939年にドイツがポーランドへ侵攻した時点では、タトラは13号装甲列車と15号装甲列車に2輌づつが組み込まれていましたが、残りの車輌がどこへ行ってしまったのかは不明。そういえばチェコスロバキア軍の1輌もどこへ行ったんだろう?
なお、鹵獲されたタトラがドイツ軍1号装甲列車、及び7号装甲列車の編成に組み込まれていたようです。

ちなみにGPMのポーランド軍装甲軌道車輌「タトラ」はスケールは25分の1でも全長15センチという小粒なキット。定価は25ポーランドズロチ(約800円)となっています。
ひょっとすると、25分の1では最小の鉄道キットかも。
なんというか、キットを机の上においておくと、時々眺めてホンワカできそうな車輌です。

画像はGPM社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。

*9月26日追記
コメント欄で、紙模型静岡工場管理人のナオさんより、「軌道車」という言葉は内燃機関で線路の上を走る車輌を指す用語として実在する、との御指摘をいただきました。
慌てて検索してみると、日本軍の鉄道用装甲車に「九五式装甲軌道車」というのもあり、タトラの訳語も「軌道車」でいいようです。咄嗟に思いついた訳語でしたが、結果オーライ。っていうか、単に九五式装甲軌道車のことを頭のどこかで漠然と覚えていたのかも。
御指摘、ありがとうございました!
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軌道車で良いんでは?

今晩は。
不覚にも風邪を引いてしまい「あ~」とか「う~」といった状態の今日この頃です。(笑)来週は出張が2件も入っているので何とかこの土日で治さないとえらい目に遭いそうです。(しかも方や茨城・方や大阪と正反対じゃ!)

さて、とある本によると内燃機関の動力をもち、作業や警備、人員や物資の輸送の為に線路の上を走る車輌の事を<軌道車>っていうらしいのでタトラが当てはまるかどうかは微妙ですが、こんな言い方も有るよって程度に。

実はRENAULT R17 na prowadnicy szynowejもちゃっかり持っていたりします。(単純にFT17が欲しかっただけなんですが・・・。)

Re: 軌道車で良いんでは?

ナオさん、、こんばんは。
せっかくの週末なのに風邪を召されてしまうとは、「すごし易くなった」とは言うものの、いきなり涼しくなるのも困ったものです。しかも、来週には出張とのこと。くれぐれもお早い回復をお祈りしております。

「軌道車」の件ですが、検索をかけてみると日本軍の鉄道用装甲車に「九五式装甲軌道車」というのがありましたね。任務も良く似ているし、どうやらタトラも「装甲軌道車」で間違ってはいないようです。咄嗟に思いつきで当てた言葉だったのですが、結果的には問題ありませんでした。
ご助言いただき、ありがとうございます。

GPMのRENAULT R17、自分は気がついた時にはカタログ落ちしてて手に入れられなかったんですよー。ぜひとも紹介よろしくお願いします!
でもGPMなら、そのうちオマケをつけて再版してくれると信じています。たとえば、ドイツ軍のポーランド侵攻80周年とかに(笑)
展開図公開中
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