Orel ロシア帝国海軍モニター艦「Русалка」

ここ数日、関東では「春の嵐」とも言うべき強風が吹き荒れ、愛車のホンダCD-125Tのカバーが飛んでいったのを探しに行かなきゃ、という天候が続いているが、カードモデル界でも「春の嵐」、すなわち春の新作ラッシュが続いている。ちなみにわざわざCD-125Tに画像検索のリンクが張ってあるのは、自慢したいからだ。かっこいいだろー

今回は、日露戦争艦艇の連続ラッシュで艦船ファンをきりきり舞いさせているウクライナOrel社から、ちょっと毛色の変わった艦艇のキットがリリースされたのを紹介しよう。

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今回紹介するのはロシア帝国海軍の艦艇だが、日露戦争関係ではなく、モニター艦の「Русалка」だ。
「モニター艦」というのは -いまさら、説明するまでもないかも知れないが- 一言で言えば、低乾舷の船体に装甲を施し、旋回式砲塔に船体とは不釣合いなほど大口径の砲を搭載した艦であり、装甲艦のごく初期の形である。アメリカ南北戦争時の北軍の装甲艦「モニター」がその元祖だ。
これは、渡航性と凌波性を諦める代わりに重装甲、重武装を頼みに正面から殴り合えば非装甲艦には絶対に負けないという「不沈砲台」として使用されていた。

説明よりも、実際の艦影を見てもらえば、そのアンバランスさは良くわかるだろう。幸い、今回はOrel社にしては珍しくホワイトモデルでの試作完成写真が提供されている。

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見よ! これが19世紀装甲艦の雄姿だ!
写真中央右下の丸いのが砲塔ね。短い砲身(口径229ミリ)がピヨッと出てるのも可愛いぞ。たぶん前装砲だ。
ゲーム「女神転生」などで御馴染みのロシアの川に済む女性の姿をした妖怪にちなんだ艦名の「Русалка」(ルサルカ、もしくはルサールカ)は、1867年に建造されバルト海で砲艦として使用された。
しかし、波の荒いバルト海にモニター艦はあまり適していなかったようで、最初の航海時から波を被って浸水しやすく、また操艦性も悪かったらしい。

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1870年代に改修を受け多少は改善されたものの、モニター艦固有の問題としての凌波性の低さはいかんともしがたく、1893年にフィンランド湾(当時ロシア帝国領)を荒天下航行中に連絡を絶ち、そのまま亡失となった。船体は2003年にダイバーにより発見されたという。(キットは1886年時の状態)
元祖「モニター」も嵐で沈んだが、極端な低乾舷のモニター艦はとにかく嵐に弱く、蒸気機関の発展による出力の増大とともに、装甲艦はより大型化、本格化していき、やがて渡航性と戦闘能力を併せ持った「近代戦艦」へと発展していった。

あと、ゲーム「Civilization」に登場する「装甲艦」ってユニット、ガレー船は遠洋で遭難するのに装甲艦は遭難しないのって、ずるいよね。Civilizationやらない人には全く意味わかんないですね。

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クローズアップで見ると、今回のキットの細密さはより明らかとなる。砲塔の上にあるのは、多分87ミリ砲だと思うが、近接してくる小艦艇を追い払うのに必要だとはいえ、なんだか投げやりな感じの装備の仕方もぐっとくる。砲塔回したらここにいる砲員、よろけて落っこちちゃうんじゃないの?

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さらにクローズアップ。ガットリング砲の銃身、手摺の1本1本、救命ボートを吊るロープとその滑車、あらゆるものが再現されており、まるでいまにも水兵達がこのデッキに跳び出してくるのではないかというリアルさだ。

19世紀装甲艦の完全再現という野心的な試みを見事に達成したOrel社のロシア帝国海軍モニター艦「Русалка」、艦は全長63メートルという小型の艦艇だが、今回は100分の1スケールでのリリースなので全長60センチのビッグなキットとなる。展開図もA4が42枚という驚きの分厚さだ。気になるのはお値段だが、定価はお手頃な126ウクライナフリヴニャ(約1400円)だというのだから、モニター艦ファンとしては絶対に見逃す事のできないキットとなりそうだ。難易度は「3」(難しい)なので、短気を起こして机の上に嵐を起こしてしまわないよう、じっくりと取り組みたい。

画像はOrel社サイトからの引用。

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。
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No title

本家サイトのフォーラムで、これの開発過程を1年前から公開してたみたいですが、
予想以上にキチガイ突っ込んだ内容のモノみたいですね。http://www.papermodeling.net/forum/viewtopic.php?t=808

飾り台が単なる平板の組み合わせじゃなくフレームを組んでスキンを貼る構造なので
これだけで1~2ページ使ってるかもw
つか砲塔内部まで再現してるのがががが・・・

それ以外にも掲示板上でユーザーと考証の議論をやっているので、このキットの再現元の写真や図面が掲示されたりと、このキットを作るための資料集にもなってたり・・

とまぁ、ググルバーの翻訳で拾い読みしただけですが、向こうじゃあ結構前ド級時代の艦船オタが居て楽しそうですなw

Re: No title

おおお~~~っ!!
なんというディープな世界!!
思わず、時間を忘れて見入ってしまいました。
19世紀のモニター艦でこれだけ資料の飛び交う突っ込んだ会話がされるとは、ロシアのマニア恐るべし! といった感じです。
それにしても、砲塔の中狭そう……
展開図公開中
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