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DrafModel ドイツ帝国 潜水艦 UB-16・後編

またぞろ本業の方が追い込みで、また来週あたりから休日出勤になったりならなかったりしそうな筆者のお送りする世界のカードモデル最新情報。今回もポーランドDrafModelの新製品、ドイツ帝国 潜水艦 UB-16の続き。

UB 16_okladka_front RGB-1000x1000h

「目」のペイントについてもう少し。

German_Type_UB_I_submarine.jpg

Wikipediaからの引用で、UB-I 型潜水艦 UB-4。船体に「目」だけではなく、「蛇」が描かれているのがわかる。前回の写真でUB-2とUB-16には「目」しか描かれていないように見えたが、船体が真っ白に写っているので露出オーバーで白っぽい色の蛇のペイントはとんでしまっただけかもしれない。
なお、UB-4は1915年8月15日、釣り船に3ポンド砲(資料によっては6ポンド砲)1門を積んだ仮装商船、いわゆるQシップHM Armed Smack Inverlyon (排水量59トン)をただの釣り船だと思って接近したところ、砲撃され沈没した。

さて、いよいよ今回キット化されたUB-16の戦歴について。
1915年にAG ヴェーザーで建造され就航したUB-16は2月に各セクションが完成し、8両の貨車に積まれてベルギーへ運ばれた。アントワープで組み建てられたUB-16は4月26日に組み立てが完了、テストを受け5月12日に就航する。

小さすぎていろいろと問題のあったUB-I 型潜水艦だったが、UB-16は就航直後からイギリス近海で積極的にイギリス船を襲い、6月には小型漁船3隻(各60トン前後)、貨物船1隻(Leuctra、約3千トン)、汽船1隻(Tunisiana 、約4千トン)を沈めた。これらの合計、7432トンはフランダース艦隊全体の6月の戦果中、約半分に達している。
なお、これらの攻撃で沈んだ船に犠牲者は1名もいなかったそうだ(漁船は乗員を避難させたあとで自沈、汽船と貨物船は魚雷で沈めているが、無警告では被害者ゼロというのは難しいと思うので警告後に空になった船を撃沈したのだろう)。
さらにUB-16は7月に2隻、9月に3隻を沈めているが、このタイミングでルシタニア号撃沈で国際世論が激ヤバになったのでしばらく潜水艦の行動は制限されることとなった(1915年9月18日に無制限潜水艦作戦は中止となった)。

しかし、海上封鎖によりドイツの生活物資は不足するようになり、世界大戦はイギリスとの根比べの様相を示し始めた。
1916年からフランダース艦隊は行動を再開し、UB-16は1月に3隻、3月に2隻、4月に3隻を沈めている。
(これ以外に4月3日に中立国オランダの帆船をうっかり攻撃してしまい、破損させている)

この後、ドイツ帝国潜水艦隊はイギリス海軍の戦力を削るための対艦隊戦に投入されたが、低性能なUB-I 型潜水艦にそんな大それたことができるはずもなく、UB-16はこの時期に戦果は上げていない。
結局、対艦隊戦ではUB-I 型潜水艦は役に立たないことがわかり、UB-16は再度商船攻撃に戻る。
1916年8月にUB-16は2隻のノルウェー汽船を撃沈。ノルウェーは第一次大戦では中立国だったが、イギリス向け物資を積んでいたので撃沈されたようだ。

1916年から1917年にかけての冬には、いよいよドイツ帝国における銃後の生活は困窮し、いわゆる「カブラの冬」を体験。ドイツ帝国は英国を早期に講和のテーブルにつかせるため、無制限潜水艦作戦を再開した。
4月、UB-16はオランダの小型船舶1隻を撃沈、8月にはついにイギリス海軍R級駆逐艦 HMSリクルート(約千トン)を撃沈する。
ちなみに英海軍はR級駆逐艦 HMSリクルートの前に、C級駆逐艦 HMSリクルートという艦を保有していたが、この先代リクルートが1915年5月1日に撃沈されたので1916年12月に新リクルートが就航、一年ももたずに撃沈されてしまったことになる。なお、先代のC級駆逐艦 HMSリクルートを撃沈したのはUB-16と同型艦のUB-6だった。

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直接は関係ないけど、これもWikipediaからの引用で1917年3月、再開された無制限潜水艦作戦に出撃したものの、針路を誤りオランダ領海に入り込んで座礁、鹵獲されたUB-6。ヘレヴートスライスの港で撮影。UB-6は写真左側に写っているが、その背後の船(船名不明)の横っ腹にでっかく「NEDERLAND」と描かれているのが面白い。第一次大戦でオランダは中立国だったので、誤って攻撃されるのを避けるためだろう。

この後、UB-16の戦果は一旦途絶えるが、小型で扱いにくいUB-I 型潜水艦はこの時期、魚雷発射管を撤去し機雷敷設艦に改装されており、UB-16も同様の改装を受けたものと推測される。
なお、1918年3月に1隻、4月にもう1隻の撃沈が記録されているが、魚雷発射艦を撤去したUB-16がどうやって敵船を撃沈したのかよくわからない。資料には「沈没」としか書かれていないので、乗り移ったUB-16乗員が英国人船員を退避させた後で自沈させたのかもしれない(3月13日に撃沈されたLisette(約9百トン)は「魚雷により撃沈」と書かれている資料もあるが、このタイミングでUB-16が改装前だったというのは考えにくい)。

1918年5月6日、UB-16は哨戒のためにゼーブルッヘを出港した。
5月10日18時50分、UB-16はイギリス海軍E級潜水艦HMS E34に発見された。
E34は潜航し、距離約350メートルで魚雷2発を発射、1発はUB-16の艦首に命中したが不発、もう1発が船体中央に命中して爆発し、UB-16は撃沈された。UB-16の乗員、16人のうち、E34に収容された生存者は艦長のVicco von der Lüheだけだった。

UB-16 Arkusz 2-1000x1000h UB-16 Arkusz 1-1000x1000h

残念ながら完成見本はないので、公式サイトからの引用で展開図、組み立て説明図を見てみよう。
テクスチャは汚しのないあっさりしたタッチ。もちろん、艦首にはガッツリ見開いた迫力のある「目」のペイント。ちくしょう。まるで「ねじ式」の眼医者の看板みたいではないか。

UB-16 Instrukcja 1-1000x1000h UB-16 Instrukcja 2-1000x1000h UB-16 Instrukcja 3-1000x1000h UB-16 Instrukcja 4-1000x1000h

潜水艦なので本体はあっさりとした構造だが、艦橋の細かいディティールはなかなか手強そうだ。8ミリ機銃は甲板と艦橋に2丁描かれているが、資料では定数は1丁となっており、このように2丁積んでいることもあったのかはわからない。
こんな細かい機関銃を2丁も組むのはやってられん、と言うモデラーは、公式オプションパーツを購入してもいいだろう。

DRAF011R-2 Karabiny-550x550w

レジン製UB-16用8ミリ機銃2丁セット。お値段は16ポーランドズロチ(約500円)とお手頃価格。

DrafModelからリリースされたドイツ帝国 潜水艦 UB-16は小艦艇スケール100分の1でのリリース。小型なので完成全長も約28センチしかなく、展示スペースに苦労しているモデラーにもおすすめだ。難易度は書いてないからわかんない。そして、定価は20ズロチ(約700円)となっている。これぐらいのお値段なら、20冊購入してUB-I 型コンプを目指すのもいいだろうかと思ったけど、よく考えたらこのキットはAG ヴェーザー建造型だから、ゲルマニア造船所型8隻は組み立てられないや。
第一次大戦潜水艦ファンのモデラーなら、このキットは見逃すことのできない一品だろう。

最後に、第一次大戦の凄惨さを表すエピソードを付記しておこう。
UB-16を撃沈したE34はUB-16撃沈の二ヶ月後、1918年7月20日に機雷に触れ沈没。乗員31名に生存者はいなかった。その4ヶ月後、1918年11月11日に第一次大戦は休戦する。
Vicco von der Lühe艦長はUB-16唯一の生存者だったが、ドイツに帰国することは叶わず、1919年3月1日に英軍捕虜収容所で死亡した。死因は「インフルエンザ」としか記載されていないが、おそらくスペイン風邪だろう。


キット画像はDrafModel公式ショップページから引用

*定価はあくまでも現地で購入する場合の値段です。日本国内で購入する場合には輸送費などを考慮し、2倍~3倍程度になるとお考えください。


参考ページ:
https://en.wikipedia.org/wiki/German_Type_UB_I_submarine
https://ja.wikipedia.org/wiki/UボートUB型
UB-I 型潜水艦の記事が独立しているのは英語版のみ。日本語版、ドイツ語版はUB-I 型よりも大型のUB-II型、UB-III型とまとめた記事になっている。

https://en.wikipedia.org/wiki/SM_UB-16
UB-16の記事はなぜか英語版しか存在しないので、英語版を参考とした
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No title

ねじ式の眼医者の看板ですか! なんと懐かしい。 50年くらい前に読みました。 借りたのか持っていたのかは記憶が定かでないですが、200円のSFMを買ったらガロまで買う余裕はなかったと思う。 目玉はむしろ小沢さとるの707か青6の印象が強いかな~

Re: No title

Abさん、コメントありがとうございます!
自分はけっこう後発組なので、「ねじ式」はさんざんネタにされてから愛蔵版で初めて読みました。それでも、あの雰囲気は衝撃的でしたね。瞳がまんまるに描かれているのを見て、言わずにはいられませんでしたw
サブマリン707も懐かしいですね! あれはシャークマウスまで描いてましたっけ。
後から気がついたんですけれども、UB-Iが蛇のペイントしてたのって、米南北戦争で南部を経済封鎖した「アナコンダ・プラン」をイメージしてたのかもしれないですね。
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